銀行向け決済技術の開発

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銀行が国際送金で抱える悩みは、単に送金を速く記録するだけでは解決できません。海外の相手銀行へ資金を送る前に、受取人の口座情報や適用される為替レート、発生する手数料を事前にお互い確かめられるでしょうか。また、送金を実行した後に、どの段階で処理が止まっているかをリアルタイムに把握できるでしょうか。Ripple社が銀行向けの技術開発に乗り出した理由は、まさにこうした国際送金の実務における課題を解決することにありました。

銀行の窓口に来た顧客が、海外へ支払いを依頼する具体的な場面を考えてみましょう。依頼を受けた銀行は、送金指示を相手銀行へ確実に伝え、受取側の銀行が問題なく入金処理を行える条件が整っているかを確認したうえで、結果を顧客へ報告しなければなりません。Ripple社が開発した銀行向けソフトウェアは、こうした事前の情報確認、送金の実行、処理状況の追跡を支えるものでした。暗号資産であるXRPを売買して資金(流動性)を調達する仕組みとは、担っている役割が異なります。

相手が受け取れるかを先に確かめる

送金人が銀行の窓口に手続きに来たとしても、受取銀行側の口座情報に不備があれば支払いは途中で止まってしまいます。また、送金手数料をどちらが負担するのか、受取人が最終的に受け取る金額はいくらになるのかといった条件も、送る側と受け取る側の銀行同士で事前に正確に共有されていなければなりません。

銀行向けに提供されたRippleの技術は、送金処理を実際に実行する前にこれらの条件を照合し、実行後も進捗状況を追跡できる仕組みを重視しました。この一連の役割は、分散型台帳の上で単にXRPを移動させる操作よりも、はるかに広範な業務をカバーするものです。

2014年の接続事例

Rippleは2014年に、ドイツのFidor Bankとの協業を発表しました。さらに同年、米国のCross River BankおよびCBW BankがRippleの技術を採用すると発表しています。

これらの発表で焦点が当てられていたのは、銀行が国際送金の実務を改善するためにネットワークへ接続することでした。当時の資料には、後年知られるようになる「xCurrent」や「xRapid」といった具体的な製品名はまだ登場していません。銀行との協業を進めるなかで、Ripple社は金融機関が利用するソフトウェアを製品として整えていきました。

2015年のRipple ConnectとRipple Stream

2015年10月、Ripple社は銀行向けの国際決済と為替市場形成のソリューションを発表しました。当時の公式サイトでは、銀行側の決済処理モジュールを「Ripple Connect」、流動性提供者側の取引システムに接続するモジュールを「Ripple Stream」と呼んでいます。

Ripple Connectは、送金側と受取側の銀行の間で、送金人・受取人の情報、手数料、支払いの指示などを交換するために使われました。為替の見積もりを取得し、条件が承認された後は決済の実行と完了通知にも連携します。一方、Ripple Streamは、流動性提供者が為替の売買注文をネットワークへ提示するための接続手段でした。両者は役割が異なりますが、一件の国際送金を進めるうえで相互に関係する構成要素でした。

2017年の製品整理

その後、銀行向けソフトウェアはInterledger Protocol(ILP)を用いた台帳間の決済にも対応する方向へ発展しました。2017年、Ripple社は、既存の銀行向けソフトウェアを「xCurrent」という名称で紹介し、「xRapid」「xVia」とともに三つの製品を並べました。

つまり、まず銀行向けの技術が開発され、後に三つの製品群として整理された、というのが実際の経緯です。このように製品の役割が切り分けられたことで、銀行間の「情報交換と決済の連携」、送金に必要な「流動性の確保」、そして「一般企業の利用窓口」という、国際送金を取り巻く別々の課題がより明確に把握できるようになりました。

出典・参考資料