ILPに基づく次世代送金システム
今週、金融業界に衝撃が走りました。SBIホールディングス傘下の SBI Ripple Asia が主導する『国内外為替一元化検討に関するコンソーシアム』に参加する47の国内銀行が、全銀協システムとSWIFTを置き換える次世代送金システム『RCクラウド』を構築したと発表しました。国内外の大手メディアは、このニュースを一斉に報じました。
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これにより、顧客は24時間365日のリアルタイム送金(海外送金を含む)が可能となるだけでなく、銀行間送金の手数料は10円程度になる可能性があります。
ILPとは
ILP(インターレジャー・プロトコル)は、米リップル社が開発する『Ripple』から派生した、世界中の台帳を接続するためのインターネット決済プロトコルです。このプロトコルを使うことにより、世界中の金融機関の台帳が相互に接続され、異なる帳簿間の振替を瞬時に行うことが可能になります。多くの方が従来のRippleとの違いを質問されますが、ILPではRipple Consensus Ledger(RCL)のような特定のレジャー(台帳)に依存せずにRippleと同様のことができるようになります。
各金融機関の固有の資産は、Ripple Connect(リップル社の製品)によって送り元のILPレジャー上の資産に変換され、コネクタ(流動性プロバイダー)を介して受取側のILPレジャー上の資産に両替されます。送り側の資産と受取側の資産を両替する過程で、ILPでは固有の取引通貨を利用することができます。これら一連の仕組みはプライベートなネットワーク上に構築することも、パブリックなネットワーク上に構築することも可能です。例えば、大口決済は巨大な金融機関が提供するプライベートなレジャー上の法定通貨に基づいた取引通貨で行い、小口決済はRCLなどのパブリックなレジャー上の中立な暗号通貨で行うといった使い分けができます。それぞれに信頼性と効率(コスト)のメリットがあります。RCクラウドで利用される Ripple Connect は、RCLとILPレジャーの両方に対応します。
RCクラウドに新たに5つの銀行が参加
昨年末時点で42の銀行がRCクラウドの採用を発表していましたが、今回の発表で参加行は47行になりました。新たに発表されたのは、次の5つの銀行です。
- 大分銀行
- スルガ銀行
- 東京スター銀行
- 百五銀行
- 山口銀行
RCクラウドに参加する邦銀47行は次のとおりです。
- 青森銀行
- 足利銀行
- 阿波銀行
- イオン銀行
- 池田泉州銀行
- 伊予銀行
- 大分銀行
- オリックス銀行
- 群馬銀行
- 京葉銀行
- 山陰合同銀行
- 四国銀行
- 七十七銀行
- 清水銀行
- 十六銀行
- 信金中央金庫
- 新生銀行
- 住信SBIネット銀行
- スルガ銀行
- セブン銀行
- ソニー銀行
- 第四銀行
- 大和ネクスト銀行
- 千葉銀行
- 中国銀行
- 筑波銀行
- 東京スター銀行
- 東邦銀行
- 栃木銀行
- 西日本シティ銀行
- 野村信託銀行
- 八十二銀行
- 百五銀行
- 広島銀行
- 福井銀行
- 北洋銀行
- 北陸銀行
- みずほフィナンシャルグループ
- みちのく銀行
- 三井住友信託銀行
- 武蔵野銀行
- 八千代銀行
- 山形銀行
- 山口銀行
- 横浜銀行
- りそな銀行
- 琉球銀行
更に、SBIホールディングスの北尾社長によれば、三菱東京UFJ銀行がシンガポール中央銀行が主導する Ripple を利用した国際送金実験に参加しています。
今後の動向に注目
今回の発表では、構築されたRCクラウドを利用した海外送金サービスが年内に始まるとしています。テレビニュースでも説明されていたように、この仕組みを利用した送金は、相手側(受取側)も同じ仕組みを利用している必要があります。つまり、日本の銀行がRCクラウドで国際送金を始めるときには、海外の主要銀行も一斉に動き出すことを意味します。なにより重要なことは、いよいよ今年からインターレジャーが稼働し始めるということです。90年代にインターネットが一般に広がり始めたのと同様の現象が、これからインターレジャーでも見られるのかもしれません。そこで鍵となるのは、RCLのようなILPレジャーや中間通貨となるXRPのような暗号通貨であることは間違いありません。
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