Ripple社がどれほど優れた新しい台帳(分散型台帳技術)を開発・稼働させたとしても、それだけで世界中の銀行がすぐに国際送金へ採用できるわけではありませんでした。
実際の国際送金では、単にデータを記録するだけでなく、送金人の銀行から受取人の銀行へ確実に取引情報を伝達し、双方で必要となる通貨を過不足なく用意した上で、各国の金融規制を遵守しながら着金まで完了させるという、極めて複雑な実務が存在するためです。
そこでRipple社は2014年以降、世界各地の銀行や送金事業者と直接対話を重ねながら、既存の国際送金が抱える課題のどの部分を自社の技術で変えられるのか、その実用的な解決策を模索していきました。
本章では、銀行が直面していた外為決済リスクを確認したうえで、Ripple社が取り組んできた「銀行向け決済技術の開発」「異なる台帳同士を結ぶInterledger Protocol構想」「FinCENとの和解に伴う規制対応」、そして「SBIとの協業による日本市場への展開」について、当時の経緯を一つひとつ紐解いていきます。
この章の節
- 銀行が国際送金を変えたかった理由
従来の国際送金で銀行が直面していた時間や資金の課題を説明します。 - リーマンショックが示した外為決済リスク
二つの通貨の決済が連動しない危険と、PvP決済が防ぐ範囲を説明します。 - 銀行向け決済技術の開発
銀行間の送金を改善するため、Ripple社が開発した技術をたどります。 - Interledger Protocolと異なる台帳の接続
異なる台帳をまたぐ支払いを可能にするInterledger Protocolの考え方を紹介します。 - FinCENとの和解と規制対応
FinCENとの和解を通じて、事業に求められた規制対応を整理します。 - SBIとの協業と日本市場への進出
SBIとの協業がどのように始まり、日本での事業につながったかを紹介します。