2025年春、イギリスにおける暗号資産・ステーブルコイン規制の本格始動が目前に迫る中、米Ripple社は今月初旬、ロンドンにて「UK Policy Summit(英国政策サミット)」を開催した。政府関係者や業界リーダーらが一堂に会し、イギリスが世界のデジタル資産市場でリーダーシップを取るための課題と戦略が議論された。
■ デジタル資産大国へのポテンシャルを秘めるイギリス
近年、ブロックチェーン技術の金融分野への応用が加速する中、イギリスはすでにFX、資本市場、保険・金融サービスなどで国際競争力を持つ。こうした基盤を活かせば、同国は「デジタル資産のグローバルハブ」としての地位を確立できると多くの参加者が強調した。
特に注目されたのが、暗号資産の利点がイギリス政府の「金融サービス成長・競争力戦略」に直結するという点だ。例えば、国際送金の高速化・低コスト化、24時間365日対応の取引インフラ、中小企業向け融資の円滑化、投資機会の拡大などが挙げられる。
■ サミットで浮き彫りとなった3つの焦点
サミットでは、次の3点が今後の規制設計と産業育成におけるカギとして浮かび上がった。
1. 規制整備は「スピード」が命
EUやシンガポール、香港などがすでに明確なルールを整備する中、イギリスは“second mover advantage”(後発優位性)を活かして、他国の事例を参考にしたバランスの良い規制を構築することができる。しかし、チャンスの窓は狭まりつつあり、迅速かつ明確な規制の策定が急務とされた。
2. ステーブルコインはエコシステムの柱
ステーブルコインは、暗号資産取引や国際送金、決済手段として不可欠な存在。参加者からは、リスクに見合った柔軟な規制とともに、海外発行のステーブルコインも含めた多様な選択肢を受け入れるべきとの提言がなされた。FCA(金融行動監視機構)には、ステーブルコイン規制の前倒し策定が求められている。
3. トークン化がもたらす金融革命
UK Finance の試算によると、2030年までにデジタル資産は世界の資本市場の最大10%(約4〜5兆ドル)を占める可能性がある。報告、決済、担保管理といった分野の効率化が進みつつあり、制度面の障壁を取り除くための政府と規制当局の積極的な姿勢が求められている。
■ Rippleの取り組みと今後の展望
Rippleはロンドンに拠点を構え、イギリス国内の開発者支援や教育支援にも長年力を入れてきた(XRPL助成金プログラムやUBRIなど)。今回のサミットは、イギリスが国際舞台でデジタル資産の中心地として躍進するチャンスであることを改めて浮き彫りにした。
同社は今後、業界関係者、規制当局、政策立案者と連携し、イギリスの成長戦略を後押ししていく方針だ。
イギリスは「次なるデジタル金融の中心地」となれるのか、今後数か月で発表される予定の暗号資産ルールブックが、イギリスの未来を大きく左右することになりそうだ。