XRPが証券だとするFUDについて

Contents

証券問題とは何なのか?

はじめに

「XRPは証券だ」というFUDがあまりにも大規模に拡散されている現状を見て、何か私にも出来ることがないかと考えてこの記事を書くことに決めました。まず、仮想通貨(暗号資産)と呼ばれるものを法律上の証券として扱うかどうかというのは各国が決めることです。ですから、それらを証券として扱う国もあれば、そうではない国もあります。

そして結論から言うと、日本ではXRPは証券ではないというのが仮想通貨の規制・監督を行う金融庁の見解です。これは資金決済法という法律に基づくもので、それらの取り扱いについては金融庁が厳しく規制を行っています。国内の暗号資産交換業者がXRPの取り扱いを許可されているのは、XRPが証券ではなく資金決済法で定められた暗号資産だからです。また、日本以外でもアメリカやイギリスでXRPが規制当局によって証券と認定された事実はありません。

FUDとは:
消費者の恐れ(Fear)、不安(Uncertainty)、疑念(Doubt)を煽って競合製品を購入させないようにするマーケティング戦略。自社製品よりも高性能かつ安価な競合製品が登場した場合に、「その製品はまだ出たばかりで信頼性が疑わしいので当社の製品を使った方が良い」というような噂を流し、消費者の恐れ、不安、疑念を煽って競合製品を購入させないようにすること。

証券問題の発端(DAO事件とハウェイテスト)

では、そもそも仮想通貨と証券の問題はどこから始まったものだったのでしょうか。これはアメリカのSEC(証券取引委員会)が『ICO』(イニシャル・コイン・オファリング)と呼ばれる投資スキームを実施したドイツ企業 Slock.it が立ち上げたバーチャル組織『The DAO』が発行したトークンが証券に該当すると発表したのが一連の騒動の始まりです。

2017年7月25日、SECはICOが有価証券の発行にあたるとする調査レポートを発表しました。

SECの報告書によると、The DAOのトークンは最高裁判例に基づく有名なハウェイテスト(Howey Test)に照らして、証券取引所法で規定される証券の中の投資契約に該当すると判断されました。ハウェイテストとは、1946年のアメリカ証券取引委員会対W. J. Howey社事件における最高裁の「1933年証券法における投資契約の基準は、①発起人または第三者の経営的努力から得られる②利益の合理的な期待を前提とした③共同事業への④金銭の投資の存在である。」という判断に基づき、特定の取引が証券法によって定められる証券の投資契約に該当するかどうかを判断するテストです。

以下にSECが「DAOトークンは証券である」と主張する報告書の一部を抜粋して和訳します。

和訳:
証券法の第2条(a)(1)および取引所法の第3条(a)(10)において、証券は『投資契約』を含みます。15 U.S.C. §§ 77b-77cを参照 投資契約とは、起業家または第三者の経営的努力に由来する利益の合理的な期待を伴う共同事業への金銭の投資です。SEC v. Edwards, 540 U.S. 389, 393 (2004); SEC v. W.J. Howey Co., 328 U.S. 293, 301 (1946);を参照、United Housing Found., Inc. v. Forman, 421 U.S. 837, 852-53 (1975)も参照 (投資契約の『基準』は、起業家または第三者の経営的努力から得られる利益の合理的な期待を前提とした共同事業への投資の存在である。)

出典:SEC

これにより他のICOについても投資契約(つまり証券)に該当する可能性が高くなったことから仮想通貨界隈が騒がしくなったというわけです。

参考記事:仮想通貨が「証券」に該当するかを判定するHowey(ハウェイ)テストとは

ICOの証券問題に関するリップル社の見解

このSECからのICOに関する発表を受けて、リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスは2017年7月にツイッターで次のような感想を述べました。

ブラッド・ガーリングハウス:
ICOという名前は何の助けにもなりません。IPOのように聞こえます。鴨のように歩き、鴨のように鳴くならば、それは鴨です。

参考:ダック・テスト(Wikipedia)

そして、同氏はリップル社は2017年7月に『ICO=IPO:なぜSECがイニシャル・コイン・オファリングを規制するのが正しいのか?』と題する記事の中で、ICOに対するSECの判断を歓迎すると述べました。

ブラッド・ガーリングハウス:
SECのレポートは、DAOトークンは証券であり、その作者は「適用される証券法を遵守せずに株式を一般公開することによって法律を破った」と結論づけました。

私はこのグレーなエリアとなっていたものの公式な明確化を歓迎します。

後にICOの証券性に関する一連の騒動ついて、ブラッド・ガーリングハウスはハーバード大学で次のように話しています。

ガーリングハウス:
ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の元局長であるベン・ロースキーをRippleの取締役に迎え入れたとき、コアなクリプトコミュニティから「Rippleは終わった」と散々言われたが、その考えは間違っていると思う。今、我々が掲げている目標を実現するには規制当局との連携は必要不可欠だ。

最近、ニューヨーク・タイムズの記事で「EthereumやRippleは証券に該当するか」「証券をどう定義するか」について取り上げられた。実際、多くのICOに関しては証券と見なされることになると思う。それはユースケースがないからだ。Rippleは規制当局と連携することで幸いにして反政府、反体制の取り組みの一種と見なされていない。

ハウェイテストという1930年代のアメリカ最高裁の判決をベースに特定の取引が投資契約に該当するかを判断するためのテストがあるが、その診断に基づくとXRPは明確に証券に該当しないと私は思っている。

出典:Ripple CEO Brad Garlinghouse – Harvard Club SF Interview

しかし、規制に関して中央銀行や規制当局と足並みを揃えるリップル社の態度は、ICOを積極的に勧めていたクリプト界隈からの反感を買うことにもなりました。

ICOの始まりと2017年のICOバブルの様子

国内では2014年ごろからICOという言葉を頻繁に聞くようになりました。この裏には「インフルエンサー」と呼ばれるICOを積極的に宣伝してきた人達の存在があります。それらのICOの中には詐欺的なものも存在し、後にICOトークンを購入した人達が大きな損失を出したことで話題になったものもあります。

日本ではテックビューロが2017年8月に発表したCOMSAが109億円を集めたことで大きな話題になりましたが、ここにもクリプト業界では有名なインフルエンサーの影がありました。

テックビューロが設置したICO協議会の委員一覧
朝山貴生/Jaguar0625/細井良祐/福永充利/八田和信/TomBeno/増島雅和/朝山道央/LongWong/JeffMcDonald/村口和孝/平野洋一郎/西村依希子/狩野仁志/八木隆二/兼元謙任/岩井陽介/NateD’Amico/田中邦裕/小笠原治/佐藤航陽/井面善友/伊藤昌彦/志茂博/宍戸健/大石哲之/家入一真/中村仁

出典:FISCO

COMSAはクラウドファンディングで有名なCAMPFIRE社が参加することで話題を集めましたが、後に同社がそのような合意を行った事実はないとの発表をしたことから騒動へと発展しました。

一部報道機関より、仮想通貨を使った資金調達用ICO(Token Sales)ソリューション「COMSA」にて当社がICO(Token Sales)を行うとの報道がなされていますが、双方で詳細な諸条件などに基づいて合意に至った事実はなく、今後もCOMSA上でICOを実施する予定はございません。

出典:株式会社CAMPFIRE

ICOで資金調達をしたものの、今では開発が継続しているかどうかも怪しいプロジェクトすら存在します。例えば2017年12月にICOのプレセールを実施したConnectJobのウェブサイトを確認すると、現在はインスタグラムのフォロワーを販売するサイトになってしまっています。集めたお金がどこへ消えたのかが気になります。

このように、2017年からICOと呼ばれる資金調達スキームが特に活発に行われるようになり、『ICOバブル』と呼ばれる現象が起こりました。Block.one社が2017年6月にICOを行い当時市場最高額となる約41億ドルを調達したEOS、同年6月にBrave Software社がICOを通じて約40億円を調達したBAT(Basic Attention Token)、テレグラム社が2018年1月から実施したICOで約17億ドルを調達したGRAMなどは日本人の間でも有名です。

 

米証券取引委員会(SEC)と裁判所の見解

米証券取引委員会が違法なICOの宣伝について警告

2017年11月、SECは著名人が関与している違法なICOの宣伝に関する警告を発しました。

この警告の中で、SECは次のように述べています。

最近、著名人などがICOへの投資の宣伝をしています。The DAOに関するSECの調査報告書において、委員会はICOで販売されたバーチャル・トークンまたはコインは証券である可能性があり、米国で証券を提供および販売する者は連邦証券法を遵守する必要があると警告しました。証券であるバーチャル・トークンやコインを宣伝するいかなる著名人やその他の個人も、その性質、目的、そして宣伝と引き換えに受け取った報酬の金額を開示する必要があります。

出典:SEC

つまり、何者かが宣伝を行っていたICOが違法だと認定された場合、そのICOの宣伝を行っていた人物も法律により罰せられる可能性があることを示唆しています。

さらにSECトップのジェイ・クレイトンもSECの公式サイト上で声明を出しました。

この声明の中で、同氏は次のように証券性のあるICOがSECの承認を受けずに行われていることを警告しました。

ジェイ・クレイトン:
投資家はいかなるICOも今日までSECに登録されていないことを理解すべきです。

出典:SEC

米証券取引委員会がICOトークンの偽装サイトで警告

2018年5月、SECは投資家に対してICOを利用した詐欺に関する警告を行うことを目的に『HoweyCoins』と称する偽のICOサイトを設置しました。

米証券取引委員会トップ「ICOは証券として規制する」

2018年6月、米証券取引委員会(SEC)委員長のジェイ・クレイトンは、CNBCのインタビューに対してICOトークンを証券として規制すると述べました。

ジェイ・クレイトン:
暗号通貨:これらは国の通貨を置き換えるものであり、ビットコインでドル、ユーロ、円を置き換えるものです。このようなタイプの通貨は証券ではありません。

トークン、デジタル資産:私があなたにお金を渡し、あなたは立ち去り、ベンチャー企業を設立し、あなたに私のお金を与える見返りとして「あなたはリターンを得ることができますよ。」と言うものは証券です。そして我々はそれを取り締まります。我々はその証券の提供を規制し、その証券の取引を規制します。

出典:SEC chief says agency won’t change securities laws to cater to cryptocurrencies

つまり、トークンセールを実施したICOトークンに関して投資契約を結んでいることを問題視しています。そして、SECによって規制が行われるのはICOトークンの提供と取引であり、これは取引所がそれらの未登録証券であるICOトークンを取り扱うことも規制されるという意味です。

さらに同年4月にプリンストン大学で行われたイベントの中でも、同氏はトークンの証券性について次のように述べています。

ジェイ・クレイトン:
私が服を洗うためのランドリートークンを持っていたとしても、それは証券ではありません。しかし、私が10ランドリー・トークン一式を持っていて、そのコインランドリーが開発中で、それらが私が将来何かに使えるものとして私に提供され、そして私が来年登場するクラスのためにそれらを売ることが出来るから私がそれを買っているのなら、それは証券です。

私たちが規制の世界にいて分かることは、ランドリー・トークンの利用用途は時間とともに発展するということです。その用途は、証券に向かって発展することも出来れば、逆に向かって発展することも出来ます。

なぜなら、今日それが証券だからと言って、明日もそれが証券であるとは限らないからです。その逆も同様です。

出典:SEC Chief Touts Benefits of Crypto Regulation

ここでも投資契約に該当する特定の契約をランドリーコインという架空のトークンを例に説明しています。

それにしても最後の「その逆も同様です」というのが意味深です。つまり、「今日は証券だと判断されていないものも、明日は証券だと判断される可能性がある」ということでもあり、これには十分な注意が必要です。

連邦裁判所がICOには証券法が適用されるとの判決

2018年9月、連邦裁判所はICOは証券であり証券法が適用されるとの判決を下しました。

これにより、ICOに関してはSECに管轄権があることが示されることになりました。つまり、特定のICOに証券法が適用されるかどうかの判断はSECに委ねられることになりました。

SECコミッショナー「投資契約ではなく販売されているトークンは証券ではない」

2019年2月、SECコミッショナーのヘスター・ピアースはミズーリ大学のロースクールで次のように述べました。

ヘスター・ピアース:
トークンが投資契約として売られていない場合には、それらは完全に証券ではありません。投資契約としてではなく、機能しているネットワークの中で使用するために売られたトークンは証券の定義の範囲外です。

出典:米国証券取引委員会(SEC)

つまり、ICOのような手法で投資契約を結んで配布されたものではなく、機能しているネットワークの中で使用され販売されているトークンは証券に該当しないと説明しました。

SECがデジタル資産の有価証券性を判断するためのフレームワークを発表

2019年4月3日、SECは『デジタル資産の”投資契約”分析のためのフレームワーク』と呼ばれる、特定のデジタル資産が投資契約に該当するかどうかを判断するためのガイダンスを発表しました。

このガイダンスでSECはこれまでの見解と同様にハウェイテストへの準拠の重要性を述べるとともに、デジタル資産が投資契約に該当する可能性が低くなる次のような条件を示しました。

  • 分散台帳ネットワークとデジタル資産の開発が完了して運用されている。
  • デジタル資産の保有者が、特にそのような使用を促すインセンティブが組み込まれている場合、ネットワーク上でその目的とする機能のために直ちにそれを利用できる。
  • デジタル資産が、その価値やネットワークの開発に関する投機を促すのではなく、ユーザーのニーズを満たすために設計および実装されている。例えば、そのデジタル資産がそのネットワーク上でのみ利用可能で、通常は購入者が想定する用途に対応する数量のみを保持または移転することができる。
  • デジタル資産の価値の評価に対する期待が限定されている。例えば、デジタル資産の設計によりその価値が一定のままであるかまたは時間とともに低下するため、合理的な購入者が投資として長期間そのデジタル資産を保有することが想定されない。
  • 仮想通貨と呼ばれるデジタル資産に関しては、さまざまな状況で支払いを行うためにすぐに利用できる、または本物の(法定の)通貨の代わりとして機能する。
  • 商品やサービスに対する権利を表すデジタル資産に関しては、開発済みのネットワークまたはプラットフォーム内でそれらの商品またはサービスを得るか使用するために現時点で引き換えが可能である。
  • デジタル資産の評価から得られるいかなる経済的利益も、意図された機能のためにそれを使用する権利を取得することに対する副産物である。
  • デジタル資産が、そのデジタル資産の価値が上昇する可能性ではなく、そのデジタル資産の機能性を強調する方法で販売されている。
  • 潜在的な購入者がそのネットワークを使用して意図した機能のためにそのデジタル資産を使用することができる(またはできた)。
  • デジタル資産の移転能力の制限がその資産の用途と一致しており、投機的な市場を促進していない。
  • 積極的参加者が流通市場の構築を推進する場合、そのデジタル資産の移転がそのプラットフォームのユーザーによってそのユーザー間でのみ行うことができる。

 

SECによる未登録証券の取り締まりの現実

SECがICOを実施したビジネスマンを未登録証券の発行と詐欺で提訴

2017年9月、SECは違法な証券を発行して証券詐欺を行ったとして、ICOを実施したマクシム・ザスラフスキー(Maksim Zaslavskiy)と彼が経営する2つの会社を提訴しました。

2017年11月1日、ニューヨーク地検はマクシム・ザスラフスキー(Maksim Zaslavskiy)を詐欺の疑いで逮捕しました。

2019年11月、マクシム・ザスラフスキー(Maksim Zaslavskiy)は証券詐欺の共謀罪で懲役18ヶ月の判決を受けました。

SECが違法な証券の発行であるとしてICOを実施したPlexCorps社を提訴

2017年12月、SECは違法な証券を発行した詐欺であるとして、PlexCoinと呼ばれるトークンのICOを行ったPlexCorps社と創業者のDominic LacroixとパートナーのSabrina Paradis-Royerの資産を緊急凍結しました。同プロジェクトは2017年8月から実施されたICOで数千人の投資家から1500万ドル以上の資金を調達していました。

PlexCorps社はPlexCoinは証券に該当しないとしてSECに管轄権が無いと主張していましたが、2018年5月、 ニューヨーク東部地方裁判所はSECの管轄権を認めました。

2018年6月、SECはDominic Lacroixの資産を再び凍結しました。

2019年8月、Dominic LacroixとSabrina Paradis-Royerはそれぞれ100万ドルの罰金の支払いと証券の発行に二度と関与しないことでSECと合意しました。PlexCoinを発行したPlexCorps社は456万ドルの罰金と35万ドルの追徴金を支払いました。そしてPlexCorps社の代表者は、投資家はSECを通じて直接返金を受ける権利を有すると述べました。

2019年9月、SECはLacroixとParadis-Royerが裁判所命令を無視しているとして追加制裁を要求しました。

2020年7月、司法省はDominic Lacroix、Yan Ouellet、Sabrina Paradis-Royerを証券詐欺と電信詐欺の共謀、電信詐欺、そしてマネーロンダリングの共謀を行ったとして提訴しました。

SECが未登録証券の発行に該当するとしてマンチー社のICOの差し止めを要求

2017年12月、SECは違法な有価証券の発行に該当するとしてマンチー社(Munchee Inc.)のICOの差し止めを要求しました。

SECが違法な資金調達を行ったとしてICOを実施したセントラ・テックの創業者を提訴

2018年4月、SECはICOを通じた違法な資金調達を行ったとして新興企業のセントラ・テック(Centra Tech)の共同創業者のサフラブ・「サム」・シャーマとロバート・ファーカスを提訴しました。SECによれば、2人はこの違法な資金調達スキームを通じて3200万ドル(約34億円)余りを不正に調達したとされています。

2020年6月、セントラ・テックの共同創業者のロバート・ファーカス、サフラブ・シャーマ、レイモンド・トラパニは罪を認めました。

SECがICOの違法な宣伝を行ったとして有名ボクサーのメイウェザーを提訴

2018年11月、SECはセントラ・テックが行ったICOの違法な宣伝に関与したとしてプロボクサーのフロイド・メイウェザー・ジュニアと音楽プロデューサーのDJ・キャレドに対して不正利得の返還と罰金の支払いを求めました。

この事件でSECは、メイウェザー氏がICOを実施した3社から計30万ドルを不正利得として受け取っていたとして、30万ドルの罰金と1万4775ドルの判決前利息の支払い及び不正利得の返還を求めました。同様にキャレド氏に対しても5万ドルの不正利得の返還、10万ドルの罰金とその利息2725ドルの支払いが求められました。

SECがGladius Network社が実施したICOを未登録証券の発行と判断

2019年2月20日、SECはGladius Network社が2017年に実施したICOが未登録証券の発行に該当するとの判断を下しました。SECは同社がこのICOについて自己申告を行いSECへの調査協力を申し出たことと、投資家への補償とトークンを有価証券として登録することに合意したため罰金を科さないことで和解しました。

しかし、同社はSECとの合意を無視し9ヶ月後に解散を発表しました。

SECがICOを実施したKik社を未登録証券を販売したとして提訴

2019年6月4日、SECは2017年にKik社が行ったKinトークンのICOについて違法な有価証券の発行に該当するとして同社を提訴しました。SECによれば、同社はこのICOを通じて約1億ドルの資金調達を行っていました。

その後、Kik社はKinトークンの証券性についてSECと争う姿勢を見せていました。

しかし、ニューヨーク南部連邦地区裁判所は2020年9月30日にSECの勝訴判決を言い渡しました。

SECがICOSのICOを実施したICOBoxを提訴

2019年9月18日、SECは2017年にICOSトークンのICOを実施したICOBox社を未登録証券の発行を行ったとして提訴しました。

SECによれば、同社は2000人以上の投資家から1460万ドル相当の資金を調達していました。

SECがEOSのICOを実施したBlock.one社に罰金の支払いを命令

2019年9月30日、仮想通貨時価総額7位のEOSのICOについて、SECは未登録証券を販売したとしてBlock.one社に2400万ドルの罰金の支払い命令を下しました。

EOSのプロジェクトは2017年6月からEOSトークンのICOを通じて約41億ドルを調達したことで、史上最大のICO案件として注目を集めました。

SECがICOを実施したテレグラム社を提訴

2019年10月、SECはテレグラム社が2018年1月に行ったGRAMトークンのICOについて未登録証券の販売に該当するとして同社を提訴するとともに、ニューヨーク連邦地方裁判所に同ICOの停止処置を申請しました。

このテレグラム社が2018年に行ったICOは約17億ドルを調達したことでも知られていました。

テレグラム社は2020年5月に全面降伏し、巨額の制裁金の支払いでSECと合意しました。

Telegramのパブロ・デュロフCEOもまた自身のチャットグループで、12億米ドル以上を購入者に直接かローンの形で返済するプロセスを進めていると認めている。

出典:フィスコ

SECがICOを実施したBCOTに罰金の支払い命令

2019年12月18日、SECはBlockchain of Things社(BCOT)に対して、2017年12月に同社が実施したICOを通じて未登録証券の販売を行ったとして25万ドルの罰金の支払いを命じました。

また、同社はICOを通じてトークンを購入した投資家に資金を返還することで合意しました。

SECが”IEO”に関して証券に該当する可能性があるとして注意喚起

2020年1月、SECはICOのイノベーションとして宣伝されている『IEO』(Initial Exchange Offering)に関して証券に該当する可能性があるとして投資家に対して注意喚起を行いました。

SECがICOを実施したニューヨーク在住の男を提訴

2020年1月、SECはICOを通じて未登録証券の発行と詐欺を行ったとしてニューヨークに住むオポーティ・インターナショナル社創業者のセルギ・グリブニアック(Sergii “Sergey” Grybniak)、及びその関連企業のクレバー・ソリューション社を提訴しました。

SECの訴状によれば、セルギ・グリブニアック氏と同氏が創業したオポーティ・インターナショナル社はOPPトークンと呼ばれる未登録証券の発行を通じて200人近い投資家から約60万ドルを調達していました。

SECが違法なICOを実施したファンドマネージャー等を提訴

2020年1月、SECは違法なICOを通じて詐欺を行ったとしてボアズ・マナー(Boaz Manor)とその協力者、およびCGブロックチェーン社とBCT社の2社を提訴しました。

SECによれば、ボアズ・マナー氏はショーン・マクドナルドという偽名を使い、違法なICOを通じて3000万ドルを集めたとされています。

SECがICOに関与した俳優のスティーブン・セガールに罰金の支払い命令

2020年2月、SECはBitcoiin2Gen(B2G)が行った違法なICOの広告に関与したとして、俳優のスティーブン・セガールに罰金の支払い命令を出しました。これにより同氏は報酬として得た不正利得と15万7000ドルの罰金に加え審理前利息1万6000ドルの支払いに合意しました。

このプロジェクトについては、2018年3月にニュージャージー州証券局(BoS)が証券取引所法に違反するとして主催者に対してICOの停止を求める略式命令を出していました。

さらに、このICOの実施後に主催者がプロジェクトを放棄したとして問題になりました。

SECが未登録ICOを実施たいエニグマに罰金の支払いを命令

2020年2月、SECは2017年にICOを通じて約4500万ドルを調達したエニグマを提訴しました。エニグマはSECからの訴えに対し、損害賠償請求プロセスを通じて被害を受けた投資家に資金を返還することと、トークンを証券として登録し50万ドルの罰金の支払いをすることでSECと和解しました。

2020年9月、エニグマはSECに有価証券の登録書類を提出しました。

SECが未登録ICOで180万ドルを調達したDropilを詐欺で提訴

2020年4月、SECは未登録ICOを実施したDropilが財務状況とDROPトークンの収益性に関して投資家に嘘の情報を提供したとして提訴しました。

SECがBitClaveに対しICOで調達した2550万ドル(約27億円)の返金を命令

2020年5月、SECは未登録ICOを実施したBitClaveに対して、調達した2550万ドルを投資家に返金するよう命じました。

SECがICOを実施したテレグラム社に罰金の支払いと投資家への返金を命令

2020年6月、SECから2019年10月に違法なICOを実施したとして提訴されていたテレグラム社の裁判で、同社は1850万ドルの罰金の支払いとICOで調達した資金の投資家への返金を行うことが決定しました。同社はGramのICOを通じて17億ドルの資金調達に成功していましたが、このうち約70%を投資家に返金するとしています。

SECと司法省が違法なICOを実施したAMLビットコインの関係者を提訴

2020年6月、SECは違法なICOを通じた詐欺を行ったとしてNAC財団創設者のRowland Marcus AndradeとロビイストのJack Abramoffを提訴しました。NAC財団は2017年8月から2018年にかけてAMLビットコインのICOで560万ドル以上を調達していました。

SECが違法なICOを実施したBoon.Techに罰金の支払いを命令

2020年8月、SECは未登録証券の発行に該当する違法なICOを通じた詐欺を行ったとして、Boon.Techと同社CEOのRajesh Pavithranに対して罰金の支払いを命令しました。同社は2017年11月から2018年1月にかけて違法なICOを通じて米国や世界中の1500人以上の投資家から約500万ドルの資金を調達していました。SECは同社がICOで得た500万ドルの返金に加え追徴金60万ドルの支払いと、更に同社CEOのRajesh Pavithranに15万ドルの罰金の支払い及び業界からの永久的な追放を言い渡しました。

SECが違法なICOを通じて未登録証券の発行を行ったSalt Blockchain社に罰金の支払いを命令

2020年9月、SECは未登録証券の発行を行ったとして、2017年6月から2019年8月にかけてSALTトークンのICOを行ったSalt Blockchain社(旧Salt Lending Holdings社)を提訴しました。Salt Blockchain社は、投資家への返金と25万ドルの罰金の支払いに合意しました。

SECと司法省がICOの違法な宣伝と脱税を行ったとしてジョン・マカフィーを提訴

2020年10月、SECと司法省はサイバーセキュリティ・ソフトウェアの開発者として知られるジョン・マカフィーを7つのICOの違法な宣伝と脱税を行ったとして提訴しました。司法省によると、同氏は滞在中のスペインで逮捕されアメリカに身柄を引き渡される予定。

 

その他のICOをめぐる規制の動き

中国が「違法な調達行為」としてICOを禁止

2017年9月4日、中国人民銀行(中央銀行)など中国の金融当局がICOを「違法な調達行為」として禁止すると発表しました。

アメリカの証券取引委員会(SEC)が2017年11月にICOに関する警告を発したのと同様に、中国もかなり早い段階でICOの規制に動き出しました。

また、中国では無料で仮想通貨を配布する「エアドロップ」も形を変えたICOであるとして規制することを発表しています。

金融庁がICOについて利用者と事業者に対して注意喚起

2017年10月、金融庁はICOに関する注意喚起を行いました。

この中で、金融庁は次のようにICOが資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となる可能性について言及しました。

ICOの仕組みによっては、資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となります(注)。ICO事業に関係する事業者においては、自らのサービスが資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となる場合には、登録など、関係法令において求められる義務を適切に履行する必要があります。登録なしにこうした事業を行った場合には刑事罰の対象となります。

出典:金融庁

日本政府が仮想通貨のICOと証拠金取引を金商法で規制する法改正案を閣議決定

2019年3月、日本政府は仮想通貨のICOと証拠金取引を金融商品取引法(旧証券取引法)の規制対象であることを明確化する法改正案を閣議決定しました。これについて金融庁は、同法案の本国会での法案成立を目指すことと、2020年6月までに施行する見通しであることを記者に対して説明しました。

この改正法は「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案」(令和元年法律第28号)として国会に提出されていたもので、政府は2019年6月7日に資金決済法と金融商品取引法の改正法を公布しました。

これらの改正法の施行にあたり、金融庁は2020年1月14日に資金決済法や金商法等改正に係る政令・内閣府令案等、事務ガイドラインなどの改正案を公開しました。

SECが規制に準拠したICOトークンの発行を承認

2019年7月、SECは「レギュレーションA+」に準拠したICOトークンの販売を初めて承認しました。Blockstack社はこの申請費用におよそ200万ドルかかったことを明かし、これについて「仮想通貨業界への寄付」と説明しました。

Blockstack社はこのICOを通じて1550万ドルの資金調達に成功しました。

 

XRPは証券なのか?

「XRPは証券」の始まり

SECがICOトークンが証券であるという判断を下すと、どこからともなくXRPの証券性に関する噂が流れ始めました。この噂について、リップル社のチーフ・マーケット・ストラテジストだったコリー・ジョンソンは、CNBCのインタビューに対してXRPは100%証券ではないと説明しました。

コリー・ジョンソン:
間違いなく証券ではありません。過去の判例に基づいて、証券の基準に該当しません。

出典:Ripple says its cryptocurrency XRP is not a security

2018年5月、そのような状況の中、リップル社はライアン・コフィーという人物から「違法な証券を販売した」として訴訟を起こされました。この騒動についてブルームバーグは次のように伝えています。

訴状によると、コフィー氏は1月初旬に650XRPのトークンを約2.6ドルの単価で約1,690ドル分購入し、数週間後に売却して約551ドルの損失(初期投資の約32%)を出したとのことだ。

出典:ブルームバーグ

つまり、取引所でXRPの売買をして数万円損した人がリップル社に対して「数億円払え」という訴訟を起こしたという話です。最初はこんなしょーもない話から始まりました。そして、この裁判では第31代SEC委員長のメアリー・ジョー・ホワイトがリップル社の弁護をすることになりました(※ジェイ・クレイトンは第32代SEC委員長)。

リップル社CEO「XRPが証券でないことは明らか」

リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスは、2018年6月4日からヨーロッパで開催された Money 20/20 で CNBC のインタビューに対して、この問題に関してXRPは証券に該当しないと改めて同社の見解を述べました。ブラッド・ガーリングハウスは訴訟に関して「呆れている」としたうえで、次のように答えました。

ガーリングハウス:
XRPを2週間だったと思うけど、、、保有した人物がいて訴訟を起こしています。

XRPが証券であるかどうかは1件の訴訟によって決まるわけではありません。XRPが証券でないことは明らかで、リップル社とは独立して存在していると私は考えています。もしリップル社が明日無くなったとしても、XRPのエコシステムは存続し続けます。それは(リップル社とは)独立したオープンソースの技術です。

所有権の観点からすると、XRPを所有してもリップル社の株式の所有権は与えられません。また、今話したように、XRPには多くの実用性があります。だから私にとって、XRPは皆さんが知っている証券のようなものとは大きく異なります。そして我々は最終的にそういう結論を見出すだろうと考えています。

出典:Bitcoin is not the ‘panacea’ people thought it would be, Ripple CEO says

2018年6月22日、同氏は CB Insights 主催のイベントで、XRPが証券に該当しない3つの理由を次のように説明しました。

ガーリングハウス:

  1. もし明日リップル社が閉鎖したとしても、XRP Ledgerは動き続けます。それはリップル社と独立して存在するオープンソースの分散型テクノロジーです。
  2. XRPを購入している人々は、自分がリップル社の株式を購入していると思っていません。リップル社と呼ばれる会社があり、我々は株式会社で、我々には出資者がいます。しかし、XRPを購入してもあなたにリップル社の所有権は与えられませんし、リップル社からの配当や利益へのアクセス権も与えられません。
  3. XRPは問題を解決しています。証券に実用性はありません。

出典:Ripple CEO: 3 reasons XRP token is not a security

そして、3ヶ月後の同年8月に原告はあっさりと訴訟を取り下げました。

もう一つの証券訴訟「ザキノフ対リップル裁判」

2018年6月、ウラジ・ザキノフという人物が「XRPは証券だ」としてリップル社に対する集団訴訟を開始しました。

原告は、2018年1月に取引所で129,000XRPを購入して損失を被ったのはリップル社が未登録証券のXRPを販売したことが原因だと主張しています。しかし、これについて裁判所は次のような判断を下しています。

被告に加え、数え切れないほどのXRP保有者(原告を含む)がXRPを取引所で売却しており、原告が被告からXRPの初期の配布を購入したと合理的に結論づけることは不可能です。原告が主張した四半期において、リップル社が主張した取引所を通じたXRPの売却は、XRPでグローバルに取引された1,600億ドルのうちたったの1億5110万ドル(または0.095%)でしかありません。原告は、数十億の「代替可能な」XRPが活発に流通しており、「数千」の人々が「50以上の取引所」を通じてXRPを購入および売却したことを認めています。

訴状は、「被告が申し立てられた不正行為に対して責任を負うという合理的な推論を裁判所が引き出すことを可能にする事実に基づく内容」を主張しなければなりません。原告はそれに失敗し、むしろ原告がXRPを購入した会計四半期に、リップル社のXRPの売却が一日あたりの取引所の売却のごく一部を占めただけだと主張しています。これは、原告が彼のXRPを被告から直接「初期の分配」で購入したという「合理的な推論」を裁判所が引き出すことを可能にするには不十分です。

出典:Zakinov v. Ripple Labs, Inc., Case 4:18-cv-06753-PJH Document 70 Filed 09/19/19

つまり、この訴訟の対象となるのは原告が購入したと主張する129,000XRPの0.095%にあたる122XRPだけということです。更に原告が取引を行った「2週間」という期間を考慮すれば、約19XRPだけしか訴訟の対象にならないという判断を裁判所は示唆しました。

重要なことに、原告が口頭弁論で指摘した2018年Q1におけるXRPの購入は、その四半期に市場で取引されたXRPの0.095%にあたる被告の販売と比較すると、原告が被告から約122XRP(または、原告の2週間という取引期間、及びその期間中の被告による均一な分配を合理的に想定すれば約19XRP)を購入したという推論を裏付けています。

出典:Zakinov v. Ripple Labs, Inc., Case 4:18-cv-06753-PJH Document 85 Filed 02/26/20

これが示すことは、原告はリップル社から約19XRPを勝ち取るためにこの裁判を継続していることになります。しかも、原告は購入した金額の全てを取引期間の2週間で失ったわけではないため、原告が訴える被害額はXRPに換算すれば19XRPよりも更に少ないでしょう。常識的に考えれば裁判費用と時間の無駄であり、「これで美味しいハンバーガーでも買って」と被告が財布からお金を出して和解して終わりそうな話です。しかし、原告が膨大な時間と多額の裁判費用を費やしてしつこく裁判を続けている様子を見ると、この裁判の目的は原告が主張する被害額(数百円?)をリップル社から勝ち取ることではなく「XRPは証券だ」と主張することにありそうです。

専門家の見立てでは、この裁判が決着するには数年間を要するため、XRPが証券であるかどうかについてはこの裁判の決着を待つまでもなく、SECがガイダンスを発表するのが先になるだろうということです。そのため、「XRPが証券かどうか」を知るためにこの裁判を見守る意味は無いと言われています。

ニューヨーク州金融サービス局がXRPの販売・管理を許可

そもそもリップル社はXRPの販売と管理を目的に2016年6月に米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からビットライセンスを取得しています。このビットライセンスは、仮想通貨に対する規制としては全米で最も厳しいとされています。

昨年、ニューヨーク市は仮想通貨に対するライセンス制度を開始しましたが、リップル社は、ブロックチェーン技術により独自に開発した取引記録台帳”Ripple Consensus Ledger”上のデジタル資産(仮想通貨)である「XRP」 の機関投資家及び金融機関向けの販売・管理に関して、ニューヨーク州金融サービス局(New York State Department of Financial Services: NYDFS)より、本日「BitLicense」を受領いたしました。

出典:SBI Ripple Asia

世界の金融の中心として知られるウォールストリートを置くアメリカのニューヨーク州は、アメリカ国内の金融における規制のモデルにもなっています。NYDFSの仮想通貨に対する規制は厳格で、2015年8月にビットライセンスが施行されて以来その資格を取得できた企業はほとんど存在せず、リップル社がビットライセンスを取得した2016年6月時点で同ライセンスを取得していた企業はリップル社を含めて2社だけでした。

その後、ビットライセンスを策定した米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)初代局長のベンジャミン・ロースキーは、2017年11月にリップル社の取締役に就任しました。リップル社はコンプライアンス部門の強化に重点を置いており、オバマ政権でホワイトハウスの経済顧問を務めたジーン・スパーリングを2015年1月から取締役に置くとともに、イギリスの決済銀行間で大口ポンド立て資金移動契約を扱うCHAPS(The Clearing House Automated Payment System)の取締役で元SWIFT取締役のマーカス・トリーチャーも同社の重役を務めています。

金融庁「XRPは証券ではありません」

それでは日本でのXRPの法的な扱いはどうでしょうか? そこで証券取引等監視委員会に直接電話して確認したところ、「XRPは証券ではありません」という回答を頂きました。日本では証券に該当するものとそれ以外のものを法律で明確に切り分けており、法的な意味での『仮想通貨』は資金決済法で仮想通貨と定められたものです。XRPはその資金決済法で定められた仮想通貨であるため、証券に該当しないというのが金融庁の公式な回答です。(電話に出た担当者が金融庁の担当部門に確認した上での回答です。)

それに対してトークンセールを実施して販売されているICOトークンと呼ばれるものの中には、金融商品取引法の有価証券に該当するものがあるとのことでした。ですから、これらのトークンに投資する際には十分な注意が必要です。今回、私は証券取引等監視委員会に電話で確認しましたが、仮想通貨を取引する際には金融庁から仮想通貨交換業の認可を受けている取引所を利用し、心配であれば自分が投資しようとしているものが違法な有価証券に該当しないかを取引所や金融庁などに確認した方が良いでしょう。

私が金融庁から受けた回答を簡潔にまとめると次のようになります。

  1. XRPは証券ではなく資金決済法で定められた仮想通貨である
  2. 証券は金融商品取引法(金商法)によって規制されるものを指す
  3. 資金決済法で定められた仮想通貨が金商法で規制される証券に該当することはない
  4. トークンセールを実施したICOトークンの中には証券に該当するものがある

尚、金融庁に電話で問い合わせを行ったのは私だけではなく、他にも金融庁から同様の回答を受けた方々がいるのを確認しています。

日本は法治国家です。XRPを含む特定のデジタル資産が法律上の仮想通貨かどうかは資金決済法という法律に基づき決定されます。その規制を行う機関は金融庁であり、金融庁は専用の窓口を設けて日本の居住者への正しい情報の発信に努めています。これを妨害する活動は紛れもなく違法行為です。少し冷静に考えてみてください。例えば法律で株式と認められているものを「〇〇は株式ではない」という嘘の情報を発信して、関係企業や個人に損害を与える行為をしたらどうなるでしょうか。

米大手取引所のコインベースがXRPの取り扱いを開始

アメリカの大手取引所のコインベースは「XRPは証券の可能性がある」として長い間XRPの取り扱いをしてきませんでした。しかし、同社は2019年5月に米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からXRPの取り扱いの許可を正式に受けたとしてXRPの取り扱いを開始しました。

さらに同年11月から同社が発行するVISAデビットカードでXRPによる支払いをサポートしました。

イギリスの規制当局がXRPは証券に該当しないと明示

2019年8月、イギリスのFCA(金融行動監視機構)が暗号資産に関するガイダンスの最終版を公表したことで、XRPが証券や電子マネーには該当せずFCAの規制対象外であることが明らかになりました。これについてはリップル社から担当者による解説の動画がアップされています。

リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスはツイッターで次のように述べています。

ブラッド・ガーリングハウス:
あなたがXRPの分類について私の意見に同意しなくても、FCA(金融行動監視機構)が同意します。

これにあわせ、コインベースUKも2019年10月からXRPの取り扱いを開始しています。

CFTC前会長「XRPは証券ではない」

2020年6月17日、CFTC前会長(第13代)のJ・クリストファー・ジャンカルロは「XRPは証券ではない」とするレポートを発表しました。同氏はビットコインとイーサリアムは証券ではないと発言した人物であり、これまでクリプト業界は彼のことを”Crypto Dad”と呼んで称賛してきました。

同氏はこのレポートの中で、ハウェイテストにおける投資の

  1. 共同事業への
  2. 利益を期待した
  3. 発起人または第三者のみによる

という3つの観点からXRPを評価し、XRPはいずれの基準も満たしていないと結論づけました。

米下院議員「XRPは証券ではない」

2020年8月20日、アメリカのトム・エマー下院議員が仮想通貨を主題とするタウンホール・ミーティング(政治家が市民と対話する集会)を開催し、その中で「XRPは証券ではない」と発言しました。

このタウンホール・ミーティングにはリップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスも出席し、この中でトム・エマー下院議員は「私の立場は明確であり、XRPは証券ではない」とコメントしました。

 

もしもXRPが証券だったらどうなるの?

取引所が違法に証券を取り扱っていたことになる

まず、XRPに投資する人達にとって一番大きな問題になるのはここでしょう。仮にアメリカでXRPが証券と認定された場合、仮想通貨取引所は無許可で有価証券を取り扱っていたことになってしまいます。実際のところ、かなり多くのトークンがSECにより証券であると判断されたため、アメリカでは取引所が既にそれらのトークンの取り扱いをやめています(※逆にXRPの取り扱いは開始していますが)。

では何故これが問題になるかというと、取引所がXRP(またはその他のトークン)を取り扱えなくなれば、それらの取引が出来なくなることで流動性が下がり価格が暴落してしまう可能性があるからです。そして本当にそうなってしまった残念なトークンもたくさんあります。

従来の仮想通貨取引所がXRPを取り扱えなくなった場合(つまりXRPが証券であった場合)、XRPを取り扱いできるのは有価証券を取り扱える業者に限られることになります。例えば、日本なら既にXRPのCFD取引を開始しているSBI FXトレードやその他の金融商品取引業の資格を持つ会社(コインチェックの親会社のマネックス証券、DMM.com証券など)ということになるでしょう。しかし、既に日本を含む世界中の金融商品取引業者が仮想通貨市場に参入しているため、それによってXRPの取引が出来なくなってしまうということはないでしょう。

SECから罰金の支払い命令を受ける可能性

“もしも”XRPが証券だった場合、既にテレグラム社やEOSトークンのICO行ったBlock.one社などと同様に、XRPの販売を行っていたリップル社がSECから罰金の支払い命令を受ける可能性があります。もっとも、リップル社は規制当局の認可を受けて当該地域の法律に基づいてXRPの販売を行っているため、そのような事態になったときに本当に規制当局から罰金の支払い命令を受けるかどうかはちょっと疑問です。

また、これについては既にEOSトークンを発行したBlock.one社などがSECから罰金の支払い命令を受けていますが、他社でもそれがビジネスに深刻な影響を与える結果にはなっていないため、仮に起こったとしてもそれ自体は心配する必要はないでしょう。

SECから証券の取り扱い許可を受けなければいけない

XRPが本当に証券であった場合には、XRPの販売・管理を行っているリップル社はSECからそれらに関する承認を受けなければいけなくなるかもしれません。実際、SECの規制の下でICOトークンの販売を開始したBlockstack社は、その申請に200万ドルかかったことを明かしています。

しかし、これについてもリップル社がSECに認可が必要かどうかの確認もせずにXRPの販売を行っているとは考えにくいでしょう。ごく普通に考えれば、もしもXRPが証券に該当するのであればリップル社は既にXRPを証券として取り扱っているでしょう。

 

リップル社に濡れ衣を着せる人達(なぜ?)

ここまでを簡単にまとめると次のようになります。

  1. 証券問題の発端はICOでありXRPではない
  2. アメリカのSECはICOを有価証券の発行として規制する
  3. アメリカで違法なICOの宣伝を行うと罰せられる可能性がある
  4. 日本やイギリスではXRPは証券ではない
  5. 日本ではICOトークンを金商法の規制対象とする
  6. リップル社は金融局の認可を受けてXRPを販売・管理している
  7. SECは既に仮想通貨を利用した違法な証券の発行を取り締まっている

私がこの仮想通貨業界を見ていておもしろいなと感じるのは、XRP以外の有名な仮想通貨がSECから次々と証券と認定され提訴されているにも関わらず、SECから何も言われていないXRPだけがなぜか『証券問題』として大騒ぎされていることです。面白いというより不思議です。摩訶不思議アドベンチャーです。そして、XRPの証券性に関するFUDが拡散される根底には、現状の仮想通貨に関する「規制の不確実性」の話があります。つまり、「アメリカの規制当局による規制の方向性がまだ定まっていないから、もしかしたらXRPも証券と判断される可能性があるよ~」という何とも怪しい話です。これについては、リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスが発した印象的な言葉があります。

ブラッド・ガーリングハウス:
昨日SECが発した声明文の文脈について、私はクリプト界隈で現在の「規制の不確実性」について話されているのを聞きました。

何が不確実なのでしょうか?!

SECの声明は一貫しており明確です。「規制の不確実性」とは「願わくば我々はSECの規制を無視できるようにしたい」ということの単なる婉曲表現にすぎません。

まったく同感です。「XRPは証券だよ~」という話は、「違法なICOの宣伝等に関与した人達が自分が逃げるための口実として拡散しているものじゃないの?」と思って見ています。彼らの主張は主に2つです。

  1. XRPはリップル社によって発行された
  2. XRPの発行はハウェイテストにおける投資契約に該当する

つまり、「リップル社がXRPを発行する際に第三者と投資契約を結んだためXRPは証券である」という主張です。リップル社が投資契約を結んだと主張するのであれば、

  1. いつ?
  2. どこで?(公開?非公開?)
  3. 誰と?
  4. どんな内容の?

契約を結んだのか、または実質的にそれに該当する取引を行ったのかその論拠を示すべきです。とても不思議なことに、「ハウェイテストでXRPの発行が投資契約に該当する」と主張している人の中で、これについて話している人を私はこれまで”一度も”見たことがありません。なんとも奇妙というか怪しい話だと思わないでしょうか。最近始めたばかりの人達は知らないと思いますが、じつは過去のビットコインのブームから現在まで、この仮想通貨(暗号資産)の業界はICOを含む様々な投資スキームによって支えられてきました。

1つはビットコインのマイニングの仕組みを利用した『マイニングプール』と呼ばれるものです。これはマイニングプールを運営する会社が世界中の人達からお金を集めてPoWコインをマイニングし、報酬を分配する投資スキームです。これについての各国での法的な扱いを議論する人はほとんどいません。

次に登場したのはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)という仕組みです。これはホワイトペーパーの段階で、特定のトークンを保有すると保有量に応じて配当が分配されると謳われているものです。さらにこれを発展させることで、特定のノードを運用するユーザーに自身が保有するトークンを預けることで報酬が分配される仕組みまで出来上がっています。

そしてエスカレートした業界はICOと呼ばれる違法な有価証券を発行する投資スキームを実行するようになりました。しかし、この投資スキームが最初に実行される以前から、これは法律上の有価証券の発行に該当するのではないかと懸念する声があがっていました。

そうした状況の中で、規制に準拠した形で仮想通貨(暗号資産)やブロックチェーン技術を実用化すると言ったのがRippleプロジェクトを推進するリップル社でした。こうした態度に当時リップル社と協業していた取引所はパートナーシップを解消し、取引所が保有していた全XRPを市場で一気に売却するなどの嫌がらせを開始したのです。ビットコインのUASF(ユーザー・アクティベート・ソフトフォーク)で大手取引所が結託したことからも分かるように、世界中の取引所は協力関係にありましたから、彼らはリップル社を潰すことでも一致団結することになりました。これがリップル社にとって大きな打撃となったのは事実でしょう。しかし、私は最終的に勝利するのは合法的な取り組みをしている側だと確信しています。

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