実証実験と商用利用の違い

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xRapidの仕組みが提案されたとき、次に浮かぶ疑問は「これは本当に実際の送金に使えるのか?」ということでした。新しい決済技術というものは、試験的に数件の取引が成功したからといって、すぐに利用者の日常的な送金を任せられるわけではありません。ここでは、xRapidが試験段階から商用利用へと進んでいった過程を、発表された順に追ってみましょう。

試験で確かめること

新しい送金技術を試す最初の段階(実証実験)では、限られた参加者と特定の通貨ルートを使って、少額の取引から始めます。これは、送金元での通貨の交換、システム(台帳)上での資金の移動、送金先での再交換、そして最終的な受取人への支払いといった一連の流れが、想定どおりにスムーズにつながるかを確認するためです。

このとき、送金にかかる時間や手数料を測り、従来の方法と比べることも行われます。もちろんこうした実証実験は非常に重要ですが、利用者から毎日依頼される多数の送金を、いつでも安定して処理しなければならない「商用運用(本番環境)」とは大きく異なります。

実証実験の段階では、参加する暗号資産(仮想通貨)の取引所や受け取り側の事業者が、あらかじめ万全の準備をしておくことができます。また、全体の取引量が少なければ、希望する価格でXRPを買ったり売ったりすることも簡単かもしれません。

しかし、本番環境で利用者が一気に増えれば、同じ市場で膨大な注文を滞りなく処理しきれるかどうかが問われます。さらに実際の運用では、休日やシステム障害、送金先の国の規制変更、あるいは顧客情報の入力ミスなど、さまざまな予期せぬトラブルも起こり得ます。そのため、「一度試験に成功した」というだけでは、こうした複雑な場面でも同じようにうまくいく証明にはならないのです。

実証実験、製品の商用提供、顧客の実運用を区別する三段階の図
試験が成功したこと、製品の提供開始、個別顧客の本番利用は異なる段階です。

商用提供と顧客運用

その後、Ripple社は2018年10月に、xRapidの商用提供をついに発表しました。この発表は、同社が製品を本番で利用できる段階まで完成させたことを示す、とても重要な公式記録です。

ただし、気をつけるべき点もあります。それは、「実証実験に参加していたすべての企業が、発表当日に契約を結んだわけではない」「すべての送金を一斉にxRapidに切り替えたわけではない」ということです。

個別の送金事業者の状況を知るには、発表文に「試験をした(テスト済み)」「利用を始めた」「今後利用する予定である」「すでに商用で稼働している」のどの言葉が使われているかを、丁寧に読み分ける必要があります。発表された日と、実際にシステムが動き始めた日が違うこともよくあるからです。

判断に必要な資料

送金時間やコストといった「数字」を見るときも、それが「何を測ったものなのか」をしっかり確認することが大切です。

たとえば「送金にかかる時間」と言っても、送金人が送金を依頼してから受取人の手元に届くまでの「全体にかかった時間」なのか、それともXRP Ledgerというシステム上で資金が移動しただけの「処理時間」なのかで、意味がまったく変わってきます。

また、「費用の削減率」についても同じです。為替の売買価格差(スプレッド)や取引手数料、現地での払い出しにかかる費用などがすべて計算に含まれているかどうかが重要になります。何より、比較対象となっている「従来の方法」が具体的に何を指しているのかが分からなければ、その数字を他の国や別の送金ルートにそのまま当てはめることはできません。

実証実験での素晴らしい成果は、あくまでその技術の「可能性」を示したものです。一方、商用での実績は、実際に安定して運用できた「現実の範囲」を示しています。その範囲がこれからさらに広がっていくことを確認するためには、また別の確かな証拠が必要になるのです。

出典・参考資料