Ripple Trade Japan(RTJ)元代表が逮捕されました

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Ripple Trade Japan(RTJ)とは

Ripple Trade Japan(RTJ)は、伊藤優樹こと竹中優樹(通称ムーさん)によって運営されていた日本初のRippleゲートウェイです。ゲートウェイとは、顧客から預かった資産と引き換えに IOU と呼ばれる預かり証を発行し、Rippleネットワーク上の残高の入出金を行うビジネスです。このように説明すると難しそうですが、簡単に言うと仮想通貨取引所のようなものです。取引所との違いは、Ripple Consensus Ledger(現XRP Ledger)は独立した両替システムとしての機能も有しているため、XRPと法定通貨を取引するためのツールをゲートウェイが提供する必要がないことです。

あらかじめ先に書いておきますが、今回事件を起こした Ripple Trade Japan は、Rippleの内部通貨である XRP の取引をするためのゲートウェイ(取引所)を運営していた業者で、Ripple/XRPやその開発元であるリップル社に問題が起きたわけではありません。Ripple/XRPのシステムやそれを取り扱う coincheck などのその他の取引所は、これまで通り正常に動いています。

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私が知る事件の経緯

当時、日本では主にRippleゲートウェイとして Ripple Trade Japan(RTJ)とリップル東京JPY発行所が利用されていました。RTJが主に使われていた理由は、RTJが2014年2月にゲートウェイ業務を開始してからリップル東京JPY発行所が2014年9月頃に同業務を開始するまで、それ以外の選択肢が無かったためです。伊藤優樹氏は当時2ちゃんねるで”ムー”という愛称で呼ばれており、日本にゲートウェイが存在しなかった時代に同氏がゲートウェイ業務を行うと買って出たのが RTJ の始まりでした。

しかし、新聞などの報道にもある通り、2014年末頃になると入出金情報を公開していた RTJ の公式ウェブサイトの更新が滞るようになってきました。手動でウェブサイトを更新していたことからも、同氏が専門的な知識を有していないことは明らかでしたし、多くのユーザーからは RTJ の信頼性について疑問の声があがっていました。2ちゃんねる上には、危険なので RTJ の利用はやめるべきだという書き込みまであるほどでした。

そして事件が発覚したきっかけは、2015年3月1日に RTJ のドメインが更新されずウェブサイトが閉鎖されたことによるものでした。当時、伊藤氏はツイッターでサーバー障害によるものと説明しており、2ちゃんねる上では管理人がドメインの更新を忘れただけだという楽観的な意見もありました。実際、2015年5月頃まではリップル東京JPY発行所よりもXRPを高く売れるという理由で RTJ を使い続けていたユーザーもいたようです。しかし、顧客からの出金依頼にいつまで経っても RTJ が対応しないことから、運営者の伊藤氏が顧客資産を持ち逃げしたことが発覚しました。

250 :承認済み名無しさん@転載は禁止:2015/03/01(日) 03:04:46.70 ID:U/St4FBN
RTJはタイミング的にドメイン更新忘れの期限切れだろ
ミス装ってわざと更新費用未納にしたんじゃ無きゃ今月20日までに手続きすればドメイン復活は倍額でできる
DNSで指してるIPのホストは今叩いたら生きてたからサーバ落ちでは無いな

Host rippletrade.jp
IP 113.153.44.103
逆引き KD113153044103.ppp-bb.dion.ne.jp

5ch.netより

ちなみにドメインが期限切れになる直前の2015年2月に RTJ は入金手数料を無料にするキャンペーンを行っていたようです。

326 :承認済み名無しさん@転載は禁止:2015/03/01(日) 10:24:50.93 ID:ePtd4m1M
RTJってゲートウェイ本格的にやばいね。
夜逃げじゃね~
1ヶ月の無料キャンペーンってのもいかにも入金増やすための行動で怪しかったし。。

5ch.netより

事務所は事件発覚後には既に無くなっており、伊藤氏が地元で豪遊しているという噂もあったようです。

374 :承認済み名無しさん@転載は禁止:2015/03/02(月) 09:57:10.40 ID:d4PLwvXB
もう事務所ないみたいだし、地元で豪遊してるって噂あった

5ch.netより

 

IRBAとは

IRBA(International Ripple Business Association/国際リップルビジネス協会)は、ゲートウェイを評価することを目的として設立された業界団体です(でした)。既にリップル社の方からもコメントが出ている通り、リップル社とは関係のない組織です。IRBAの認証を受けるには、財務状況や残高証明、通信セキュリティなどの審査をクリアする必要があり、当時、同団体の認証を受けていた国内ゲートウェイは、リップル東京JPY発行所とリップルエクスチェンジ東京(リップレックス有限責任事業組合)だけでした。

IRBAがリップル社によって運営されていたという情報や Ripple Trade Japan が IRBA の認証を受けていたという情報が流れていますが、おそらくこれらはリップル社を貶めるためのデマでしょう。

13 :承認済み名無しさん@転載は禁止:2015/02/12(木) 19:07:38.54 ID:2tQ8FJ7u
RTJの買い強すぎィ…誰が買ってるんだこれ
他の通貨も釣られて上がるだろうか

15 :承認済み名無しさん@転載は禁止:2015/02/12(木) 19:56:11.04 ID:F4aTrtHD
>>13
JPY→XRPの退避じゃないの?
IRBAのゲートウェイの値動きとは少し違うね

373 :承認済み名無しさん@転載は禁止:2015/03/02(月) 09:45:06.14 ID:Qo2ML1uv
RTJ入金手数料無料にしておいてこれか…

そんなに厳しかったのか。
IRBA加入手続き進められなかったのには理由があったって事なのね。
一体何に資金を注ぎ込んだんだろ。

5ch.netより

 

リップル社がRTJの利用を勧めていた?

リップル社が公式ウェブサイトに RTJ を掲載して利用を勧めていたという情報がツイッターなどで一部の人達によって拡散されていますが、これはあり得ません。なぜなら、原則としてゲートウェイの利用は自己責任というのが当時の常識だったからです。確かにリップル社は”Popular Gateway”というゲートウェイの一覧をナレッジセンターに掲載していました。下記のリンクはそのキャッシュです。

現在残っている最古のキャッシュには少なくとも RTJ は掲載されていませんが、事件当時掲載されていたかどうかまでは今となっては私も覚えていません。しかし、仮にこのリストに RTJ が掲載されていたとしても、リップル社は同ページ上で次のように説明していたように、ゲートウェイの利用は自己責任であることを強調していました

Ripple Labs is not affiliated with, endorse, or guarantee the performance of these gateways. Use of these gateways is at your own risk. For more details regarding your use of Ripple Trade please read the terms of use.

Popular Gateways – archive.org

和訳:
「Ripple Labsは、これらのゲートウェイの運営には関与しておらず、承認も保証もしていません。これらのゲートウェイの利用は、あなたの自己責任です。Ripple Tradeの利用に関する詳細については利用規約をお読みください。」

そもそも当時は Ripple Consensus Ledger 自体が実証実験中という位置づけであり、取引ツールである Ripple Trade の利用に関してもリップル社は責任範囲を明確にするために利用規約を設けていました。つまり、ゲートウェイやXRP、取引ツールの利用は完全に自己責任だったわけです。

 

Rippleとは

最後にRipple(リップル)について簡単に説明しておきます。Rippleは現在、世界中の金融機関が国際送金のためのシステムとして実用化に向けて導入作業を行っている仮想通貨技術を利用した送金システムです。日本では三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行などの計61行がSBIホールディングスと米リップル社の合弁会社である SBI Ripple Asia が主導する内外為替一元化コンソーシアムに参加しています。

2017年10月16日から10月18日にカナダのトロントでリップル社が主催する金融テクノロジーのカンファレンス SWELL が開催されており、FRB元議長のベン・バーナンキ氏やワールド・ワイド・ウェブの考案者(インターネットの父)であるティム・バーナーズ=リー氏などが参加しています。

Swellのアジェンダはこちら

Rippleを利用した国際送金システムは、三菱東京UFJ銀行が2018年1月の実用化を目途に開発が進められています。Rippleについての概要は、当ブログのRippleの概要に簡単にまとめているので、ご興味がありましたら是非ご一読ください。


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