2024年の転換点

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Rippleの2024年:訴訟と事業展開が刻んだ「二つの時計」

2024年のRipple社においては、まるで二つの異なる時計が同時に動いているかのような1年でした。一つは裁判所で着実に進む「訴訟の時計」、そしてもう一つは顧客向けに事業を拡大していく「ビジネスの時計」です。

法廷においては8月、過去に行われた一定のXRP販売に対して、民事制裁金の支払いと差止命令が下されました。しかしその一方で、事業面では歩みを止めることなく前進を続けていました。Standard Custody社の買収が無事に完了したことで「Ripple Custody」の保管機能が大幅に拡充され、さらに年末には米ドル建てステーブルコイン「RLUSD」が導入されるなど、実用的なソリューションの展開を着実に進めていったのです。

誰が何を決めたのか:3つの主体と手続きの違い

この時期に起きた出来事を正しく整理するには、「誰が、どのような手続きで決定したのか」を見極めることが欠かせません。

裁判所:Ripple社による過去の販売行為に対する「救済措置」を司法判断として下しました。

Ripple社(企業):自社の経営判断として、企業の買収や新たな製品・サービスの提供を決定しました。

公開ネットワーク(XRPLコミュニティ):特定の企業ではなく、世界中のバリデータ(検証者)による分散型の投票を経て、AMM(自動マーケットメーカー)機能をネットワーク上で有効化しました。

これらは同時期に起きたため混同されがちですが、決定した「主体」も「進められた手続き」もまったく異なります。たとえば「企業の買収発表日と完了日」「製品の発表日と利用開始日」、そして「ブロックチェーンにおける機能修正(アメンドメント)の提案日と有効化日」をそれぞれタイムラインに並べて比較してみると、民間企業のビジネスと分散型ネットワークのガバナンスが、それぞれ独立したプロセスで動いていることがよく分かります。

銀行間送金から広がった仕事:決済の「前後」を支えるエコシステム

2010年代のRipple社を「国際送金・銀行間送金の会社」として記憶している読者の方には、カストディ(資産の保管)やステーブルコインの提供といった動きが、一見すると本業とは別の分野へ手を出しているように映るかもしれません。

しかし、企業が実際に国境を越えて価値を移動させる一連の流れを考えると、それらはすべて一本の線でつながっています。資産を送金するためには、送る前に安全な環境で資産を保管しておく必要があり、送金時には実用的な形の資産を準備し、さらに受取側でも即座にビジネスで使える状態に整えなければなりません。

  • Ripple Payments:国際送金そのものをスムーズに行う
  • Ripple Custody:送金の前後に不可欠な資産の安全な「保管」を担う
  • RLUSD:価値の基準や決済手段として扱いやすい「米ドル建て資産」を提供する

このようにそれぞれの役割をたどっていくと、Ripple社の事業は決してバラバラに広がったのではなく、送金・決済という中核業務の「前後」に必要なプロセスを埋めるように自然と広がっていったことが理解できます。

2024年の終局判決を受け、米証券取引委員会(SEC)とRipple社はともに控訴手続きへと進むことになりました。次章では、この控訴がどのような結末を迎えたのか、そして相次ぐ買収によってRipple社の事業が取引、財務管理、決済の周辺領域へとどのように広がっていったのかを詳しく見ていきます。

出典・参考資料