RippleNetからRipple Paymentsへ

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銀行が海外へ送金するとき、依頼人から送金情報を受け取り、相手国で必要な通貨を用意し、受取人へ支払うまでには幾つもの仕事(プロセス)があります。Ripple社は創業初期から、その一連の役割を細分化し、一つずつ個別の製品として提供してきました。2023年11月に発表された「Ripple Payments」を正しく理解するには、それ以前の製品群がそれぞれ何を担っていたのかを振り返るのが一番の近道です。

初期の三製品からRippleNetへ

かつてRipple社は、国際送金に必要な機能を3つの製品に分けて展開していました。

  • xVia:企業などの一般事業者が、自社のシステムから金融機関へ送金依頼をつなぐための窓口となる仕組みです。
  • xCurrent:金融機関同士が送金情報や条件を交換・確認し、処理状況を追跡しながら、ILPを用いて台帳間の決済を連動させる仕組みです。
  • xRapid:暗号資産XRPを活用して、送金先の現地通貨を即時に調達する流動性の仕組みです。

これらは身近な流れに例えると、「企業の依頼を受ける受付窓口(xVia)」、「送金内容に間違いがないかを相手側の銀行と確かめ合う連絡網(xCurrent)」、「受取人に支払うための現地通貨を用立てる両替・調達の仕組み(xRapid)」と整理できます。こうして見ると、送金におけるそれぞれの役割分担がよく分かります。

その後、Ripple社はこれらを個別に提供する形から統合を進め、ネットワーク全体を「RippleNet」という統一ブランドで説明するようになりました。この統合の中で、xRapidが担っていた「XRPを活用した流動性供給」の仕組みは、新たに「ODL(On-Demand Liquidity:オンデマンド流動性)」という名称で展開されることになります。これら3つの製品は、ある日突然一斉に名前が変わったわけではなく、顧客に提供する機能や価値を段階的に整理・組み替えながら進化していったのです。

2023年のRipple Payments

こうした進化の延長線上として、2023年11月に発表されたのが「Ripple Payments」です。Ripple社はこれを、従来のRippleNetからさらに一歩進んだ、企業向けの包括的な決済サービスとして位置づけました。

たとえば、一般企業が複数の国や地域に向けて支払いを行う場面を想像してみてください。送金先ごとに現地の接続先銀行を探し、資金の払い出し(ペイアウト)方法を整え、各国の法規制に合わせた手続きや契約を1社ずつ個別に行うのは、企業にとって非常に大きな負担となります。

Ripple Paymentsは、暗号資産と従来の法定通貨による決済手段を組み合わせることで、こうした煩雑な準備や送金工程を単一のサービスで完結できる方向性を明確に打ち出しました。

発表時にRipple社が示した特徴の一つが、暗号資産と従来型の払い出し先を合わせて「70超の市場へのアクセス」を実現している点です。まずは米国で新しいサービスを開始し、その後に他の地域へ順次展開していく方針も示されました。なお、この「70超」という数字は接続可能な市場の範囲を示したものであり、実際に利用できる具体的な機能や条件は、進出先各地の規制や個別の契約内容によって異なります。

XRPはどこで使われるのか

ここで押さえておきたいのが、「サービス全体」と「XRPの役割」の関係です。

「Ripple Payments」とは、企業が国際決済を行うための製品・プラットフォーム全体の名前です。一方、「ODL」は、その決済インフラの中でXRPを「ブリッジ資産(橋渡し通貨)」として用い、送金先の現地通貨を用意する具体的な資金移動の方法(オプション)を指しています。

たとえば、日本から海外へ送金する場合を考えてみましょう。送金元の日本円をいったんXRPに交換し、ブロックチェーン上で瞬時に送金先へ移転させた後、受取側の国の現地通貨へと交換して払い出す――これがODLによる資金移動の典型的な経路です。

このように「包括的な製品全体の名前(Ripple Payments)」と、「その中の一つの資金移動経路(ODL / XRP)」を明確に切り離して理解しておくと、なぜ後から法定通貨同士の送金やステーブルコインを扱う柔軟な機能が加わっていくのか、その理由や背景も自然と読み取りやすくなります。

かつての「RipplePay」という信用ネットワークの構想から始まった取り組みは、金融機関同士の情報連携(xCurrent)、XRPを活用した即時流動性の提供(xRapid / ODL)、そして一般企業までをも見据えた統合決済基盤へと姿を変えてきました。「Ripple Payments」という現在の名称には、創業からこの時点までに広がり、積み重ねられてきたすべての送金・決済の仕事が集約されているのです。

出典・参考資料