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OFAC規制・SDNリスト
米国には外国資産管理法(Foreign Assets Control Regulations)という法律があります。米国大統領が、国家の安全保障を脅かすものと指定した国や法人、自然人などをSDN(Specially Designated Nationals and blocked Persons)リストとして公表すること、および同リストに記載された制裁対象が米国内に保有する資産を凍結できること等について規定しています。
この法律によって、米国人(米国法人、米国籍保有者、米国居住者)には、資産凍結の義務が課せられ、義務を怠った場合には厳しい罰則が科せられます。この法は、米国の外交・国家安全保障政策に基づく経済・通商制裁プログラム(Economic and Trade Sanctions Programs)を管理・運営する米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Asset Control:OFAC)によって執行されていることから「OFAC規制」と呼んでいます。出典:JETRO
2019年8月、麻薬密売組織の運営者である中国人3人に関連するビットコインとライトコインのアドレスをSDNリストに追加すると発表しました。
- US Treasury Blacklists Bitcoin, Litecoin Addresses of Chinese ‘Drug Kingpins’
- 米財務省、中国「麻薬王」のビットコイン(BTC)アドレスを制裁対象へ
FATF勧告
FATF(金融活動作業部会)は、1989年に開催されたG7アルシュ・サミットでの経済宣言を受けて、マネー・ロンダリング(資金洗浄)対策における国際協調を推進するため設立された政府間会合で、OECD内に事務局が置かれています。1990年に資金洗浄防止のために各国が法執行、刑事法制、金融規制の各分野で採るべき措置を『資金洗浄に関する40の勧告』として提言、2001年にテロ資金対策のために『テロ資金供与に関する8の特別勧告』を策定、2012年に『資金洗浄に関する40の勧告』と『テロ資金供与に関する8の特別勧告』が統合された新しい勧告が策定されました。これはFATF勧告と呼ばれています。
FATFは2015年6月に仮想通貨に対する規制の『ガイドライン(指針)』を公表し、このガイドラインを2019年6月までに加盟国の義務となる『スタンダード(基準)』に格上げすると発表しました。
2019年2月22日にフランスでFATFの総会が開催され、仮想通貨サービスプロバイダーの監督・監視のための詳細な実施要件が確定したと発表されました。FATFは全ての加盟国に商業銀行を規制するのと同じ方法で仮想通貨取引所を規制するように要請するとしています。決定はFATFスタンダードの一部として同年6月に正式に採択されます。
米国愛国者法 第320条
アメリカは米国愛国者法(USA PATRIOT Act)の第320条において『外国犯罪の収益』について次のように規定しています。
政府は、規制薬物の製造・売却などを含む、米国で発見された外国に対する犯罪の収益に対して、没収手続を実施することができる。
出典:国立国会図書館
ドッド=フランク法 1073条
アメリカのドッド・フランク法(ドッド=フランク・ウォール街改革・消費者保護法)では、銀行がリスクのある取引を行うことへの規制(ボルカー・ルール)などが盛り込まれています。1073条では銀行が国際送金を行う際に、顧客にその費用の明細を明確にして説明することが義務付けられており、これが銀行が顧客に国際送金サービスを提供する際の高いハードルになっています。
バーゼル規制(BIS規制)
バーゼル規制は主要国の中央銀行が加盟するバーゼル銀行監督委員会によって1988年に初めて策定されました。2001年に銀行の顧客確認(KYC)の手続きに関する『銀行の顧客確認に関するガイダンス』を公表し、2010年に国際的な銀行の健全性を維持するための規制であるバーゼル3を公表しました。また、2014年には『マネー・ローンダリング・テロ資金供与リスクの適切な管理に係るガイドライン』を公表し、AML/CFT(Anti Money Laundering / Combating Finance of Terrorism)に対する規制を強化しました。
共通報告基準(CRS)
OECD(経済協力開発機構)は、各国の税務当局が国際間の脱税行為を防止するために G20 からの要請に応えて2014年に『課税における自動的な情報交換に関する基準 ( The Standard for Automatic Exchange of Financial Account Information in Tax Matters)』を公表しました。ここで定められた共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)に基づき、各国の金融機関は口座保有者の居住者国を特定し、各金融機関の所在地国の税務当局に報告することが義務付けられ、各国の税務当局は収集した各国の居住者口座情報をその納税者の居住国の税務当局と自動的に情報交換を行います。
外為法(外国為替及び外国貿易法)
日本の財務省は、日本と外国との間又は居住者と非居住者との間で3,000万円相当額を超える支払又は支払の受領をした場合、仮想通貨を用いた場合にも財務大臣への報告が必要となると発表しています。
外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)では、強制通用力のある通貨等の支払手段の移転だけでなく、当事者間で債権債務の消滅や財産的価値の移転があったと同視し得る財の移転があれば、同法上の「支払」があったと捉えています。
したがって、仮想通貨に関する取引であっても、例えば、日本と外国との間又は居住者と非居住者との間で、債権債務の消滅や財産的価値の移転を行い、その対価として仮想通貨により支払をした場合又は支払の受領をした場合であって、当該対価が3,000万円相当額を超える場合には、日本円や米国ドル等の法定通貨を用いた支払又は支払の受領と同様に、財務大臣への報告が必要となります。
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