Ripple社のXRP販売と分配戦略

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初期の分配計画

XRPレジャーが創設されたとき1000億XRPが発行されました。このうち約200億XRPが創設者達に分配され、残りの約800億XRPが後にクリス・ラーセンとジェド・マケーレブによって設立されたリップル社に寄贈されました。ネットワーク創設者が発行総数の20%を保持した理由は、ネットワーク創設者は創設者である以前にXRPの発行者であるため、発行者として法的リスクを負うことへの保険として20%を保持することに決まったとクリス・ラーセンは説明しています。当時の詳細なデータはサーバーの不具合により失われてしまいましたが、有志達によって当時のレジャーの解析が進められています。

当初リップル社は800億XRPのうち約250億XRPを運営費用のために保持し、残りを『The World Community Grid』(WCG)などを通じて第三者に分配する計画でした。

800 億 : リップル社へ寄贈

250 億 : リップル社が将来の運営費用を賄うために予約

550 億 : チャリティ(WCG)などで配布

200 億 : 創設者に分配

90 億 : ジェド・マケーレブ

90 億 : クリス・ラーセン

20 億 : アーサー・ブリット

分配計画の変更

リップル社は2013年11月にWCGを通じてXRPの無償配布を開始しましたが、その後分配方針の見直しを行うため2014年4月にWCGでの分配を停止しました。この際、共同創業者のジェド・マケーレブと他の経営陣との間で対立が起きたことで、同年5月にジェド・マケーレブが全保有XRPを市場で売却すると発表しました。これが所謂『ジェド売り』と呼ばれているものです。同氏は全てのXRPをFacebookで無償配布することに拘ったと言われています。これに対し共同創業者のクリス・ラーセンは、同氏が保有する70億XRPを慈善団体に寄付することを発表しました。

取引所によりジェド・マケーレブの口座が凍結されたため、同氏により実際に市場で売却されたのは約17億XRPでした。その後、リップル社と同氏は2014年8月に同氏のXRPの売却に関して売却制限を設けることで合意を行いました。しかし、同氏が合意内容に違反していることが発覚したためリップル社との間で訴訟となり、2016年2月に新たな売却制限を設けることで和解しました。

その後、2016年8月にリップル社は500億XRPを2021年末まで保持する方針を発表しましたが、クリプトコミュニティから「信用できない」等の批判を受けたため、2017年5月に550億XRPをXRPレジャーのエスクロー機能を利用してロックアップすると発表しました。550億XRPのエスクローは2017年12月に実施され、2018年1月から毎月10億XRPが月初にロックアップ解除され、分配されなかったものは再び55ヶ月間再エスクローが行われます。これはリップル社が1ヶ月あたりに取り扱えるXRPの数量に上限を設けることが目的です。

2021年10月30日、リップル社は2021年第三四半期のXRPマーケットレポートで、和解契約に基づいて同社が管理していたXRPについて、同年9月に最後のXRPをジェド・マケーレブに転送完了したことを発表しました。

800 億 : リップル社が管理

550 億 : ロックアップ(2018年1月から毎月10億ずつ解除され、未使用分は再ロックアップ)

250 億 : 金融機関、投資家、パートナーなどに配布・販売

200 億 : 創設者に分配

90 億 : ジェド・マケーレブ

53億 : 契約に基づきリップル社が管理のもと売却

20億 : ドナー・アドバイズド・ファンドに寄付

17億 : 市場で売却済み

90 億 : クリス・ラーセン

70億 : RippleWorks(NPO)に寄付

20億 : 保有?

20 億 : アーサー・ブリット

リップル社による分配戦略

機関投資家への直接販売:
XRPの直接販売(Institutional Sales)は、XRPの流動性を供給する機関顧客向けの販売です。この販売は市場価格に影響を与えない相対取引(OTC)で行われ、この販売により得られる収益は、同社が手がけるクロスボーダー決済ネットワークの発展に利用されます。2024年5月にSEC対Ripple訴訟において同社が裁判所に提出した裁判資料によると、機関顧客へのOTC販売は現在行われておらず、ODL製品を通じてのみ顧客へのXRPの販売が行われています。また、契約により、ODL顧客へのXRPの割引販売や投資目的の購入は行えないことになっています。

参考:米リップル社、OTC取引によるXRP価格抑制を否定 対SEC裁判で

インセンティブ・プログラム:
XRPのインセンティブ・プログラム(報酬プログラム)は、XRPの取引高に応じてリップル社が取引所にXRPの分配を行うプログラムです。このプログラムの目的はXRPの流動性を増加させることでスプレッドを小さくすることです。これは『プログラム販売』(Programmatic Sales)とも呼ばれていますが、運営は取引所に委ねられています。リップル社は2019年Q3からXRPの売却を戦略的パートナーへのOTCに集中すると発表し、インセンティブ・プログラムによる配布を停止しました。

Xpringによる配布:
リップル社は2018年5月にXRPレジャーを活用するスタートアップをサポートするためのXpringイニシアチブを発足しました。このXpringを通じて、XRPレジャーのユースケースを生み出すスタートアップに対してXRPの配布が行われています。Xpringの名称は、2020年10月にRippleXに変更されました。

※現在、リップル社から個人に対してXRPの販売は行われていません。

リップル社によるXRP販売額は、市場の全取引高に対しておおむね0.5%未満で推移しており、他のトークンの売却ペースとは対照的に市場価格への影響は限定的です(詳細なデータは『リップル社のXRP販売額』の項目を参照)。また前述のように、現在、リップル社からのXRP販売は個人や一般市場への販売は行われておらず、同社のパートナーへの直接販売のみが行われています。

リップル社のXRP販売額

リップル社が四半期ごとのマーケットレポートで公表しているXRPの販売額です。

2016年第4四半期〜2019年第4四半期
四半期 直接販売(ドル) プログラム販売(ドル) 全販売額(ドル) 全取引高に対する
全販売額の割合
2016 Q4 4,600,000 0 4,600,000
2017 Q1 6,700,000 0 6,700,000
2017 Q2 21,000,000 10,300,000 31,300,000
2017 Q3 19,600,000 32,600,000 52,200,000
2017 Q4 20,100,000 71,500,000 91,600,000
2018 Q1 16,600,000 151,100,000 167,700,000 0.162%
2018 Q2 16,870,000 56,660,000 73,530,000 0.10%
2018 Q3 98,060,000 65,270,000 163,330,000 0.43%
2018 Q4 40,150,000 88,880,000 129,030,000 0.24%
2019 Q1 61,930,000 107,490,000 169,420,000 0.32%
2019 Q2 106,870,000 144,640,000 251,510,000 0.6%
2019 Q3 50,120,000 16,120,000 66,240,000 0.4%
2019 Q4 13,080,000 0 13,080,000 0.08%
2020年第1四半期〜2023年第1四半期
四半期 ODL関連販売額(ドル) 購入額(ドル) 純販売額(ドル) 全取引高に対する
純販売額の割合
2020 Q1 1,750,000 0 1,750,000 0.006%
2020 Q2 32,550,000 0 32,550,000 0.18%
2020 Q3 81,390,000 45,550,000 35,840,000 0.10%
2020 Q4 111,120,000 34,850,000 76,270,000 0.05%
2021 Q1 150,340,000 0 150,340,000 0.07%
2021 Q2 157,920,000 0 157,920,000 0.04%
2021 Q3 491,740,000 0 491,740,000 0.26%
2021 Q4 1,039,040,000 321,970,000 717,070,000 0.43%
2022 Q1 1,354,290,000 1,081,020,000 273,270,000 0.29%
2022 Q2 2,125,920,000 1,717,020,000 408,900,000 0.47%
2022 Q3 2,819,630,000 2,508,950,000 310,680,000 0.42%
2022 Q4 2,964,280,000 2,737,970,000 226,310,000 0.35%
2023 Q1 2,930,870,000 2,569,810,000 361,060,000 0.44%

※リップル社は2019年Q3からXRPの売却を戦略的パートナーへのOTC(直接販売)に集中すると発表しました。

 

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