ディートン弁護士「Rippleの賠償額は弁護士費用を下回る」

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ディートン弁護士がRipple訴訟の今後を予想

2023年7月に略式判決でRippleが勝利してから随分と時間が経ってしまいました。SECはRippleの役員2人への訴訟を(和解ではなく)自主的に取り下げたため、今後は略式判決をもとに、証券法第5条に違反したとされる部分(機関向けの販売)について、トーレス判事がRippleが支払う不正利得の返還額を決定するフェーズに入ります。

これについて、ディートン弁護士が今後のスケジュールと起こり得る結果について解説するライブ配信を行ってくれたので、以下に和訳を掲載します。

ライブが始まりました。CryptoLawTVへようこそ。発起人/主催者のジョン・ディートンです。

さて、最もホットな話題は、トーレス判事の最近の判決と命令でした。判決ではなく命令ですね。

そしてETFのニュースがあったことで、話題がそれました。それは本当なのか?Black Rockが提出したのか?Black Rockが申請したのか?でも、聞いてください。私はそれについて心配はしていません。なぜなら、私はXRPを売るつもりはなかったからです。だから、私はそれが一番ホットな話題なのは知っていますが、それについてコメントするつもりはありません。フェイクかフェイクでないかで意見が分かれているのは知っています。そして、なぜまだサイトに掲載されているのか、そういったことすべてです。

しかし、そのことはさておき、今日、Ripple訴訟で最大のニュースは、判事が裁判の最終段階のスケジュール・オーダーを出したことです。皆がそれを見られるように彼女の命令を出しましょう。

はい。ご覧の通り、彼女は2月12日に救済措置に関連するディスカバリーを完了するよう設定しています。

次に、 3月13日に SEC が準備書面を提出し、リップル社に支払ってほしい金額を正確に裁判所に要求します。

次に、4月12日にリップル社の反論が提出されます。

そして、4月29日にSECはリップル社の反対意見に反論します。

これがスケジューリングです。リップル社がSECの反論を認めない限り、最終準備書面は4月29日になります。

通常、判決は予想できます。90日というのが無難でしょう。60日かもしれません。しかし、90日だと仮定しましょう。そうすると、7月ということになります。つまり、来年の夏には最終的な判断がはっきりすることになります。繰り返しますが、これはリップル社だけの話です。ブラッド・ガーリンハウスとクリス・ラーセンは外されました。訴訟は棄却されました。リップル社に対する請求だけです。

2月12日に完了する、彼女の言う救済措置に関連するディスカバリーとは、SECがリップル社が支払うべき適切な罰金と損害賠償の額を提示することです。判事は、7億7000万ドルの機関への販売は、未登録の証券に関わる第5条違反であるとの判決を下しました。XRPの機関向け取引は7億7000万ドルにのぼります。

そして、今から2月12日までの間に、特定の人々の宣誓証言または書面による証拠開示が行われることになります。それが終わると、SECがやってきて「おい、10億ドルよこせ。5億ドルよこせ。 いくらでもいいからよこせ」と言います。そして、リップル社はそれに対して返答することになります。

当然、私たちは、リップル社が実際に7億7000万ドル以上を支払うことになるのか、実際にどのようなことになるのかについて話すつもりです。私の考えでは、それは絶対にあり得ません。それをこれから説明します。

では、ここで何が問題になっているのかを説明します。裁判所はどのようにして適切な損害賠償額を決定するのでしょうか? まず覚えておいていただきたいのは、これはFTXではないということです。Alex MashinskyでもCelsiusでもありません。詐欺事件ではありません。だから罰することはありません。

不正行為を行った場合には、不正を行った者を罰するのが目的です。偽り、不実表示、嘘、その他もろもろの不正行為に対してです。ここではそれが目的ではありません。

そこでまず考えるべきは、その前提です。その前提とは、「ある会社が販売を行ったにもかかわらず、開示を行わなかった場合、どのような救済措置が適切か」ということです。彼らが適切な情報開示を行わず、登録義務を怠ったということです。

それは無過失責任(不法行為において損害が生じた場合、加害者がその行為について故意・過失が無くても、損害賠償の責任を負うということ)と呼ばれる類のものです。邪な意図はありません。悪意もありません。いわば法的なチェックボックスにチェックを入れなかっただけです。だからリップル社を罰するつもりはありません。判事はそう判断するでしょう。

では、どのように判断するのですか? それを証明する判例があります。最初に紹介するのは、2020年のLiu対SECという訴訟です。その判例をお見せしましょう。これは、SECのやる気を失わせるような裁判に関するものです。

一番下にあるのが、基本的にこの裁判の要点です。そして、それは…

「不当利益の吐き出し(Disgorgement)の賠償額は不正行為者の純利益を超えてはならず、被害者のために支払われなければならない(私はこのMustを強調しています)。」

「純利益」というワードが出てきました。売上総額ではありません。売上総利益でもありません。これが第一のコンセプトです。

そして2つ目。「被害者」とありますね?ここには被害者が存在します。被害者は何かを失いました。彼らは何かしらの被害を受けています。ある種の金銭的損害賠償(Pecuniary damages)です。補償的損害賠償(Compensatory damages/相手方当事者の違反などにより損害を受けた金額の賠償)です。彼らが失ったお金に対する賠償です。それについて、これから少しお話します。

さらに、ごく最近、スチュアート・アルデロッティが取り上げた訴訟がありました。そして彼はそれをツイートしました。それがこちらです。

「SECは今週も敗訴しました。第2巡回区、つまりリップル社の裁判が行われる巡回区ですが、SEC対Govil訴訟では、SECは『投資家』が実際に金銭的損害を被ったことを証明しなければ、不当利益の吐き出しの賠償金を求めることはできないと裁定されました。つまり、『No harm, no foul』(被害がなければ罪に問われない)ということです。」

スチュはここで何を言いたいのでしょうか?それは、私が先ほど、最高裁の最初の引用で、「被害者のために」の「Must」を強調したと言ったことです。リップル社を罰するためではなく、誰かが何かで利益を得て、被害者がいた場合、その被害者に金銭的な損害を与えたのだから、適切な救済をすることが目的なのです。それがすべてです。

つまり、それがGovil訴訟の判例です。だから、私はそれを取り上げました。Govil訴訟の結論は基本的にそこにあります。

「地方裁判所は、詐欺によって投資家が被った金銭的損害を認定せずに不当利得の返還を命じることにより、その裁量を濫用しました。我々は地方裁判所の判決を取り消し、事実認定を行うよう指示して差し戻します。地方裁判所が詐欺が金銭的損害を引き起こしたと結論付け、その不当利得の返還が認められた場合、地方裁判所は返還される証券を評価し、その価値を全体的な不当利得返還の授与額に対して算定しなければなりません。」

そして、あなたは自分でそれを読むことができます。しかし、第2巡回区は連邦地裁の判決を破棄し、基本的に何らかの損害がなければならないと判示しました。「投資家が損害を被らなければならない」のです。

では、これで皆さんの前に判例が出揃ったことになります。しかし、その前にもう一つ知っておくべき判例があります。なぜなら、私たちが純利益と被害と言うときには、あなたは被害者が実際に被った経済的損失を示す必要があるからです。ここで、ジェレミー・ホーガン弁護士がツイートしたものをお見せします。

彼がツイートしたのは基本的にMorrison判決と呼ばれるものです。あなたがそれを読む必要はありません。ただ、その出典をお伝えしたいだけです。これは合衆国最高裁判所からのものです。この判例はブリーフィングの中でかなり引用されました。つまり、SECが管轄権を持つのは米国内での販売だけだということです。いいですか。「米国内での販売」です。

では、想像してください。ブラッド・ガーリンハウスとクリス・ラーセンは、彼らの準備書面または訴訟の初期段階において、ブラッド・ガーリンハウスのXRP販売の95%が米国外で行われたことを指摘しました。それらはXRPが証券ではない英国で行われました。それらはXRPが証券ではない日本で行われました。シンガポールかもしれませんし、他の場所だったかもしれません。

つまり、リップル社の弁護士、ブラッド・ガーリンハウスの弁護士が言っていたのは、「見てください。この1億5千万ドルは、、ブラッド・ガーリンハウスはXRPの95%を米国外で販売しました。SEC、あなたはそれについては管轄権がありません」ということです。

つまり、その問題はリップル社の7億7000万ドルにも当てはまるということです。この数字を使いましょう。「7億7000万ドル」です。そのうち何億ドルが米国内で販売されたのでしょうか? もし米国内で販売されていなければ、SECはそれをカウントすることは出来ません、まる。

では想像してください。リップル社の機関向けの販売が、ブラッド・ガーリンハウスの販売と同じだとしたら。ブラッド・ガーリングハウスの販売は95%が米国外でした。もしリップル社がそれと同じだとしたら、7億7000万ドルのうち…。私はライブを始める前に計算してみました。

6億ドルが… いや、7億3100万ドルが差し引かれます。私はそれが事実だと言っているのではありません。私はただ、XRPがどれほど急激に減少する可能性があるかを示していると言っているのです。そうすると、XRPの販売額のうち3900万ドルが残ります。もし90%が米国外だとすると、7700万ドルになります。

私はその数字を知りません。だから、あなたに伝えることはできません。私が言えるのは、それらがすべて米国内であるはずがないということだけです。だから、その数字は大幅に減るだろうということです。それが、リップル社がSECに対してどのような書類を提出するのか、判事が知りたがっているディスカバリーの部分です。

リップル社が行ったすべての販売を見ます。リップル社が米国外で行ったすべての販売を見ます。すると、その数字はどんどん小さく、小さく、そして小さくなっていきます。Morrison判例を採用することになれば、その数字はずっとずっと小さくなります。

では、純利益を計算しなければいけないという、Govil判例とLiu判例を引用してみましょう。それでは、米国内での販売が1億ドルだったとします。正当な事業経費を控除することができます。私はそれがいくらなのか答えを知りません。しかし、私が最初に思いついたのはこれです。私は、税務上、弁護士費用は合法的な事業経費であることを知っています。

しかし、あなたは、リップル社がSECと戦うための弁護士費用を差し引くことができるかどうかを想像することはできます。それが控除できるかどうかは疑問です。その答えはわかりません。ただ、そう考えるとユーモラスな気持ちになります。そして、このようなことを毎日行っている経験豊富な証券弁護士がいます。そのうちの一人に聞いてみることも出来るでしょう。しかし、正当な事業目的を達成するための正当な事業経費です。

それは純利益の問題につながります。もしリップル社に純利益がなかったらどうなるでしょう? 私たちはそのようなシナリオを考える必要があります。そして最終的に、米国外での販売に関するMorrison判例を適用すると、その金額はもっと小さくなります。

そして、合法的な事業経費を差し引きます。そして、すでに激減している数字がさらに減少します。今、あなたは自分に尋ねる必要があります。それは被った経済的損失と結びついていなければなりません。

では、もしXRPの機関向けの販売のうち、その半分が、その全てが50セント以下のXRPだったら? 私たちは今日の時点で、損害はありません。経済的な損失はありません。XRPはそれ以上です。なぜなら、私は、それらの初期の機関向けの販売のかなりの部分が、今日のXRPの価格を大きく下回っていたと断言できるからです。他に何かあるでしょうか?

また、想像してみてください。リップル社はディスカバリーの際に準備書面の中で、ODL取引ではXRPは一時的に保有されるだけであるため経済的損害はないと主張すると想像できます。トーレス判事によるこの判決では、ODL販売が常に争点になっていました。しかし、ODL販売に経済的損害がなかった場合、救済措置の段階では、ODL販売はその方程式に含まれないことになります。そのために、判事は判決を覆す必要もなければ、ODLに関することを撤回する必要もありません。それはこの話の中では単に考慮されないだけです。

だから、それが基本的に私たちがいる立場です。私は開示される証拠が何なのかは知りません。私はあなたにその数字を伝えることはできません。ただ一つだけ言えることは、それは皆さんが考えているよりも大幅に低いということです。

そして、私はこれから何が起こるだろうと考えています。それでは最後にまとめます。私は、SECが最終的に13万ドルを受け取ったLBRY訴訟と同じことが起きると考えています。私は13万ドルで済むと言っているわけではありません。私が言いたいのは、LBRY訴訟では最終的に、SECは詐欺事件でもない訴訟で会社を倒産させ、何百万ドルもの税金を使い、詐欺を犯したことのない会社から13万ドルの罰金を取ったということです。嘘をつかず、虚偽の陳述をせず、情報を隠さず、協力した会社からです。

だから、リップル社のケースに目を向けると、最終的な数字がどうであれ、リップル社が支払った弁護士費用より少なくなるでしょう。私はこの予想を安心して、自信を持って行うつもりです。

またライブをします。そこで間違っていれば認めます。以前もそうしました。またそうします。もし間違っていたら、ライブ配信で「ヘイ、僕は間違っていたよ」と言います。しかし、私は、リップル社の訴訟費用である1億5000ドルほどは、彼らは支払わなくて済むと予測します。

そして、誰もが腰を抜かすことになるでしょう。リップル社に反対している人たちやリップル社のファンではない人たちでさえ、「My God… 嘘だろう?」と腰を抜かすことになるでしょう。では、リップル社が1000万ドルを支払うとしましょう。適当に数字を選びます。

じゃあ、2000万ドルだとしましょう。私たちは、「3年間の大規模な訴訟」と言うでしょうか? 個人投資家から SEC に対して何億ドルもの訴訟が起こされます。

この訴訟で受けたすべての損害。それが、最終的にリップル社が支払うことになるものです。弁護料に比べればほんの僅かです。

Sam Bankman-Friedが大暴れしているとき。Alex Mashinskyが大暴れしているとき。Voyagerが、BlockFiが、その他、クリプトで起こっていたこと全てのとき。私たちがSECを必要としていたとき。私たちが投資家を実際に保護するための警察が必要だったとき。そのようなことが起きているときに、彼らがやっていたことはこれです。LBRYと世界に誇るRippleです。

それはほとんどの人々を嫌悪させるでしょう。私はそう信じています。そして、クリプトをやっていない人でさえ、腰を抜かして「ワオ!たかがその程度の結果のためだけに、それを全てやってきたのか?」となるでしょう。莫大なリソースの無駄遣いとしか思えません。そして、間違った人々に注意を向けることで、注意をそらしました。悪人を取り締まる代わりにです。

正しいことをしようとしている人々に焦点を当てました。彼らが間違ったことをしたと主張しました。そして最終的に何を成し遂げたのか。それが我々が行き着くところです。

基本的に、私たちが何に向かっているのか、そしてこの救済セクションがどのようなものになるのか、ご理解いただけたと思います。来週はライブ配信はありません。皆さん、素晴らしい感謝祭をお過ごしください。私は皆さんに感謝しています。また2週間後にお会いしましょう。

 

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