制裁金と差止命令

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2023年の判決において、裁判所はRipple社による「機関投資家向けの一定のXRP販売」について、未登録の投資契約の募集・販売(証券法違反)に当たると判断しました。その一方で、取引所を通じて行われた一般向けの「プログラマティック販売」などについては、SEC(米証券取引委員会)側の主張を認めませんでした。

では、違反と認定された取引に対して、裁判所は会社側にどのようなペナルティや措置を命じるのでしょうか。翌2024年、裁判はその具体的な「救済措置(制裁措置)」を決定する段階へと進みました。

制裁金と差止めは何が違うのか

裁判所が命じる措置には、大きく分けて「民事制裁金」と「差止命令(さしとめめいれい)」の2種類があります。

民事制裁金:過去に行った違反行為に対して、会社が支払う金銭的なペナルティです。

差止命令:将来の行動を制限するための法的な命令です。たとえば「判決で違反とされた方法での販売を今後繰り返してはならない」と裁判所が会社に命じるケースがこれに当たります。

このように、「過去の取引責任をどう清算させるか(制裁金)」と、「今後どのような行為を禁止するか(差止め)」は、それぞれ別の観点から判断されます。

2024年8月7日、ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所のアナリサ・トーレス判事は、Ripple社に対して1億2,503万5,150ドルの民事制裁金の支払いを命じました。同時に、証券法第5条への再違反を禁じる「終局判決」を下しました。

なお、SEC側が求めていた「不法利得の吐き出し(ディスゴージメント)」や「判決前利息」の支払いは認められませんでした。裁判所は、過去の違反の規模や期間などを総合的に考慮して制裁金の額を定め、さらに将来再び違反が起きる合理的な可能性があるかどうかを検討した上で、差止命令の内容を決定しました。

判決の対象はどこまでか

ここで押さえておきたいのは、この差止命令が市場全体でのXRPの保有や日常的な利用そのものを一般的に禁止するものではない、という点です。あくまで「Ripple社自身が、証券法第5条に再び違反すること」を禁じる命令にとどまります。

2023年の判決で「どの販売形態が違反で、どれが適法か」という枠組みが示され、2024年の判決で「そのうち違反と認定された行為に対する具体的なペナルティ」が決まりました。この2つの流れをつなげて見ると、一連の訴訟は「Ripple社かSECのどちらか一方が全面的に完全勝利した」という単純な言葉だけでは表現できない、複眼的な経過をたどっていることが分かります。

この終局判決の後、双方は控訴手続きへと進みました。翌年には判決内容の変更を目指す合意案なども浮上することになります。Ripple社に対して最終的にどの命令が効力を持ち続けたのかを正確に把握するには、控訴審が決着するまでの経緯を引き続き追っていく必要があります。

出典・参考資料