XRPの応用事例:RippleのODL

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海外にお金を送るには、送金元の通貨を受取側で使える通貨に換える必要があります。Ripple社の「On-Demand Liquidity」(ODL、オンデマンド流動性)は、この過程でXRPを中継資産として利用する決済の仕組みです。このページでは、ODLの流れと公表済みの利用例を中心に、何がXRP Ledger上で行われ、何が送金事業者などによって行われるのかを説明します。

ODLとは何か

ODL(On-Demand Liquidity)は、Ripple社の国際送金サービス「Ripple Payments」で利用される、XRPを中継資産とする流動性ソリューションです。送金元の通貨をXRPに交換し、XRP Ledgerで移転した後、受取側の通貨に交換します。送金に必要な流動性をその都度調達することで、送金先に資金をあらかじめ積み置く負担を減らせます。Ripple社のODL製品資料

2023年に発表されたRipple Payments Directでは、Ripple社が決済プロバイダーとなることで、Ripple Paymentsの顧客企業がXRPを購入、売却、保有することなく送金ができるようになりました。Ripple Payments Directでは、Ripple社が為替、送金先パートナーとの接続、受取人への支払いをまとめて扱います。顧客企業はDirectの画面やAPIから送金を依頼・管理できます。XRPを使うODLの経路でも、送金する企業が自らXRPを保有・売買する必要はありません。顧客が直接XRPを扱わなくても、送金の途中でXRPを中継資産として活用できる仕組みです。出典:Ripple社のODL導入資料

Ripple社の2026年3月の発表によると、Ripple Paymentsは60を超える主要市場でサービスを展開し、累計処理額は1,000億ドルを超えました。これはXRP以外を利用する送金も含むRipple Payments全体の実績です。XRPを中継資産とするODLの利用割合については、Ripple社の2022年第4四半期XRP市場レポートが、2022年にRippleNetで行われた決済の約60%がODLを経由したと公表しています。

ODLとRipple Payments。送金元の通貨からXRPを介して受取側の通貨へ移る流れと、Ripple Paymentsの累計処理額、2022年のODL経由割合を示す図。

送金の流れ

  1. 送金事業者が送金額、為替レート、手数料などの条件を確認します。
  2. ODLの経路で必要なXRPを用意し、XRP Ledgerを通じて受取側へ移転します。
  3. 受取側でXRPを現地通貨に交換します。
  4. 銀行や送金事業者の処理を経て、受取人へ支払います。

ODLによる送金の流れ。送金条件の確認、XRPの用意と移転、現地通貨への交換、受取人への支払いを順に示す図。

これは仕組みを理解するための基本形です。実際には送金事業者や交換業者の役割、XRPの調達・売却の順序、受取人への支払い方法が経路によって異なります。Ripple社のODLの利用例には、個別送金、受取側への一括資金供給、企業内部の資金移動が示されています。

XRP Ledger上でXRPが移転しても、それだけで受取人の銀行口座への着金まで完了するわけではありません。受取側の通貨交換や銀行・送金事業者の処理は別に行われます。

どのような送金に応用されるか

個人向けの海外送金

送金事業者が利用者から資金を受け取り、ODLを使って受取側の事業者へ価値を移します。利用者がXRPを自分のウォレットで保有するとは限りません。受取人は事業者のサービスに応じて現地通貨を受け取ります。

個人向け海外送金でのODL。送金人から送金事業者、XRPを使うODLの経路、受取側の事業者を経て受取人に届く流れ。

企業間送金と海外拠点への資金移動

企業間の支払いに加え、送金事業者が海外の支払先に必要な資金を供給する用途、企業が海外拠点へ資金を移す用途がRipple社の資料に挙げられています。これらはODLの想定・対応する利用形態であり、個々の企業が採用した実績とは区別して読む必要があります。

ODLを使う企業間送金と海外拠点への資金移動の二つの流れを示す図。

国内での応用事例:SBIレミットの国際送金

SBIレミットは、日本から海外への送金にXRPを活用した事例を公表しています。2021年7月には、SBI VCトレードと連携し、日本からフィリピンの電子ウォレットへの送金にODLを導入しました。SBIレミットが送金を受け付け、SBI VCトレードがXRPの送付を担う仕組みです。2021年のSBIグループ発表

2023年9月には、フィリピン・ベトナム・インドネシアの銀行口座宛て送金にも、XRPを使うRippleの送金ソリューションを順次拡大すると発表しました。受取国では提携先のTrangloが銀行口座への支払いを処理します。XRPを使う経路としてSBI側が公表した送金先は、この3か国です。2023年のSBIグループ発表

ODLを利用する企業

ODLは取引所だけでなく、送金事業者、決済事業者、銀行などとも連携してきました。ODLは以前「xRapid」と呼ばれていました。以下はRipple社または提携先がxRapid・ODLの試験運用、商用化、利用や連携を公表した主な事例です。試験運用と商用化は区別して記載しています。国・地域は事業者の主な拠点・事業地域を示し、送金先を意味しません。発表年は公表当時のもので、現在も同じ形で利用していることを示すものではありません。xRapidからODLへの名称変更

事業者 国・地域 公表された役割・用途 発表年
MercuryFX 英国 xRapidの試験運用後、商用送金の展開を発表 2018年
Cuallix メキシコ・米国 米国・メキシコ間の送金でxRapidの試験運用後、商用化対象として発表 2018年
Catalyst Corporate Federal Credit Union 米国 xRapidを使う国際送金サービスの本番契約・構築計画を発表 2018年
IDT Corporation 米国 国際送金向けにxRapidの試験運用を発表 2018年
Cambridge Global Payments カナダ 企業向け国際送金でxRapidの試験運用を発表 2018年
Currencies Direct 英国 xRapidの試験運用を公表 2018年
Viamericas 米国 xRapidの試験運用を公表し、後にODL顧客として紹介 2018・2019年
Azimo 英国 フィリピン向け国際送金 2020年
Novatti オーストラリア 東南アジア向け国際送金 2021年
SBIレミット 日本 日本からフィリピンへの送金 2021年
Tranglo シンガポール 受取側の支払い・アジアの送金経路 2021年
Pyypl アラブ首長国連邦 中東・アフリカ地域の送金 2021年
FINCI リトアニア 欧州・メキシコ間の送金 2022年
Travelex Bank ブラジル ブラジルでの国際送金・為替決済 2022年
FOMO Pay シンガポール 企業の資金管理・国際資金移動 2022年
iRemit フィリピン 国際送金・資金管理 2022年
Lemonway フランス 企業の資金管理 2022年
Xbaht スウェーデン スウェーデン・タイ間の送金 2022年

公表資料から確認できた主な事例であり、xRapid・ODLの全利用企業を網羅したものではありません。

ODLパートナーの取引所

Ripple社のODL公式資料に掲載された取引所等と、SBIグループがODLでの連携を公表したSBI VCトレードを示します。「国・地域」は事業者の主な拠点・運営国で、送金先の国を意味しません。複数の国に法人がある事業者は代表例を記載しました。

取引所等 国・地域 資料に記載の通貨 送金元として記載
AUDD オーストラリア AUD —
Bitso メキシコなど USD・MXN —
Bitstamp ルクセンブルクなど USD・EUR・GBP あり
BTC Markets オーストラリア AUD あり
Coinbase Prime 米国・欧州 USD あり
Coins.ph フィリピン PHP —
Independent Reserve オーストラリアなど USD・SGD・AUD あり
PDAX フィリピン PHP —
Uphold 米国・英国・欧州など USD・EUR・GBP あり
SBI VCトレード 日本 日本発の送金に対応 SBI公表事例

上の9事業者の通貨と送金元の区分は2026年9月に確認したRipple社の資料に基づきます。「—」は同資料の送金元取引所一覧に名前がないことを示します。SBI VCトレードはRipple社の同一覧には掲載されていませんが、SBIグループがODLでの役割を公表しています。なお、AUDDは厳密には取引所ではなく、豪ドル連動のデジタル資産とその提供事業者です。

関連ページ

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