今後書きたい記事の関係で、今回はリップルネットワークに備わっている通貨の凍結(Freeze)機能について説明したいと思います。えっ、通貨が凍結?やばくない??と思った皆さん、安心してください。リップルネットワークのネイティブ通貨であるXRPは凍結は出来ません。XRPだけはいかなるものにも制限されるものではありません。非XRP通貨(IOU)が対象となる機能です。
さて、それではIOU凍結機能について説明していきます。ただ機能名からある程度予想が着くと思いますがので、あまり説明することがありませんが…笑
まず、IOU(≒金券)には必ず発行者(issuer)が存在します。そして、その発行者は自分が発行しているIOUだけに下記の3つの凍結権限を行使できます。
- Individual Freeze
- Global Freeze
- No Freeze
まず「Individual Freeze」機能は特定のウォレットにある自分のIOUを凍結する機能です。凍結されてしまうと、そのウォレットにあるIOUは発行者に返す以外は出来なくなります。リップルネットワーク上で売ろうとしても受理されません。なぜこんな機能があるかというと、金融機関が、規約に違反した人や不正を働いた(働く恐れがある)人の口座にあるIOUを凍結するためです。え?勝手に凍結されるの?と思うかもしれません。しかしながら現実の世界でも、銀行が怪しい口座を凍結するはよくある(?)ことです。金融機関が何よりも恐れているのは規制当局に怒られることですから。
次に「Global Freeze」機能です。これはというと、発行者のIOUを一斉に凍結してしまう機能です。全てです、ALL。そして凍結されている間、そのIOUはもう発行者に返す以外は何も出来ません。当然、リップルネットワーク上でも売れません。こんな全IOU凍結の強権なんてどこで利用するの?と思いますよね。これはIOUの活動を全て止めたい時です。例えば、発行者の秘密鍵が盗まれたり、攻撃を受けてIOUが盗まれた時などです。発行者の秘密鍵が盗まれた場合は、既存のIOUを凍結してから新IOUに移行させることが出来ます。IOUが盗まれた場合は、IOUの活動を凍結できれば、IOUの流れを追跡して、盗難者のウォレットにあるIOUだけを凍結させることが出来ます。基本的に緊急の事件が起きた時の機能ですね。
最後は「No Freeze」機能です。これはもうまんまです。発行者はIOUの凍結機能を全て放棄してしまいます。一度放棄するともう個別にウォレットのIOUを凍結するIndividual Freeze機能は使えません。Global Freezeはたった一度だけ行使できます。ただ、Global Freezeを有効にしてしまったら二度と無効にすることは出来ません。あまり使う場面が想像出来ませんが、「個別にあなたのIOUは凍結なんてしませんよ~」という時でしょうか。
ここまでが通貨凍結(Freeze)機能の説明でした。自分が持ってるIOUを人から制限を受けるというのは良い気持ちはしません。ただ、発行者はIOUの凍結が出来ないと悪い人に悪用されても為す術がないので、これでは困ります。これから(いまも?)法的に発行者は自分のIOUをしっかり管理する義務が付けられるのではないでしょうか。
何者にも制限されないXRPは、裏を返すと盗まれたりしても誰も取り戻してくれない通貨です。一方で発行者が管理出来るIOUは、裏を返すと盗まれたら発行者がFreeze権限を行使し、追跡して、手元に戻ってくるかもしれません。何が重要なのかは使われる場面次第かと思います。
今日はここまでです。
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