SECの主張とRipple側の反論

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提訴が行われた後、SEC(米国証券取引委員会)とRipple社は、まったく同じ「XRPの販売」という事実をそれぞれどのように捉えていたのでしょうか。まずは、双方が裁判所で展開した主な主張を比較してみましょう。

1. SEC側の主張:XRPの販売は未登録の証券募集である

SECが提出した訴状(ECF 4)の柱となったのは、「Ripple社が大量のXRPを保有し、それを継続的に販売することで自社の事業資金を調達していた」という点です。

SECは、Ripple社が自らXRPの用途開発や市場の育成を主導するとアピールしていたことを指摘しました。これにより、投資家に対して「Ripple社の努力によって将来XRPの価格が上昇するのではないか」という利益の期待を抱かせたと主張したのです。

また、もしこれらが「証券」の募集にあたるのであれば、本来は法定の登録書類を当局へ提出しなければなりません。しかし、Ripple社はこれを行わずに販売を続けたため、一般的な証券を購入する投資家なら受け取れるはずの「企業の事業内容や財務状況に関する情報開示」が購入者に提供されなかった、という論理を組み立てました。

なお、共同創業者であるラーセン氏とCEOのガーリングハウス氏の2名については、「会社による販売を支援・ほう助した責任」と「個人として保有していたXRPを販売した責任」をそれぞれ切り離し、個別に問題視しています。

2. Ripple社側の反論(1):多様な取引を「一括り」にする誤り

これに対し、Ripple社側は「SECは性質の異なる多様な取引を、単に『XRPの販売』として十把一絡(じっぱひとから)げに扱っている」と強く反論しました。

たとえば、暗号資産取引所の市場で注文を出してXRPを購入する一般の利用者は、売却相手がRipple社なのか、それとも見知らぬ他の保有者なのかを意識することも知ることもありません(ブラインド取引)。また、従業員への報酬としてXRPを配布するようなケースでは、受領者がRipple社に対して投資資金を支払っているわけではありません。

このようにRipple社は、「XRPというトークン(資産)そのもの」を固定的に『証券』と決めつけるべきではないと主張しました。そうではなく、個々の取引における具体的な「契約内容」「相手への説明」「誰が取引の相手方なのか」「どのような対価が支払われたのか」といった取引の実態に即して判断すべきだと求めたのです。

つまり両者の対立は、「同一の事実から異なる結論を導き出そうとした」だけでなく、「そもそも取引をどのような単位や文脈で評価すべきか」という根本的な枠組みをめぐる争いでもありました。

3. Ripple社側の反論(2):「公正な通知」の欠如と判決の着地点

Ripple社が展開したもう一つの重要な反論が、「公正な通知(Fair Notice)」の法理です。これは、「SECは暗号資産(デジタル資産)に関してあらかじめ明確で一貫した規制基準を示していなかったにもかかわらず、過去に遡って突如として販売行為を違法だと追及したのは不当である」という訴えです。

一方のSECは、「数十年にわたり確立されてきた『Howey判例』が投資契約の明確な基準を示しているのだから、暗号資産のためだけに特別な事前ガイドラインを設ける必要はない」と真っ向から反論しました。

のちに出された略式判決において、裁判所は「機関投資家に対する直接販売」について、Ripple社側の公正な通知に関する抗弁を退けました。したがって、Ripple社側の主張がすべて裁判所に認められたわけではありません。

しかし同時に、SECが主張したすべての販売形態が「投資契約(証券)」と判断されたわけでもありませんでした。機関向け販売と取引所等を通じた販売などで裁判所の判断が分かれたため、この裁判の主張と結論を整理する際には、この「双方の言い分が部分的に認められ、部分的に退けられた」という非対称な結果を正しく押さえておく必要があります。

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