リップル社が最新のビザンチン合意プロトコル『Cobalt』を発表

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リップル社が新たなビザンチン合意プロトコルを発表

リップル社が既存の XRP Ledger Consensus Protocol (XRP LCP) に代わる『Cobalt』と呼ばれる非同期のビザンチン合意プロトコルを発表しました。

今回リップル社から発表されたのは次の2つの論文です。

前者はこれまでの XRP LCP の安全性と稼働性を裏付けるとともにその特性を更に詳細に分析しており、Cobaltの必要性の裏付けとなる内容が記されています。後者は今回リップル社から新たに発表されたビザンチン合意プロトコルである『Cobalt』を提案する論文です。

従来の XRP LCP では、ネットワークの安全性を確保するために約90%を超えるバリデーターによる合意が必要でしたが、Cobalt が XRP LCP の安全許容範囲を満たすためのオーバーラップは60%であるとしています。

リップル社はこれまでも XRP Ledger の分散化を進めるための戦略として Dynamic UNL やリップル社の運用するバリデーターの比率の縮小を進めてきましたが、更に Cobalt という最新のビザンチン合意プロトコルの統合が目標に加わることになりました。同社の説明によれば、発表された2つの学術論文はこれから査読のプロセスを経ることになるということです。

 

Cobaltを発表した若き天才とは

Cobaltを発表したリップル社のイーサン・マクブラフ(リサーチ・エンジニア)に注目が集まっています。Ripple Consensus Ledger(現XRP Ledger)はマウントゴックスの創業者としても知られるジェド・マケーレブとデイビット・シュワルツ、アーサー・ブリットによって作られました。後にプロジェクトに BitcoinJS を開発したステファン・トーマスが加わり、同氏が考案したインターレジャー・プロトコル(ILP)が統合されました。そして現在 XRP Ledger の開発を指揮するのはハーバード大学でコンピュータ・サイエンスを専攻し、Bitcoinプロジェクトやその他のプロジェクトでもエンタープランナーとしての実績を持つウォーレン・ポール・アンダーソンです。

不思議なことに、今回の学術論文を発表したイーサン・マクブラフの経歴を調べてみると昨年まで学生だったことが分かります。まるでEthereumプロジェクト創設者のヴィタリック・ブテリンの再来です。リップル社のエミ・ヨシカワさんは次のように評しています。

ハーバード大学を卒業し、ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得したエミさんが「めっちゃ天才」と言うのですから天才の中の天才なのでしょう。(余談ですが、リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスもハーバードでMBAを取得しています。)そして、Rippleにはそのような若き天才が大学を中退してまで取り組む価値があるということです。

 

コバルト色の未来

まさかこの時期に XRP Ledger の次世代のコンセンサス・アルゴリズムが発表されると予想していた人は少ないでしょう。かつてリップル社は同社のビジョンについて述べた公式文書の中で Rippleネットワークの未来について次のように説明していました。

数十年にわたり、経済学者たちはグローバル通貨の利点について議論してきました。ノーベル賞受賞者のフリードリッヒ・ハイエクは、テクノロジーが他通貨モデルをより効率的にするであろうと予測し、「電子計算機が、最新の為替レートで全ての通貨の全ての価格の等価値を数秒ではじき出すだろう」と書き記しました。

Rippleの分散型為替は、ハイエクが予測したその『電子計算機』です。もっとも、おそらく彼が想像したものを遥かに超えるスケールのものです。Rippleはグローバルです。それは世界初のお金のためのユニバーサル・トランスレーターです。

Rippleプロトコル入門より

銀行の預金残高は信用創造によって膨らんでいるため、中央銀行が発行する通貨とは実際の価値が異なります。そのため国内の銀行間で資金を移動する場合、それぞれの銀行が中央銀行に開設している口座間で残高の振替を行います。国際間送金では中央銀行にあたるものが存在しないため、代わりにコルレス銀行のノストロ口座を利用して資金の移動を行っています。ノストロ口座のドル残高などを中間通貨として利用しているわけです。国際送金において、XRPはそのコルレス銀行とノストロ口座を利用することなく送金(価値の交換)を可能にします。

通貨という言葉の定義は「通用性のある貨幣」のことです。これはAとBという物の価値を交換するときの中間媒体として機能します。日本の中央銀行が発行する日本円は、国内の銀行間でそれぞれの残高(価値)を交換する中間媒体として機能しているわけですが、国際送金においては今後はXRPがその中間媒体の役割を担うことになりそうです。

ここで誰もが疑問に思うのは、通用性のある中間媒体さえあればあらゆる物の価値の交換が成立するのではないかということです。つまりXRPに通用性があれば、原理的には中央銀行が発行した通貨を介することなく世の中のあらゆる物の(電子化された)価値を交換することも出来るわけです。技術的に(そして法的に)本当にそのようなことが出来るのであれば、それに挑戦する価値は十分にあると思います。そしてリップル社は世界で唯一それに本気で取り組んでいる企業なのではないでしょうか。

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