Contents
- 1 2008年11月 サトシ・ナカモトが論文を投稿
- 2 2009年1月 ビットコインの最初の実装がリリース
- 3 2010年中頃 サトシ・ナカモトがギャビン・アンドレセンにプロジェクトを譲渡
- 4 2010年7月 ジェド・マケーレブがビットコイン取引所のマウントゴックスを設立(事業転換)
- 5 2013年3月~ キプロス危機の影響でビットコインが100倍に高騰
- 6 2014年1月 米当局がビットコイン財団幹部のチャーリー・シュレムを逮捕
- 7 2014年2月 マウントゴックスで巨額の盗難事件が発生
- 8 2015年4月 ビットコイン財団の理事が内部告発
- 9 2015年8月 ギャビン・アンドレセンとマイク・ハーンが Bitcoin XT をリリース
- 10 2016年1月 マイク・ハーン「ビットコインはもうダメです。」
- 11 2016年5月 クレイグ・ライトがサトシ・ナカモトだと名乗り出る
- 12 2017年4月 中国人マイナーのAsicBoostと呼ばれる手法を用いたマイニングが発覚
- 13 2017年6月 ギャビン・アンドレセン「グレゴリー・マクスウェルをコミッターにしたのは大きな失敗だった。」
- 14 2017年8月 ビットコインキャッシュが誕生
- 15 2017年10月 Bitcoin.com「ビットコインキャッシュがビットコインです。」
- 16 2017年12月 BIP創始者がビットコイン・プロジェクトの崩壊を警告
- 17 2018年2月 フィル・ウィルソンがビットコインの共同開発者と名乗り出る
- 18 2018年3月 児童ポルノがビットコインのブロックチェーン上で共有されていることが明らかに
- 19 2018年5月 たった30%前後のハッシュレートでビットコインを攻撃できることが発覚
- 20 2018年11月 ウィンクルボス兄弟が5000BTCを盗まれたとしてビットコイン財団元幹部を提訴
- 21 2019年1月 ETCでPoWブロックチェーンの脆弱性が露呈し100ブロック超が巻き戻し
- 22 2019年4月 ビットコイン取引の95%が偽装と判明
- 23 2019年8月 米連邦裁判所がクレイマンの遺族にクレイグ・ライトが保有するBTCの相続権を認める
2008年11月 サトシ・ナカモトが論文を投稿
日本では Wikipedia にすら書いてありませんが、Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)と名乗る人物が論文を投稿したのは2008年11月1日のことです。論文は『Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System』という題名で、ブロックチェーンと Proof of Work(PoW)と呼ばれるアルゴリズムによって支払いシステム(Cash System)を実現するという内容でした。1)Wallace, Benjamin (2011年11月23日). “The Rise and Fall of Bitcoin”. Wired. オリジナルの2013年10月31日時点によるアーカイブ。 2012年10月13日閲覧。
※暗号通貨と呼ばれている通り、ビットコインは送金ができないデジタルゴールドを目指して作られたものでは決してありません。
サトシ・ナカモトは謎に包まれた人物でしたが、彼が発信したメールから下記のようないくつかのことが分かっていました。
- オーストラリア訛りの英語
- 一人の人物ではなくチーム
- プログラミングが得意ではない
2009年1月 ビットコインの最初の実装がリリース
2009年1月9日にビットコインの最初の実装となる Bitcoin V0.1 がリリースされ、最初のビットコインが発行されました。
2010年中頃 サトシ・ナカモトがギャビン・アンドレセンにプロジェクトを譲渡
サトシ・ナカモトはビットコインの黎明期に100万BTCほどを採掘し、2010年にネットワーク・アラート・キーと Bitcoin Core のリポジトリを同氏が絶対的な信頼を置くギャビン・アンドレセンに譲渡しました。プロジェクトを譲り受けたギャビン・アンドレセンは2012年9月に設立されたビットコイン財団のリード・デベロッパーに就任しました。ギャビン・アンドレセンは Bitcoin Faucet の創設者でもあり、同ウェブサイトの訪問者に 5 BTC を配布していました。2)”Gavin Andresen, Bitcoin Architect: Meet The Man Bringing You Bitcoin (And Getting Paid In It)“. HuffPost. 2017年12月20日閲覧。
2010年7月 ジェド・マケーレブがビットコイン取引所のマウントゴックスを設立(事業転換)
2010年7月、P2Pファイル共有ネットワークの eDonkey の共同創設者として知られるジェド・マケーレブは、トレーディングカード交換所として設立された会社を事業転換し、ビットコイン取引所のマウントゴックス(Mt.Gox)を設立しました。社名の Mt.Gox は、Magic: The Gathering Online eXchange を略したものとされています。
2013年3月~ キプロス危機の影響でビットコインが100倍に高騰
2008年にアメリカで起きたリーマンショックを引き金に、2013年3月にタックスヘイブンとして知られるキプロスの金融危機が顕在化しました。キプロス国内の銀行が閉鎖され、預金への課税が発表されたことで逃避マネーがビットコインに流入し、2012年まで1,150円程度だったビットコインの価格が2013年12月までに最高で127,800円まで(つまり約100倍まで)高騰しました。この高騰でビットコインは世間の注目を浴びることになり、日本でもテレビがビットコインを大きく取り上げました。
2014年1月 米当局がビットコイン財団幹部のチャーリー・シュレムを逮捕
ビットコインのアーリーアダプター(初期の参加者)でビットコイン財団副会長のチャーリー・シュレムと”BTCKing”として知られるロバート・ファイエラが逮捕されました。チャーリー・シュレムは初期のビットコイン取引所として知られるビットインスタント(BitInstant)の運営者で、連邦検事のプリート・バララが出した声明によると、チェーリー・シュレムとロバート・ファイエラはインターネット上の闇取引サイト(ダークウェブ)の『シルクロード』を通じて違法薬物を売買する犯罪者らに、およそ100万ドル(約1億200万円)相当のビットコインを販売したとする容疑が持たれていました。後に2人は刑が確定し服役しました。
- ビットコイン取引業者2人を訴追、資金洗浄などの疑い 米当局
- 米検察、ビットコインで資金洗浄の疑いで2人を訴追
- 資金洗浄で起訴の男、ビットコイン団体幹部を辞任
- 焦点:仮想通貨ビットコイン、成長には「過去」との決別必要か
チャーリー・シュレムが経営するビットインスタントは、資産家のウィンクルボス兄弟から出資を受けたことでも知られています。
2014年2月 マウントゴックスで巨額の盗難事件が発生
2014年2月24日、世界最大のビットコイン取引所のマウントゴックスは突然全取引を中止し、取引所のウェブサイトが消されました。当時、マルク・カルプレスが同社のCEOを務めており、マウントゴックスは2011年3月に創業者のジェド・マケーレブから同氏に売却されていました。事件後の同年2月28日に会見が開かれ、マウントゴックス社CEOから事件の経緯が説明されました。
2015年4月 ビットコイン財団の理事が内部告発
ビットコイン財団理事のオリバー・ジェンセンが、同財団が事実上の破綻状態にあることを告発しました。ビットコイン財団の年会費は、個人向けが25ドル以上、企業向けは1,000ドル以上で、同財団の資産総額は2013年度末には470万ドルでしたが、これらが消えているという内容のものでした。
同財団は、チャーリー・シュレム(シルクロード関連で逮捕・服役)、マルク・カルプレス(マウントゴックスCEO)、ロジャー・バー(リバタリアン)、ギャビン・アンドレセン(サトシ・ナカモトの後継者)、ピーター・ヴェッセンによって設立されましたが、事件当時、同財団に残っていた設立メンバーはギャビン・アンドレセンだけでした。(お金はどこに消えたのでしょうか?)
結果的に、この事件はビットコインのガバナンスに関する問題の象徴的な出来事になりました。
2015年8月 ギャビン・アンドレセンとマイク・ハーンが Bitcoin XT をリリース
ブロックサイズに起因したビットコインのスケーラビリティ問題を解決するため、Google出身のコア開発者のマイク・ハーンとギャビン・アンドレセンがブロックサイズを拡張した Bitcoin XT をリリースしました。しかし、ビットコインネットワークのハッシュパワーを独占する中国人マイナーがこれに賛同せず、この提案は採用されませんでした。
2016年1月 マイク・ハーン「ビットコインはもうダメです。」
2016年1月、マイク・ハーンはビットコインプロジェクトの問題を内部告発し、プロジェクトを離脱しました。
同氏は声明の中でグレゴリー・マクスウェルの行動に関して警鐘を鳴らしました。これはグレゴリー・マクスウェル達が会社を設立して開発者を雇い、ビットコインを支配しようとしているという衝撃的な内容でした。(このマイク・ハーンによって発せられた声明は、現在においてもビットコインプロジェクトの内情を知るための重要な資料となっています。)
このマイク・ハーンの声明についてギャビン・アンドレセンは「マイクは悲観的過ぎる。」と楽観的な見解を示しました。
@binarybits @OctSkyward Yes, Mike is too pessimistic.
— Gavin Andresen (@gavinandresen) 2016年1月15日
2016年5月 クレイグ・ライトがサトシ・ナカモトだと名乗り出る
2015年10月にラスベガスで開催されたビットコイン投資家のカンファレンス『Bitcoin Investor Conference』にオーストラリア人のクレイグ・ライトという人物が登壇しました。
2015年12月、Wired と Gizmodo の2社による並行調査で、このオーストラリア人のクレイグ・ライトがビットコインの発明者である可能性が指摘されました。
- Bitcoin’s Creator Satoshi Nakamoto Is Probably This Unknown Australian Genius | WIRED
- Here’s All the Evidence That Craig Wright Invented Bitcoin
- ついにビットコインの生みの親が判明か、サトシ・ナカモトの本命とみられる人物がオーストラリア人男性である証拠が浮上
- ビットコインの生みの親、ついに判明か-米誌ワイアードなど報道
- This Australian Says He and His Dead Friend Invented Bitcoin
後にこれらの情報はセキュリティ研究者でダークウェブのアナリストとして活動しているグウェン・ブランウェン(仮名)から2015年11月上旬にGizmodoに匿名で提供されたことがわかりました。
Gizmodoに匿名で送られたメールにはクレイグ・ライトがサトシ・ナカモトである証拠が添付され、本文には次のように書かれていました。
私はサトシ・ナカモトをハックした。添付ファイルはすべて、彼のビジネスアカウントから取得したものだ。サトシは、クレイグ・ライト博士である。
[参考]セキュリティ専門家のクレイグ・ライト博士
Wiredの報道の数時間後、オーストラリア連邦警察はクレイグ・ライトのシドニーの自宅と関連する事業所に踏み込みました。AFPによれば、この捜査はオーストラリア国税庁の調査の一環だったとのことです。しかし、その後の報告は、同氏が巧妙なでっち上げに巻き込まれたという重大な懸念を提起しました。
- New Clues Suggest Craig Wright, Suspected Bitcoin Creator, May Be a Hoaxer | WIRED
- The Bizarre Saga of Craig Wright, the Latest “Inventor of Bitcoin” | The New Yorker
- SGI denies links with alleged bitcoin founder Craig Wright | ZDNet
クレイグ・ライトが自身をサトシ・ナカモトだと認める
2016年5月2日、クレイグ・ライトは自分がサトシ・ナカモトであると名乗り出ました。その主張はビットコイン財団のジョン・マトニス事務局長により裏付けられ、同氏は「クレイグはブロック#1で新規に生成されたコインとブロック#9で新規に生成されたコインに紐づく秘密鍵を使用してメッセージの署名と検証を行った。」と述べました。
- ビットコイン発明者だと名乗り出る 豪の起業家 – BBCニュース
- ‘I was the main part of it’: Australian computer scientist claims to be Bitcoin creator – The Washington Post
- Craig Steven Wright claims to be Satoshi Nakamoto. Is he? – Bitcoin’s creator
また、BBCの取材に対してクレイグ・ライトは「最初のビットコイン取り引きとして2009年1月にハル・フィニー(暗号研究者)に10ビットコインを贈るのに、このブロックを使った。」と説明しました。そして、同氏はアメリカ人の友人で2013年にMRSAの合併症により急逝したコンピュータ科学捜査(コンピュータ・フォレンジクス)の専門家のデーブ・クレイマンがホワイトペーパーの主筆であり、ビットコインの誕生に大きく貢献したと説明しました。さらにクレイグ・ライトは自身のブログ上でサトシ・ナカモトと自分を関連付ける情報を公開しました。
すると、クレイグ・ライトがBBCに対する実演の中で使用したとされる秘密鍵が本物ではないのではないかという疑問がネット上で投げかけられました。
これに対し、クレイグ・ライトがサトシ・ナカモトであるという主張の裏付けを行った当事者であるビットコイン財団のジョン・マトニス事務局長は次のように答えました。
There won’t be an on-chain signing from early bitcoin blocks, but there also won’t be another Satoshi.
— Jon Matonis (@jonmatonis) 2016年5月5日
初期のビットコインブロックからのオンチェーンの署名は存在しないが、他にサトシも存在しない。
参考:「私がBitcoin発明者」と告白した起業家が誹謗中傷を受けブログで謝罪、説明は一切しない方針に転換
※クレイグ・ライト氏は自身が望んでサトシ・ナカモトであると名乗り出たのではありません。だから、あなたが彼に対して「お前はサトシ・ナカモトじゃない。」と言って彼を攻撃する必要は全くありません。
ギャビン・アンドレセンがクレイグ・ライトをサトシ・ナカモトと認める
そして、サトシ・ナカモトの後継者であるギャビン・アンドレセンも、クレイグ・ライトがサトシ・ナカモトであると認め、「メールのやり取りを行い懐かしさを覚えました。そして、ロンドンで彼の持つキーで署名されたメッセージを見て確信しました。」と語りました。
- ギャビン・アンドレセンのブログ
- イアン・グリッグのブログ
- Bitcoin industry ‘sceptical’ of Satoshi identity claim | BBC News
- Bitcoin Creator Reveals Himself (Again); Cryptographers Say Evidence Is ‘Clever’ But Not Proof | Forbes
ギャビン・アンドレセンは後に自身のウェブサイトで次のように述べています。
If he was Satoshi, we should respect his wish to remain anonymous, and ignore him.
もし彼がサトシだったなら、私たちは彼の匿名でありたいという意思を尊重し、彼をそっとしておいてあげるべきです。
グレゴリー・マクスウェル等がギャビン・アンドレセンからソースコードへのアクセス権を剥奪
サトシ・ナカモトが名乗り出た一連の騒動を面白く思わないコア開発チームのグレゴリー・マクスウェルやピーター・トッドは、サトシの後継者であるギャビン・アンドレセンからビットコインのソースコードへのアクセス権を剥奪しました。
There is currently no publicly available cryptographic proof that anyone in particular is Bitcoin’s creator.
— Bitcoin Core Project (@bitcoincoreorg) 2016年5月2日
ビットコイン・コア開発チーム:
「現時点でビットコインの創始者であることを暗号学的に証明できた人物は誰もいない。」
FYI, @gavinandresen‘s commit access just got removed – Core team members are concerned that he may have been hacked. https://t.co/7re7z16TeR
— Peter Todd (@peterktodd) 2016年5月2日
ピーター・トッド:
「ご参考までにギャビン・アンドレセンのコミット権限は抹消されたよ。コア・チームのメンバーは彼がハッキングされたことを懸念している。」
[参考]電脳をハックされたギャビン・アンドレセン
2017年4月 中国人マイナーのAsicBoostと呼ばれる手法を用いたマイニングが発覚
グレゴリー・マクスウェルがBitmain社のマイニングチップをリバースエンジニアリングしたところ、ASICBoostと呼ばれる技術を用いてビットコインのマイニングの計算を高速化していることが発覚しました。
ASICBoostはティモ・ハンケとセルジオ・デミアン・レナーにより考案されたとされるビットコインの仕組みの脆弱性を利用してマイニングを約20%高速化する技術ですが、中国のBitmain社はこのASICBoostを同社の特許技術として取得して同社の Antminer と呼ばれるASICに組み込みました。
P2P(Peer to Peer)の分散型ファイル転送用プロトコルの BitTorrent を開発したブラム・コーエンは、これについて次のようにツイッターで述べました。
Bitmain took out a chinese patent on asicboost with no credit to the actual inventors. Isn’t that cute. https://t.co/OfTa7Xk7tj
— Bram Cohen (@bramcohen) 2017年4月6日
ブラム・コーエン:
Bitmain社は考案者の承諾を得ずにASICBoostに関する特許を取得した。素敵だね。
Antminerはビットコインのマイニング(採掘)を行う専用のチップで、Bitmain社の Antminer はビットコインマイニング用のASICの世界市場の70%以上を独占しています。そして同社は子会社のAntPool社とBTC.com社で Antminer を利用することでビットコインの総ハッシュレートの3分の1以上を支配しています。これによりビットコイン・ネットワークは事実上、同社の特許技術に支配される中央集権的なネットワークになってしまいました。
この不正が発覚したことで、ビットコインをサトシ・ナカモトが提案した本来の非中央集権的なネットワークにしようという有志による活動が更に活発化しました。
2017年6月 ギャビン・アンドレセン「グレゴリー・マクスウェルをコミッターにしたのは大きな失敗だった。」
その後、マイク・ハーンが警告した通りビットコインは悲惨な運命を辿ることになりました。そして2017年6月、遂にギャビン・アンドレセンは「グレゴリー・マクスウェルにコミット権限を与えたのは大きな失敗だった。」と発言しました。
Greg is wrong about Mike’s role. I invited him to be a committer before Greg; Mike declined.
Making Greg a committer was a huge mistake.
— Gavin Andresen (@gavinandresen) 2017年6月5日
ギャビン・アンドレセン:
「グレッグはマイクの立場について勘違いしています。私は彼をグレッグより先にコミッターとして招きましたが、マイクが辞退したのです。グレッグをコミッターにしたのは大きな失敗でした。」
もの凄いスキャンダルが出てきた。Redditでの200件以上ものアカウントハックと情報操作に関連して、ブロックストリームCTOでコアのリードデベロッパー、グレゴリマックスウェルの直接的な繋がりが発見された。redditの情報操作に彼が直接関係している可能性が出てきた。https://t.co/VVva3l9oW9
— Pluton (@23pluton) 2017年11月22日
2017年8月 ビットコインキャッシュが誕生
その後もビットコインのスケーラビリティ問題は泥沼の様相を呈してきましたが、2017年8月1日にブロックサイズを拡張したビットコインキャッシュが誕生しました。サトシ・ナカモトからビットコインプロジェクトを継承したギャビン・アンドレセン、ビットコイン財団の共同設立者のロジャー・バー、中国最大のマイニング工場の経営者でマイニングチップの主要な供給者のジハン・ウー等はビットコインキャッシュの支持を表明しました。
Bitcoin Cash is what I started working on in 2010: a store of value AND means of exchange.
— Gavin Andresen (@gavinandresen) 2017年11月11日
ギャビン・アンドレセン:
「ビットコインキャッシュこそが私が2010年に取り組み始めた価値の保存と交換手段を備えたものです。」
ロジャー・バー:
「トップはBCHやイーサリアム、もしくは他の通貨に代わると思いますが、少なくともBTCではありません。」
「私自身はBTCや、彼らのBTC拡張に関するアプローチ、言論の自由を尊重しない社会的なアプローチに対して好意的ではありません。」出典:YouTube
2017年10月 Bitcoin.com「ビットコインキャッシュがビットコインです。」
そして、ついに Bitcoin.com もビットコインキャッシュがビットコインであるとする見解を示しました。
Bitcoin Cash is Bitcoin: https://t.co/6OEAjdBqbF pic.twitter.com/HzBysBEPVs
— Bitcoin (@Bitcoin) January 21, 2018
Bitcoin.com:
「ビットコインキャッシュがビットコインです。」
Bitcoin.comの共同創業者 エミール・オルデンバーグは保有するビットコインを全て売却し、ビットコインキャッシュに乗り換えたと発表しました。
エミール・オルデンバーグ:
「ビットコインは今一番危険な投資だ。極度に高リスクだ。最近、持っていたビットコインを全部売却しビットコインキャッシュに乗り換えた」
「人々はビットコインの動作法を理解すればすぐに、ビットコインから離れる」
2017年12月 BIP創始者がビットコイン・プロジェクトの崩壊を警告
2017年12月、ビットコインの初期の開発者でBIP(Bitcoin Improvement Proposals)の創始者としても知られるアミール・ターキは、ビットコイン・プロジェクトが失敗し、崩壊に向かっていることを警告するツイートをしました。
Bitcoin is turning into a failed project. The seeds of its destruction among the debris of a community blinded by numerical price increases, and imminent divine reclamation. One day you will all understand my words but it will be too late, the ship would have sailed.
— Amir Taaki (@Narodism) 2017年12月26日
アミール・ターキ:
ビットコインは失敗プロジェクトになりつつある。数値的な価格上昇と神聖な教理によって盲目にされたコミュニティの残骸の中の滅びの種だ。ある日、あなたは私の言葉を理解するが、その時にはもう遅い。既に船は出航しているだろう。
この警告に対し、イーサリアムプロジェクト共同創設者のヴィタリック・ブテリンも次のようにクリプト・コミュニティへの警告を行いました。
If all that we accomplish is lambo memes and immature puns about “sharting”, then I WILL leave.
Though I still have a lot of hope that the community can steer in the right direction.
— Vitalik Non-giver of Ether (@VitalikButerin) 2017年12月27日
ヴィタリック・ブテリン:
イーサリアムを含む”すべての”クリプト・コミュニティはこれらの警告の言葉に注意して耳を傾けるべきです。何千億ドルものデジタルペーパー資産が急増していることと、実際に社会にとって意味のあることを達成していることを区別する必要があります。コミュニティが正しい方向に進むことが出来ることに私はまだ多くの希望を持っていますが、私たちが成し遂げることの全てがランボルギーニ・ミームと『排泄』についての大人げない駄洒落ならば私は去ります。
また、ビットコイン財団元理事のオリバー・ジェンセンも翌年1月に同様の警告を発しました。
Bitcoin Core dominance below 33% and dropping fast as hype is passing. Markets & news catching up with reality of a hijacked project and unusable currency, which has over 70% of its addresses stuck with funds that can’t be transferred out due to high fees. Expect dethroning soon.
— Olivier Janssens (@olivierjanss) 2018年1月4日
オリバー・ジェンセン:
ビットコインコアのドミナンス(占有率)は33%を下回り、ハイプの終焉とともに急速に下がっています。マーケットとニュースは、70%を超えるアドレスが高い手数料のために送金ができない資産を抱える使い物にならない通貨とハイジャックされたプロジェクトの現実に気付きつつあります。すぐに失脚するでしょう。
2018年2月 フィル・ウィルソンがビットコインの共同開発者と名乗り出る
2018年2月にスクロンティ(Scronty)ことフィル・ウィルソンが、Redditに『ビットコインの起源(Bitcoin Orgins)』と題したビットコイン誕生までの膨大な記録を綴った記事を投稿しました。フィル・ウィルソンによれば、クレイグ・ライト、デイブ・クレイマンの2人がオンラインギャンブルで利用する電子マネーの開発をフィル・ウィルソンに依頼したことが発端で、ビザンチン将軍問題を解いたのは自分だと主張しました。また、同氏はアメリカで LibertyDollar(自由ドル)と呼ばれる国家から独立した民間通貨を作ったバーナード・フォン・ノンハウスという人物が「アメリカのコインに似たコインを作った」として2011年に有罪判決を受けたことから、当時所有していた4万ドル分のビットコインと自分がサトシ・ナカモトと証明できるデータを全て破棄したと述べました。
※しかし、これらを裏付ける証拠は一切ありません。
2018年3月 児童ポルノがビットコインのブロックチェーン上で共有されていることが明らかに
アーヘン工科大学とヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学フランクフルト・アム・マインの2つの研究グループが、ビットコインのブロックチェーン上に児童ポルノ画像や児童ポルノサイトへの大量のリンクが含まれており、これを扱う産業が犯罪に巻き込まれる可能性があるとする論文を発表しました。
- A Quantitative Analysis of the Impact of Arbitrary Blockchain Content on Bitcoin
- Child abuse imagery found within bitcoin’s blockchain
- Child Pornography That Researchers Found in the Blockchain Could Threaten Bitcoin’s Very Existence
- 児童ポルノがBTCのブロックチェーン上に、犯罪に巻き込まれる恐れも
- ビットコインのブロックチェーンで児童ポルノへのリンクが数百件見つかる
研究チームによると、ビットコインで共有されているファイルの99パーセントはテキストまたは画像で構成されており、少数のファイルに性的な内容が含まれていることが確認されました。それらのファイルのうちの1つは、未成年の可能性が高いポルノ画像であると判断されました。他の2つのファイルには、児童虐待への合計274のリンクが含まれており、そのうちの142のリンクはダークウェブへのリンクであるとのことです。
2018年5月 たった30%前後のハッシュレートでビットコインを攻撃できることが発覚
2018年5月、PoWブロックチェーンを採用する日本発の暗号通貨のモナコインにおいて、セルフィッシュ・マイニング(selfish mining)を利用した攻撃が実際に行われて成功しました。このセルフィッシュ・マイニング(利己的なマイニング)を利用した攻撃は、ブロック非公開攻撃(block withholding attack)と呼ばれています。この攻撃によりモナコインのブロックチェーンは最大で24ブロック、8回に渡ってブロックチェーンの巻き戻しが起こりました。
PoWを採用するブロックチェーンを攻撃するためには理論上51%以上のハッシュレートを保持することが必要と言われてきましたが、このセルフィッシュ・マイニングを利用したブロック非公開攻撃では30%前後のハッシュレートだけでもPoWブロックチェーンへの攻撃が理論上可能であることが予てから指摘されていました。そして、この脆弱性に関してはコーネル大学(米国)のイッテイ・エーヤルとエミン・ガン・シラーが2013年に、そしてヘブライ大学(イスラエル)のアイアレット・サピルステイン、ヨナタン・ソンポリンスキー、アビブ・ゾハールが2015年に、それぞれ論文を発表していました。
- Majority is not Enough: Bitcoin Mining is Vulnerable(2013年)
- Optimal Selfish Mining Strategies in Bitcoin(2015年)
この事実について、ブロックチェーン技術の専門家は、PoWブロックチェーンの安全性について警鐘を鳴らしていました。
取引所は最大で24ブロックという非常に大規模なブロックチェーンの巻き戻しが起こったことにより大きな損害を被りましたが、このセルフィッシュ・マイニングと呼ばれるマイニング手法はPoWのルールに基づくものであるため、それを一概に『攻撃』であると断じることはできません。そしてPoWブロックチェーンを利用する限り、これに対する根本的な解決方法は存在しません。実際、モナコイン・プロジェクト公式も次のようにツイッターで述べています。
現状ではサービス提供側で入金の承認数を上げる以外に有効な手段はありません。
PoWコインである以上は避けられない問題でもあるので、PoS等への移行も視野に入れていく必要があると考えています。— monacoinproject (@tcejorpniocanom) 2018年5月17日
つまり、これを仕様として受け入れて使い続けるか、またはPoWブロックチェーンを用いた非中央集権化を諦めるかで当事者は選択を迫られることになりました。
と嘆いてばかりもいられないので、、、
最も少ない修正・影響で効果的な対策は、非中央集権を捨てて数ブロックおきのチェックポイントの配信かなと。— monacoinproject (@tcejorpniocanom) 2018年5月19日
2018年11月 ウィンクルボス兄弟が5000BTCを盗まれたとしてビットコイン財団元幹部を提訴
ウィンクルボス兄弟はビットコイン財団の元副会長でビットインスタント創業者のチャーリー・シュレムに5000BTC(約36億円)を盗まれたとして提訴しました。
- 仮想通貨長者ウィンクルボス兄弟、5000BTC(約36億円)盗まれたと元Bitcoin財団メンバーを告訴
- 初期ビットコイン投資家シュレム氏、ウィンクルボス兄弟が主張する5000BTC横領を否定
- Winklevoss Brothers Sue Charlie Shrem Over $32 Million in Bitcoin
- Bitcoin’s ‘First Felon’ Faces More Legal Trouble
訴えを起こした2人によると、ウィンクルボス兄弟が設立したファンドは2012年9月にチャーリー・シュレムが運営するビットインスタント取引所に投資として25万ドルを渡したが、チャーリー・シュレムはその全額をビットインスタントに投じず、さらに1ヶ月後に返済されたのは18万9000ドル相当のビットコインだけだったとのことです。裁判官はチャーリー・シュレムの資産の一部を凍結することに同意し、さらに裁判所に提出された宣誓供述書から同氏が2014年に有罪判決で決定した賠償金の95万ドルを支払っていないことが明らかになりました。
2019年1月 ETCでPoWブロックチェーンの脆弱性が露呈し100ブロック超が巻き戻し
2019年1月5日、アメリカの大手仮想通貨取引所のコインベース(Coinbase)は、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic:ETC)のブロックチェーン上で異常な再編成(reorganization)を確認し、ETCの取引を停止したと発表しました。
On 1/5/2019, Coinbase detected a deep chain reorganization of the Ethereum Classic blockchain that included a double spend. In order to protect customer funds, we immediately paused movements of these funds on the ETC blockchain. Read more here: https://t.co/vCx89dz44m
— Coinbase (@coinbase) 2019年1月7日
コインベース:
2019年1月5日、コインベースは二重支払いを含む大規模なイーサリアムクラシック・ブロックチェーンの再編成を検出しました。顧客の資産を保護するため、我々は直ちにこれらイーサリアム・ブロックチェーン上の資産の移動を停止しました。
- 仮想通貨イーサリアム ・クラシックに51%攻撃か 開発者側は否定
- 仮想通貨イーサリアムクラシックの損失額は1億円超=コインベース発表
- Ethereum Classicで100ブロック超の再編成(reorg)が発生し二重支払いなどの報告も、ネットワーク安定化に向けて調査継続中
- 仮想通貨イーサリアムクラシック(ETC)に51%攻撃、最終的に盗まれた仮想通貨は全額返還
調査の結果、100ブロック超にわたる15件のブロックチェーンの再編成が発生し、12件の二重支払いと21万9500 ETC(約1億2000万円)の被害が確認されました。更に追跡を行ったところ、16日までに盗まれたすべてのETCが取引所に返金されたことが分かり、この攻撃がPoWのセキュリティリスクについて警告するホワイトハッカーによって行われたものではないかという憶測が広がりました。
尚、攻撃が成功したイーサリアムクラシックは、Crypto51によればPoWを採用する仮想通貨の中では8番目に攻撃コストが高く、安全な通貨であるとされていました。この事件により、同様の攻撃はPoWを採用する仮想通貨の中でもマイナー通貨にしか起こり得ないとする説は完全に否定されました。
2019年4月 ビットコイン取引の95%が偽装と判明
アメリカのサンフランシスコに本拠地を置くビットワイズ・アセットマネジメントが世界の81の交換所を対象に売買状況を分析したところ、ビットコイン売買の95%の水増しであることが判明し米証券取引委員会(SEC)に報告書を提出しました。これにより米コイン・マーケット・キャップが結果的に水増しされた売買データを掲載していたことが判明しました。
2019年8月 米連邦裁判所がクレイマンの遺族にクレイグ・ライトが保有するBTCの相続権を認める
アメリカの連邦裁判所は、クレイグ・ライトが保有する『チューリップ・トラスト』と呼ばれる白紙委任信託(ブラインド・トラスト)に預けられた110万BTCとビットコインに関連する特許権について、サトシ・ナカモト論文の主筆であるデーブ・クレイマンの遺族に相続権があると認めました。
- Judge Recommends Ruling in Favor of Kleiman in Craig Wright Case
- EXCLUSIVE: First interview with Craig Wright after judge orders him to pay $5 billion in bitcoin
- Judge Confirms Ruling: Craig Wright to Forfeit 50% of Bitcoin Holdings
裁判官は「Satoshi Nakamoto」は3人のパートナーシップであると判断し、Bitcoinの保有の半分をクライマンエステートに授与すると判断
裁判所はまた、Bitcoinソフトウェアに関連する知的財産をKleimanの財産に付与しましたが、BitcoinSVに関連するものはありませんでした。https://t.co/iyLrhfoCBA
— $shu_🐲シュウまっする (@shu_BSV) August 27, 2019
出典・脚注
1. | ↑ | Wallace, Benjamin (2011年11月23日). “The Rise and Fall of Bitcoin”. Wired. オリジナルの2013年10月31日時点によるアーカイブ。 2012年10月13日閲覧。 |
2. | ↑ | ”Gavin Andresen, Bitcoin Architect: Meet The Man Bringing You Bitcoin (And Getting Paid In It)“. HuffPost. 2017年12月20日閲覧。 |