前節では、Ripple Paymentsが法定通貨やステーブルコインを組み合わせ、入金から払い出しまでを扱う決済基盤へと発展したことを見ました。では、決済に使うステーブルコイン「RLUSD」を、金融機関や企業はどのように用意し、管理するのでしょうか。2026年7月23日にRipple社が発表した「Ripple Mint」は、その業務を支える機関向けのプラットフォームです。
RLUSDを発行・償還するとは
RLUSDは、米ドルの価値に連動するステーブルコインです。発行を担うのは、ニューヨーク州金融サービス局の認可を受けた信託会社Standard Custody & Trust Companyです。
ここでいう「発行」とは、所定の手続きを経てRLUSDを新たに作り、利用者へ渡すことです。反対に「償還」は、条件を満たす顧客がRLUSDを発行者に戻し、米ドルを銀行口座で受け取ることを指します。償還のために保有する準備資産には、米国債のほか現金なども含まれますが、顧客へ米国債が渡されるわけではありません。金融機関がRLUSDを大量に扱うには、送金の手段だけでなく、この入口と出口を管理する仕組みも必要になります。
手作業とシステム連携の両方に対応
Ripple Mintでは、担当者が画面からRLUSDの業務を操作できるほか、APIを使って自社のシステムから処理を始めることもできます。利用者はRLUSDの発行・償還、対応するブロックチェーン間での移動、口座残高や取引状況の確認を行えます。
たとえば、取引所や決済事業者が多数の取引を扱う場合、担当者が毎回画面を確認するだけでは処理が追いつきません。Ripple Mintは、入金の確認、発行処理、ブロックチェーン上での決済、払い出しの完了といった段階を通知する機能も備えています。これにより、企業は自社の記録とRLUSDの動きを照合しやすくなります。
ただし、APIが用意されたことと、すべての発行・償還が無条件で自動実行できることは同じではありません。発行者への直接償還には、顧客資格や審査、契約などの条件があります。
Ripple Paymentsとの役割の違い
Ripple Paymentsは、顧客から受け取った資金を必要な通貨へ交換し、支払先へ届ける決済サービスです。一方、Ripple Mintは、その過程でも利用され得るRLUSDについて、機関が発行者とのやり取りや日々の管理を行うための窓口です。
両者を分けて見ると、Ripple社が「資金をどう送るか」に加え、「決済に使うデジタルドルをどう用意し、管理するか」まで事業を広げていることが分かります。次節では、こうした決済事業がブラジルの金融機関や企業にどのように展開されているかを見ていきましょう。