付録A 製品・名称の変遷

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「Ripple」という言葉は、時代によってさまざまな対象を指して使われてきました。たとえば、2004年にはライアン・フッガーによる信用ネットワークの構想を指し、2012年には新しい分散型台帳やその暗号資産を表す言葉として使われました。また、「OpenCoin」「Ripple Labs」「Ripple」はいずれも会社の名称です。一方、「RippleNet」「xCurrent」「xRapid」「xVia」「ODL」「Ripple Payments」「Ripple CBDC Platform」「Ripple Custody」「Ripple Prime」「Ripple Treasury」「Ripple Mint」などは、事業や製品の名称となっています。そのため、古い資料を読む際には、それが会社、台帳、資産、それとも製品のどれを指しているのかをまず確認する必要があります。

次の表は、名称の主な転換点をまとめたものです。名称が紹介された時期と商用提供が始まった時期は異なる場合があるため、ここでは名称の登場と変更を中心に示します。

時期 名称 主に指すもの 確認できる段階
2004年4月 Ripple(フッガーの構想) IOUと信用関係を使う決済構想 構想の提示
2006年春 RipplePay フッガーの信用ネットワークを使うサービス サービス公開
2012年6月 Ripple Consensus Ledger(RCL) 現在のXRP Ledgerと同じ台帳の旧称 開発初期の台帳名
2012年6月 XNS(後のXRP) 台帳のネイティブ資産の初期コード 初期コードに記録
2012年以降 NewCoin、OpenCoin、Ripple Labs、Ripple 台帳の利用を広げる会社の名称 設立と改名
2012年11月 XRP(旧コードXNS) 台帳のネイティブ資産のコード表記 11月5日付の開発コミットでXNSからXRPへ変更
2015年10月 Interledger Protocol(ILP) 異なる台帳をつなぐ公開プロトコル 構想と仕様の公開
2015年10月 Ripple Connect 銀行の決済処理システムを接続し、送金に必要な情報をやり取りするモジュール 銀行向け決済・為替ソリューションとして発表
2015年10月 Ripple Stream 流動性提供者の取引システムを接続するモジュール 銀行向け決済・為替ソリューションとして発表
2017年5月 XRP Ledger(XRPL) RCLと同じ台帳の新しい名称 名称変更
2017年8月 RippleNet 金融機関などを結ぶ国際送金ネットワーク 対外的な製品説明
2017年8月 xCurrent 銀行間の送金情報と決済を扱う製品 既存製品の名称整理
2017年8月 xRapid XRPによる流動性調達の製品 製品群として紹介
2017年8月 xVia 企業などが送金を依頼するAPI 開発中の製品として紹介
2019年10月 On-Demand Liquidity(ODL) 旧xRapidに由来する流動性サービス 旧xRapidの名称として公式資料で確認
2023年5月 Ripple CBDC Platform 中央銀行などがCBDCやステーブルコインを発行・管理する基盤 名称と提供構想を発表
2023年11月 Ripple Payments 企業向け国際決済サービス 旧RippleNetからの名称・製品体系の更新
2024年7月 Ripple Custody(旧Metaco) 機関向けデジタル資産保管ソフトウェア Metacoからの名称変更を発表
2025年10月 Ripple Prime(旧Hidden Road) 機関向けプライムブローカレッジ 買収完了に伴う新名称を発表
2026年1月 Ripple Treasury(旧GTreasury) 企業の財務・資金管理プラットフォーム 公式発表で新名称を確認
2026年7月 Ripple Mint RLUSDの発行・償還・管理を行う機関向け基盤 名称と機能を紹介

RipplePayとXRP Ledgerには、「支払いの経路を作りたい」という共通の問題意識がありました。しかし、その仕組みは同一ではありません。RipplePayは、人々が互いに信用し合う「IOU(借用証書)」と信用枠を経路として利用していました。これに対し、XRP Ledgerは、ネットワーク全体で合意する共有台帳と、そのネイティブ資産であるXRPを用います。そのため、会社が名称を変えたからといって台帳自体が置き換わるわけではなく、またXRPを所有することが会社の株式を持つことを意味するわけでもありません。

2017年に発表された3つの製品も、それぞれ役割が異なっていました。xCurrentは銀行などの送金情報や処理状況を扱い、台帳間の決済を連動させ、xRapidは送金の途中で必要な流動性をXRPで確保し、xViaは企業などがネットワークへ送金を依頼するための入口として機能していました。したがって、RippleNet上で処理されたすべての送金がXRPを経由していたわけではありません。名称同士の関係について詳しく知りたい場合は、第6章のRippleNetと3つの製品に関する各節をご参照ください。

2019年のRipple社の市場レポートでは、ODLが旧xRapidとして説明されています。送金の際にXRPを用いて流動性を確保するという中心的な考え方は引き継がれましたが、接続先、対象市場、運用条件などは時代とともに広がっていきました。さらに、2023年のRipple Paymentsは、従来RippleNetと呼ばれていた企業向け決済事業を発展させたものです。2026年の製品説明には、法定通貨だけでなくステーブルコインも扱う機能が盛り込まれています。このように、現在の説明を過去の取引にそのまま当てはめるのではなく、当時利用できた機能と公表された実績を分けて読み解くことが大切です。

出典・参考資料