2024年に下された終局判決を受け、米証券取引委員会(SEC)とRipple社はともに上訴(控訴)の手続きをとりました。地方裁判所の判決内容がそのまま確定するのか、それとも上級審で覆るのか――。2025年におけるRipple社の動向や立ち位置を正確に理解するためには、まず何よりも、長年続いてきたこの訴訟の行方を確かめておく必要があります。
法廷闘争が続く一方で、同じ年にRipple社はビジネスを大きく広げる動きを見せました。企業向け決済の領域において、取引やステーブルコイン決済、さらには企業財務(トレジャリー・マネジメント)を手がける各社の買収を相次いで発表したのです。
海外へ資金を送金する企業の実務を考えると、単に「国境を越えてお金を送る」ことだけで業務が完結するわけではありません。送金に必要な資金を調達し、通貨を取引(交換)し、安全に保管したうえで、日々の残高や資金繰りを適切に管理するという一連の業務が欠かせないからです。Ripple社はこれらの買収を通じて、そうした企業の財務・資金業務をどこまでトータルで担える企業へと進化したのでしょうか。
本章では、まず注目を集めたSEC訴訟の控訴の結末を振り返り、そのうえで各社の買収によってどのような役割や機能が加わったのかを順を追って見ていきます。
この章の節
- SEC訴訟の控訴取下げ
控訴が取り下げられ、SEC対Ripple訴訟が終結に向かった経緯を整理します。 - Hidden Road買収とRipple Prime
Hidden Roadの買収と、機関投資家向けサービスRipple Primeの役割を説明します。 - Rail買収とステーブルコイン決済
Railの買収が、ステーブルコインを使う決済事業にどうつながるかを紹介します。 - GTreasury買収の発表
GTreasuryがどのような企業かを説明し、買収発表の意味を考えます。 - 2025年時点の製品体系
決済、保管、証券取引、企業財務に広がった製品を整理します。