証券取引等監視委員会「XRPは証券ではありません。」

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リップル社CEO「XRPが証券でないことは明らか。」

リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスは、6月4日からヨーロッパで開催された Money 20/20 で CNBC のインタビューに対して、XRPは証券に該当しないと改めて同社の見解を述べました。

リップル社はライアン・コフィーという人物から「違法な証券を販売した。」として訴訟を起こされています。これに対してブラッド・ガーリングハウスは訴訟に関して「呆れている」としたうえで、次のように答えました。

ガーリングハウス:
XRPを2週間だったと思うけど、、、保有した人物がいて訴訟を起こしています。

XRPが証券であるかどうかは1件の訴訟によって決まるわけではありません。XRPが証券でないことは明らかで、リップル社とは独立して存在していると私は考えています。もしリップル社が明日無くなったとしても、XRPのエコシステムは存続し続けます。それは(リップル社とは)独立したオープンソースの技術です。

所有権の観点からすると、XRPを所有してもリップル社の株式の所有権は与えられません。また、今話したように、XRPには多くの実用性があります。だから私にとって、XRPは皆さんが知っている証券のようなものとは大きく異なります。そして我々は最終的にそういう結論を見出すだろうと考えています。

この事件をブルームバーグは次のように伝えています。

訴状によると、コフィー氏は1月初旬に650XRPのトークンを約2.6ドルの単価で約1,690ドル分購入し、数週間後に売却して約551ドルの損失(初期投資の約32%)を出したとのことだ。

出典:ブルームバーグ

正直なところ、私はこんなものをネタにXRPが証券だと騒ぎ立てている人達の気が知れません。

 

証券問題の発端

では、そもそも仮想通貨と証券の問題はどこから始まったものだったのでしょうか。これはSEC(米証券取引委員会)が『ICO(イニシャルコインオファリング)』と呼ばれる投資スキームを実施したドイツ企業 Slock.it が立ち上げたバーチャル組織『The DAO』が発行したトークンが証券に該当すると発表したのが一連の騒動の始まりです。

SECの報告書によると、The DAOのトークンは最高裁判例に基づく有名なHoweyテストに照らして、証券法上の「証券」の中の「投資契約」に該当すると判断されました。これにより他のICOについても証券に該当する可能性が高くなったことから仮想通貨界隈が騒がしくなったというわけです。

この一連の騒動に対してリップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスは、ハーバード大学で次のように語っていました。

ガーリングハウス:
「ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の元局長であるベン・ロースキーをRippleの取締役に迎え入れたとき、コアなクリプトコミュニティから「Rippleは終わった」と散々言われたが、その考えは間違っていると思う。今、我々が掲げている目標を実現するには規制当局との連携は必要不可欠だ。」

「最近、ニューヨーク・タイムズの記事で「EthereumやRippleは証券に該当するか」「証券をどう定義するか」について取り上げられた。実際、多くのICOに関しては証券と見なされることになると思う。それはユースケースがないからだ。Rippleは規制当局と連携することで幸いにして反政府、反体制の取り組みの一種と見なされていない。」

Howey Testという1930年代のアメリカ最高裁の判決をベースに、特定の取引が投資契約に該当するかを判断するためのテストがあるが、その診断に基づくとXRPは明確に証券に該当しないと私は思っている。」

出典:Ripple CEO Brad Garlinghouse – Harvard Club SF Interview

また、同社のチーフ・マーケット・ストラテジストのコリー・ジョンソンも CNBC のインタビューに対して XRP は100%証券ではないと説明しています。

 

XRPは規制当局の許可のもと販売・管理されている

そもそもリップル社は XRP の販売と管理を目的に米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からビットライセンスを取得しています。

昨年、ニューヨーク市は仮想通貨に対するライセンス制度を開始しましたが、リップル社は、ブロックチェーン技術により独自に開発した取引記録台帳”Ripple Consensus Ledger”上のデジタル資産(仮想通貨)である「XRP」 の機関投資家及び金融機関向けの販売・管理に関して、ニューヨーク州金融サービス局(New York State Department of Financial Services: NYDFS)より、本日「BitLicense」を受領いたしました。

出典:SBI Ripple Asia

世界の金融の中心として知られるウォールストリートを置くアメリカのニューヨーク州は、アメリカ国内の金融における規制のモデルにもなっています。NYDFSの仮想通貨に対する規制は厳格で、2015年8月にビットライセンスが施行されて以来その資格を取得できた企業はほとんど存在せず、リップル社がビットライセンスを取得した2016年6月時点で同ライセンスを取得していた企業はリップル社を含めて2社だけでした。

その後、ビットライセンスを策定した米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)初代局長のベンジャミン・ロースキーは、2017年11月にリップル社の取締役に就任しました。リップル社はコンプライアンス部門の強化に重点を置いており、オバマ政権でホワイトハウスの経済顧問を務めたジーン・スパーリングを2015年1月から取締役に置くとともに、イギリスの決済銀行間で大口ポンド立て資金移動契約を扱うCHAPS(The Clearing House Automated Payment System)の取締役で元SWIFT取締役のマーカス・トリーチャーも同社の重役を務めています。

 

証券取引等監視委員会「XRPは証券ではありません。」

それでは日本でのXRPの法的な扱いはどうでしょうか? そこで証券取引等監視委員会に直接電話して確認したところ、「XRPは証券ではありません。」という回答を頂きました。日本では証券に該当するものとそれ以外のものを法律で明確に切り分けており、法的な意味での『仮想通貨』は資金決済法で仮想通貨と定められたものです。XRP はその資金決済法で定められた仮想通貨であるため、証券に該当しないというのが証券取引等監視委員会の公式な回答です。

それに対してトークンセールを実施して販売されているICOトークンと呼ばれるものの中には、金融商品取引法の有価証券に該当するものがあるとのことでした。ですから、これらのトークンに投資する際には十分な注意が必要です。今回、私は証券取引等監視委員会に直接確認しましたが、仮想通貨を取引する際には金融庁に仮想通貨交換業の届け出を行っている取引所を利用し、必要であれば投資しようとしているものが違法な有価証券に該当しないかを取引所や金融庁などに確認した方が良いでしょう。

※ところで、日本の居住者に対してXRPが違法な証券だという情報をばら撒いている輩がいますが、あれは法律に触れないのか金融庁に確認してみたいものです。

 

リップル社CEO「ビットコインの暗号通貨価格への影響はすぐに終わる。」

そしてリップル社のCEOは、ビットコインの暗号通貨価格への影響はすぐに終わるだろうと説明しています。

ガーリングハウス:
「XRPの価格とビットコインの価格の間には非常に高い相関関係がありますが、実際のところこれらは独立したオープンソースの技術です。」

「時間の経過とともにそれを反映するより合理的な市場と動きを見るのは間もなくでしょう。」

 

米証券取引委員会トップ「ICOは証券として規制する。」

SEC(米証券取引委員会)の委員長は、CNBCのインタビューに対してICOトークンを証券として規制すると明確に述べました。

SECトップ:
「暗号通貨:これらは国の通貨を置き換えるものであり、ビットコインでドル、ユーロ、円を置き換えるものです。このようなタイプの通貨は証券ではありません。」

「トークン、デジタル資産:私があなたにお金を渡し、あなたは立ち去り、ベンチャー企業を設立し、あなたに私のお金を与える見返りとして『あなたはリターンを得ることができます。』と言うものは証券です。そして我々はそれを取り締まります。我々はその証券の提供を規制し、その証券の取引を規制します。」

つまり一部の例外はあるものの、トークンセールを実施したICOトークンは基本的に証券だということです。それにしても同氏が「Cryptocureencies」と言ったときの表情が気になります。その後の発言からも、それらが国の通貨を置き換えようとしていることに対する不快感を表しているように感じられます。(XRPはそのような反社会的な目的で作られたものではありません。)

 

ICOバブルの崩壊

ICOが証券として規制されればICOバブルは崩壊するでしょう。ICOバブルとは何だったのでしょうか。大量のICOトークンが発行され、ビットコインが取引の中間通貨として利用されることでICOトークンの買い圧力がそのままビットコイン価格に反映されました。ICOトークンを購入することがすなわちビットコインを購入することと同じ効果をもたらしていたわけです。

見分けのつかない何百種類ものICOトークンが発行されてアルトコイン取引所と呼ばれるビットコインを基軸に利用した市場で販売されるたびに、その買い圧力はビットコインに向かいました。アルトコイン取引所によってビットコインを買わなければICOトークンを買えない仕組みが構築されていたからです。

それではICOトークンが違法な証券と見なされた場合に何が起こることが予想されるのでしょうか。

  1. 規制当局が取引所に対してICOトークンの取り扱いを規制する
  2. 取引所が非合法なICOトークンを上場廃止する
  3. ICOトークンに投資した投資家が損失を被る
  4. 違法な証券を取り扱って顧客に損失を与えた取引所が集団提訴される

おそらく多くの方々がこのようなシナリオを想像しているのではないでしょうか。

取引所が閉鎖される恐れもあるため、投資家たちは保有しているICOトークンを一斉に法定通貨に戻すでしょう。しかし、ここで問題となるのはICOトークンを主に取り扱っているアルトコイン取引所で基軸通貨として利用されているビットコインへの影響です。ICOトークンを法定通貨に戻すには、まずICOトークンをアルトコイン取引所でビットコインに交換してビットコインを別の市場で法定通貨に両替する必要があります。

ICOトークンをビットコインに交換しても法定通貨ペアのビットコイン価格に影響はありませんが、それを法定通貨に両替すればビットコインが売られることになります。しかし、この仕組みをいったいどれだけの人が理解できているのかは疑問です。ガーリングハウスの「ビットコインの暗号通貨価格への影響はすぐに終わる。」という言葉の真意はまさにここにあると言えます。

※取引所間の送金はオンチェーンになるので送金詰まりにお気を付けください。

 

規制当局の動き

日本の財務省は今年5月に仮想通貨に外為法が適用されると発表しました。

同じく5月にアメリカでは司法省が仮想通貨の価格操作について刑事捜査を開始しました。

そして日本の警察は Coinhive と呼ばれるプログラムを使って自分のウェブサイトにアクセスしてきた他人のコンピューターリソースを利用してPoWコインをマイニングしていたサイト運営者を次々と摘発し始めました。摘発された一人はそのときの状況を自身のブログで公開し、裁判で争う姿勢を見せています。

私は法律の専門家ではないのであくまで個人の感想ですが、これを裁判で争うのはかなり厳しいのではないかと感じています。ウェブサイトにアクセスしてきた他人のコンピュータに何かの処理をさせることは、PoWコインのマイニングに限らず同じ手法を用いれば技術的には他の目的であっても可能です。

例えば Google や Yahoo! のような有名なサイトが利用者の意図に反して利用者のコンピューターリソース(CPUやネットワーク)を無断で利用して何らかの処理(ビットコインのマイニングなど)をさせても問題にならないでしょうか。これはアクセス先のコンテンツ(動画や広告)が表示されるのとは明らかに意味が違うと思います。もちろん裁判所がこれらの行為が合法だという結論を出す可能性もゼロではないので、そのときは皆で他人のコンピューターリソースを使ってPoWコインのマイニングなりを堂々と行えばよいと思います。

 

風向きは変わった

これまで国と規制当局をあざ笑う形で発展してきた暗号通貨コミュニティが今度は規制当局からの反撃にさらされています。規制当局によるそれらの活動はまだ始まったばかりで、その攻勢はこれからだんだんと強まって行くでしょう。世界的にはG20で今年7月までに各国が仮想通貨規制案を提示することで合意がなされています。これにより7月以降は各国の規制当局による規制の動きに拍車がかかることでしょう。

また、今年の9月からは国際租税回避を防ぐためにOECD加盟国が参加する共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)が日本でも開始されます。参加国の多くが日本より先行して既にCRSを施行していますが、暗号通貨資産に関してだけ世界各国が例外的に規制を緩めるというのは現実的に考えにくいことです。

暗号通貨はP2Pを利用した分散型の仕組みですが、かつてP2Pのファイル共有ソフトが流行した時代がありました。当時、「P2Pだから破壊できない。」「P2Pだから規制できない。」などと言って違法なファイル共有をしていたユーザー達の中から大勢の逮捕者が出たことを思い出します。今まさに暗号通貨の世界で同じことが起ころうとしています。暗号通貨を国際租税回避を目的とした地下銀行として利用している人達は本当に大丈夫なのでしょうか。

結果的に当初から規制当局と足並みを揃えてきたリップル社の戦略は完全に成功したと言えます。

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