本書では、情報の正確性を期すため、出来事が起きた当時の公式発表、技術仕様書、裁判所の公開文書などを優先して確認・検証を行いました。
以下に挙げる文献は、本文の中で繰り返し登場する主要な情報源を、関連する章ごとに整理したものです。なお、資料を読み解く際は、情報の性質に注意を払っています。たとえば「企業の公式発表」は、その企業が当時何を表明したかを示す一次資料ですが、その後の運用実績や普及度合いまでを自動的に証明するものではありません。また、訴訟に関する資料では、原告や被告といった「当事者の主張」と「裁判所の法的な判断」を厳密に区別して参照しています。
第1・2章――お金、銀行、決済の基本構造
- イングランド銀行「Money in the modern economy: an introduction」(2014年)
現金、銀行預金、中央銀行準備預金の本質を「IOU(借用証書/債権・債務関係)」の視点から整理・解説した基本資料です。 - イングランド銀行「Money creation in the modern economy」(2014年)
民間銀行の貸出行動によって預金通貨がどのように創造されるか、また中央銀行の金融政策がそれにどう関わるのかを客観的に解説しています。 - 国際決済銀行(BIS)CPMI「Glossary」
「支払い(Payment)」「清算(Clearing)」「決済(Settlement)」をはじめとする、金融市場インフラに関する専門用語の定義を正確に照合するために用いています。
第3・4章――RipplePayからXRP Ledger、会社設立の歩み
- ライアン・フッガーによるRipplePay関連資料
人々の信用関係(トラストライン)をつなぎ合わせて決済を行うという、プロジェクト初期の設計思想と構想をたどるための資料です。 - XRP Ledger公式「History」
初期の開発者たちの動向、2012年の分散型台帳公開、その後の開発企業の設立や度重なる社名変更の正確な経緯を確認できます。 - XRP Ledger公式「What is the XRP Ledger?」
台帳の基礎的なアーキテクチャやコンセンサスアルゴリズム、ネットワークに参加するノードの役割を把握するための仕様資料です。
第5~8章――銀行向け技術、RippleNet、xRapidからODLへの進化
- Ripple公式発表「銀行向け決済・為替ソリューション」(2015年10月)
Ripple ConnectとRipple Streamを含むソリューションの発表を確認できる当時の一次資料です。 - Ripple「Ripple Solutions Guide」(2016年3月)
Ripple ConnectとRipple Streamの構成、および銀行と流動性提供者との接続関係を示す当時の製品資料です。 - Ripple公式発表「Ripple’s Product Suite is Growing」(2017年8月1日)
ネットワーク構想「RippleNet」のもと、通信基盤「xCurrent」、当時開発中だった流動性供給ソリューション「xRapid」、接続用API「xVia」の各役割が、当時の言葉でどのように説明されていたかを確認できます。 - Ripple公式発表「xVia Opens New Doors in Emerging Markets」(2018年4月26日)
一般企業や金融機関が、複雑なシステムを構築することなくRippleNetへ直接接続するためのインターフェース(xVia)の用途と狙いを説明しています。 - Ripple公式発表「Evolving RippleNet for a Tokenized Future」(2021年)
暗号資産XRPをブリッジ通貨として用いる「xRapid」が、商用化を経て「ODL(オンデマンド流動性)」へと統合・改称され、仕組みが洗練されていく過程を振り返った資料です。 - Ripple Payments ODL公式ドキュメント
ODLを構成する具体的な製品コンポーネントや、法定通貨同士を瞬時に媒介する国際送金の実務フローを確認できます。
第9~12章――SEC訴訟と事業構造の転換
- 米SEC(証券取引委員会)の2020年提訴発表・訴状PDF
SECがどのような法的根拠に基づき、何を求めて訴訟を提起したのか、その当初の主張と請求内容を確認できます。 - SEC対Ripple事件 裁判記録(CourtListener公開文書)
裁判所が下した命令(地方裁判所の判決等)や、双方が提出した主張書面を、日付と文書番号に沿って時系列で正確に追うための法廷資料です。 - 米SECの控訴取下げ発表(2025年)・共同取下げ文書PDF
長期間に及んだ訴訟において、SEC側の控訴およびRipple側の交差控訴が双方案件として正式に終結した経緯を客観的に示す文書です。 - Ripple公式発表「Ripple Payments」(2023年11月8日)
従来の「RippleNet」から新ブランド「Ripple Payments」へと移行し、提供されるサービス範囲がどのように再編されたかを説明しています。 - Ripple「Hidden Road買収」発表、買収完了および「Ripple Prime」への改称資料
機関投資家向けブローカーの買収発表と、買収の正式完了、その後の「Ripple Prime」へのリブランディングという一連のプロセスを混同せず区別するための資料です。 - Ripple「Rail買収」発表・「GTreasury買収」発表
決済ネットワークの提供にとどまらず、企業の財務・資金管理(トレジャリーマネジメント)領域へと事業ポートフォリオを拡大していった動きを追う資料です。 - Ripple「5億ドルの戦略的投資」発表(2025年11月)
調達または拠出された「投資額(5億ドル)」と、それに基づく「企業評価額」の違いを明確に区別して把握するための資料です。
第13章――2026年の最新製品と新事業
- Ripple「Ripple Paymentsの拡張」発表(2026年3月)
決済プラットフォームの機能拡張、最新の顧客導入事例、およびこれまでに積み上げられた累計処理額の推移を確認できます。 - Ripple「XRPL AI Starter Kit」発表・「GSmart」機能拡張
ブロックチェーン開発者向けのAI支援機能(Starter Kit)と、企業財務オペレーション向けの自動化AI機能(GSmart)のそれぞれの役割と実装内容を確認できます。 - Ripple Prime「Delta One」サービス開始発表(2026年8月)
機関投資家向けプラットフォームにおいて、デリバティブ等の新事業(Delta Oneプロダクト)が開始された期日と、その取扱対象商品を確認できます。 - CSD BR・Ripple共同発表(2026年9月)
ブラジルの金融大手BTG Pactualによる投資信託ファンド持分の管理において、法的な正式記録の所在がどこに置かれ、XRP Ledgerがどのような補完的記録として活用されているのか、その厳密な住み分けを確認できます。
なお、Web上のドキュメントや発表資料は、閲覧する時期によって内容が改訂・更新される場合があります。本書では混乱を防ぐため、原則として出来事が起きた当時の名称をそのまま残して記載しています。また、資料が一般に公開された日付と、本文中で扱っている出来事自体の発生時期が異なる場合には、その時間的な違いを本文のなかで明記しています。