ビットコインの課題と弱点

斉藤賢爾さんが出演したYouTube動画からの抜粋

ビットコイナー反省会Ep8に慶應義塾大学 SFC 研究所 上席所員の斉藤賢爾さんが出演されてビットコインの課題と弱点について述べられていたので、テキストに書き起こしてみました。技術的な問題点と実運用上の課題について言及されており、とても参考になります。

ビットコインの抱える課題、弱点について詳しく教えてください

以下、ビットコイナー反省会Ep8の『ビットコインの抱える課題、弱点について詳しく教えてください』より。

東さん:というわけで、これからもうちょっと深い質問を斉藤さんに聞いていこうと思います。じゃあ、まず最初のページです。

斉藤さん:はい。

東さんビットコインの抱える課題、弱点について詳しく教えてください。かなり、もう凄いざっくりとした質問なんですけど。斉藤さんて結構もうしばらく前からビットコイン自体については否定的というか、たぶんこれは上手くいかないんじゃないのっていうスタンスを貫いてきていると思うんですけど。

斉藤さん課題があるというスタンスですね。

東さんまあ、そうですね。具体的に一番大きな課題って何だと思いますか?

斉藤さん一番大きな課題は技術のガバナンスの課題で、技術のガバナンスが原理的には不可能なんですね。で、それはどういうことかというと、全員一致しないと変わらないっていう原則的な仕組みを作ってあるわけなんですよ。

東さんはい、そうですね。

斉藤さん一つのブロックチェーンを維持するという意味で。そうすると全員が一致しなければいけないんですけども。ただ、これオープンな仕組みとして作ってあるんで、オープンな仕組みにおける全員というのは定義できないんですよ、そもそもが。なので原理的には不可能なんですね。で、そのそもそも不可能な中でどの程度やっていけるかっていう話になるんですけども、これもかなりきついっていうことが、まあ、ちょっとこれまでの経緯からしても明らかなんで。まあ、その辺が一番大きな課題で。で、そこが解決できるような技術でないと結局課題を解決していけないということになっちゃうんで、そこがビットコインについては一番大きな問題だというふうには思っています。

東さんなるほど。実際今もだからブロックサイズの問題とかでも、おっしゃる通り揉めてて、コンセンサスが出来るまでブロックサイズ引き上げないって言うけど、じゃあ、コンセンサスって何パーセントじゃないですけど「最終的に誰が決めるの?」っていうのはよく問題になりますし。意思決定がぜんぜん遅れちゃって、もう、これからももしかしたらずっとこのままで、結局まあなんか形骸化じゃないですけど、失敗したりとかっていう可能性も確かに全然ありますよね。で、それはもう解決できる問題ではないと、そもそも。今なんかみんな話をしてて、でもまあ、何となくうまく行くんじゃないのみたいな考え方の人もいますけど。

斉藤さんそうですね。これは、あの、私の意見なんで聞き流して頂きたいんですが、成功したら良くないんじゃないかと思っているんです。

東さんおぉー。

斉藤さん:これは、ビットコインのガバナンスがうまく行くっていうのは、悪しき前例になってしまうと思うので、技術の方をちゃんとガバナンス可能な形態にするっていうことをしていった方が良いというふうに私は思っています。

東さん:ただ、例えばビットコインみたいな分散的にコンセンサスを作っていくっていうのがオープンな状態で出来ないってなると、結局、誰かが決めなくちゃいけないっていうことに・・・。

斉藤さん:いや、そんなことはないです。それは、ビットコインの場合は技術がそういう状況を生んでるんで。インターネットの普通のアプリケーションというのはどういう風に動くかと言うと勝手にやるんですよ、勝手に。例えばメールでも何でも。メールのシステムっていうのは随分昔からあるわけなんですけども、例えば最初の頃は英語しか使ってはいけないというふうに言っていて、日本語は使ってはいけないと私も言われていたんですね、1990年代初頭。それは日本語を使うと暗号になってしまうので、世界の人が読めないのでダメですと言われてたんですけど、日本の人は勝手に日本語を送る仕組みを作っちゃうんです。そういうものがどんどん受け入れられて行って、つまりインターネットの一部で、メールシステムの一部で施された変更が「これはいいんじゃないか!?」ということで、どんどん広がっていくということが普通のアプリケーションでは起きるんです。

東さん:うんうん。

斉藤さん:で、ビットコインブロックチェーンでは、それが起きない構造になってるんで問題だというふうに言っています。

東さん:なるほど。それってでもサイドチェーンとかみたいな技術ができると、じゃあ、そういう実験はサイドチェーン上でやって、それが仮に上手く行ったら、じゃあメインチェーンに移そうみたいな話をする人もいるんですけど。それについてはどう思いますか?

斉藤さん:さっきのテストネットの話もそうなんですけども、そういうことしか出来ないってこと、逆に。常にメインネットではぶっつけ本番ていうことなんです。メインネットで試すっていうことが出来ないんです。メインネットの一部で試すみたいなことが出来ないっていう問題なんです。つまり実運用されている仕組みの中の一部として新しい仕組みが試されるっていうことが不可能なんです。

東さん:なるほど。それは確かにそうですね。

斉藤さん:まあ、不可能と言い切ってはあれなんですけど。ソフトフォーク的には可能な部分があるんですけど。

東さん:じゃあ、それを解決、、、解決というか具体的などういう風な改善だったり、まあ、もしくはビットコインじゃなくてまったく違う仕組みというのは?

斉藤さん:なので、最近出始めている仕組みっていうのは、だいたい分権構造というのを意識し始めているんですよね。

東さん:あ、はい。

斉藤さん:で、Hyperledgerはちょっとあの、、まだビットコインブロックチェーンに引っ張られていると思うんですけども、R3のCordaとか、それからTangle、IOTAのTangleですね。IOTAのベースになるTangleとかは、もうたぶん分権構造が入っていると思うので。ただ、ちょっとCordaについてはホワイトペーパーをまだ読んでいないんで、最初に出たブログ記事からの類推で考えているだけですけども、おそらく分権構造を持っていると思っています。で、そういうものであれば一部で新しいことを試していくっていうことが可能になるので、そういうふうに分散レジャーを作っていくっていうのが今後主流になって行った方が良いんじゃないかな、というふうには思っています。

東さん:なるほど。誰か一人が管理しているわけではなく、ということですもんね。

斉藤さん:はい、ぜんぜん逆ですね。別に管理者は居ないんです。部分部分で独自に試せるっていう。ただ、全体の接続性はそれでも維持されてるっていうことです。接続性とインターオペラビリティが維持される。

東さん:なるほどね。逆にでもビットコインのまあ、特徴というか強みというか意義というか、1つのでかいネットワークみたいのがあって、そこに分散コンセンサス、マイニングみたいなPoWを使ったマイニングでそれを分散的に決めてくっていう、誰かが決めるというか、今の話だと別に誰かが決めるっていう話じゃなかったんですけど。そういうのはやっぱじゃあ、もう失敗だというか、まあ、今後上手く行く可能性もあるけど斉藤さん個人の意見としては上手く行かない方が良いっていうか。まあ、悪しき前例を作らない方が良いという話なんですけども。

斉藤さん:そうですね。上手く行かない方が良いと思っているのと、まあ、ビットコインていろんな意味で失敗なので。ただ、最初のああいうモノなので。『最初のあいいうモノ』っていうのは何かってことなんですけど。(笑) 僕もべつにビットコインより前にいろいろ作っていたので、そういった意味でデジタル通貨の最初ではないんですけども。ああいう形で世の中で使われ出した最初のモノなので、最初のものにあまり過度に期待するのもおかしな話だし、それだけの貢献はしているんですけども、結局まあ、どういうところが失敗だったかということを明らかにして行った方が良いかなと思うんです。

東さん:なるほど、なるほど。

斉藤さん:例えばビットコインの(分散コンセンサスっていう意味では全然ダメだと思うんですけど)ああいう一つの奇妙なやり方が出来るっていうことを示したっていう意義は大きいというのと、あと通貨システムとしてはもう本来の意図からすると失敗ですね。というのは、もうサトシ・ナカモトの最初のペーパーとかを読むと、心意気としては既存の法定通貨とかを置き換えるぐらいの勢いで書いてるわけなんですけど、置き換えられないんです。あれは法定通貨みたいな仕組みがバックエンドにある社会の中でしか動けないので。

東さん:おー、それはどういうことですかね?

斉藤さん:それはどういうことかと言うと、まあ、それはファイナリティの問題と関わってくるんですけども。あの、必ずリスクを負いながら動いていることになるんですよね、実用上。

東さん:まあ、そうですね。

斉藤さん:で、その他に実用上のそのリスクを、、例えばその、えー、ブロックが、、トランザクションが無効化するみたいなリスクを誰が請け負っているかと言うとアプリケーション側で処理するわけなんですけど、アプリケーション側は何を使って処理するかというと日本の場合だとそういうものの清算は日本銀行券でやることになっているので。つまり日本銀行の仕組みがないと成立しないってことなんですよ、サービスとして。

東さん:なるほど、なるほど。

斉藤さん:という意味でビットコインはそういう法定通貨の置き換えみたいなものが根本的に出来ないので、そういうところが失敗になっていると。ただ、それはそういうところが失敗なんだなっていうことが認識されればこれは前進できるんですね。まあ、ビットコインでやるかどうかに関わらず前進できる部分なんで、だからそういうところを明確にしていく必要があると思うんです。

東さん:うん、、まあ、でもあれですよね。今の話だと例えばじゃあ、完全に円とかを置き換えることはできませんていうのは、まあ、じゃあ、そうだとして、べつに円と共存じゃないですけど、一部のアプリケーションでそういうのを使ったりっていう可能性はぜんぜんあるってことですか?

斉藤さん:それは全然あって、なので今の状況があるわけです。つまり、ビットコインというものが出てきたおかげで銀行は「ヤバい!」と自分たちが思って、自分達で勝手に壊れていくっていうプロセスを開始できたので、これは非常に大きな貢献です。

東さん:なるほど。

斉藤さん:これは勝ち目が無いんですよ、銀行にとっては。銀行の仕組みを迂回する仕組みができて、その仕組み自体を銀行は採用できないんです。

東さん:そうですよね。

斉藤さん:なので、まあ頑張ってはいるわけなんですけど、なんかこう、、ちょっとぐちゃっとした感じになってですね。(笑) どんどん崩壊していくっていうプロセスの中に今あるわけですね。ただ、崩壊していくっていうことを少なくとも銀行のトップレベルの人達っていうのは分っていると思うんですけども、何もしないわけにはいかないんで何かやらなきゃいけないわけです。で、別のものに変化するっていうのがベストな選択だと思うんで、それをやろうとしている途上にあると思うんですね。

東さん:まあ、それについてもちょっと次のスライドで詳しくお聞きしたいので。

以上、ビットコイナー反省会Ep8の『ビットコインの抱える課題、弱点について詳しく教えてください』より。

 

ビットコイン以外のブロックチェーンについてどう考えているか

以下、ビットコイナー反省会Ep8の『ビットコイン以外のブロックチェーンについてどう考えているか』より。

東さん:じゃあ、次のスライドいきましょうか。

東さん:で、今ビットコインの限界、分散コンセンサスのところがそもそも無理だっていう話があったんですけど、じゃあ他のブロックチェーンではビットコインじゃ出来ないことを違うやり方でやろうとかっていうチェーンがあったりして、イーサリアムとIOTA(イオタ)にちょっと注目してますという話でしたけど、イーサリアムはじゃあどう見てるんですか? The DAOの話もよく聞かれますって言ってましたけど。

斉藤さん:はい。イーサリアムはこれは発想がとてもよくて、やり方はさほどビットコインブロックチェーンから改善されていないので、そういう難点は抱えつつも既存の何か人間が社会の・・・(ごめんなさい、ちょっと社会派なんで笑)、社会の課題を解決するためにどういうことをやるかっていうことを変革する考え方なんですね、イーサリアムは。

東さん:うーん。

斉藤さん:どういうことかっていうと、スマートコントラクトがそうなんですけども、今まで社会で「何かやんなきゃ」「何かこの問題を解決しよう」って思ったときに、色んな方法でやってきたわけなんですけど、例えば起業するっていうのもそうなんですけども。行政からアプローチしたいんで行政機関に入るっていうのもそうですし、法律を決めるっていうところに入った方が良いので政治家になるとかいうこともそうですし、いやNPOとかNGOでやるべきではないかっていうのもそうなんですけど、それらは全然別のパス・道筋なんですよ。それは今ある大きな変化を迎えていて、ハッカソンとかはそういうことなんですけども。何か全然別の話をしているように聞こえると思うんですけど・・・。

東さん:いえいえ、全然どうぞ。

斉藤さん:ハッカソンとかは、課題があったらそれはスマホのアプリを作ってそれのエージェントとして人間が動くことによって解決できるっていう考え方を根本に持ってるんですね。それで、ハッカソンというのは課題があったら、それに対して「プログラムコードの力で解けるんじゃないの?」って言って皆が集まってプログラムコードを実際に作って、それを社会に投入して、そのプログラムコードを使うのは人間たちで、その人間たちの行動が変化することによって社会の問題が解決するっていう動き・・・、何というかそういうのが出てきているわけです。で、イーサリアムはそこに突っ込まれていくわけなんです。考え方としては。

東さん:ふーん。

斉藤さん:つまり、人間がどういう風に組織を作るか。結局、社会の問題って人間の問題なんで人間が組織を作って解決するんですけども、そのときの組織を自律分散的な形でプログラムコードの形で書いて、スマートコントラクトとして書いて、空中に投入するとそれのエージェントたちが勝手に動いて社会の課題が解決するっていう動き方が出来るような基盤を作るっていう話なんですよ。これは直接的にそこまで意識的にVitalikとかが書いてない面もあるんですけども、社会的な意味はそういうことなんです。

東さん:自分も結構それ、今斉藤さんが言ったことで近いというか、The DAOに関しては結構最初から凄い懐疑的だったのは、それはDAO(ディーエーオー)という概念ではなくて、The DAO自体は「これどうなの?」っていうところだったんですけど。投票のインセンティブのところの問題だったりとか関係している人達もそうなんですけど、そういうところで「どうなの?」ってところがあったんですけど、アイディアとしては凄い面白いっていうのは確かにありましたね。その自律分散組織、DAO(ディーエーオー)?

斉藤さん:DAO(ダオ)ですね。

東さん:DAO(ダオ)自身の考え方は。

斉藤さん:DAO自身のことを言ってるんですね?

東さん:そうです、そうです。DAOっていう考え方自体は凄い前から興味ありましたし、「ああ、確かにスマートコントラクトを使ってこういうのが出来るっていうのを示す上では面白いな」と思いましたけど。まあ、The DAOに関しては失敗するだろうってずっと言ってたんですけど。

斉藤さん:で、イーサリアム自体は、なのでビットコインブロックチェーンからいろんな課題を踏襲しているので、たぶんうまく行かないんですけど。ただ、やって見せたということはとても重要なことで、まあ私が言っている課題というのはだいたい技術的な課題なので、まあ技術と技術のガバナンスに関する課題なので、それは技術者たちが解決できる部類の課題なんですね。一方で、スマートコントラクトみたいなものを空中に固定して、それを使って皆がいろんな組織を勝手に作っていろいろやって行くみたいなことは一つのモデルなんで、そのモデルが確立したってことが大切なんです。じゃあ、もっと良い改善できる方法はどうやってやったら良いんだろうってことをこれから考えて行けば良いので、それはイーサリアムの大きな貢献だと思います。

東さん:そうですね。The DAOは潰れちゃいましたけどDAOの実験はたぶん今後も続いてくと思うんで、どういう形で進化していくのか、もしくは出来ない、結局それが不可能ってなる可能性も自分ぜんぜんあると思うんですけど。

斉藤さん:イーサリアムではそうですね、特に。

東さん:まあ、でもどうなんですかね? 考え方は自分はラディカルで好きなんですけど、DAO自体は。ざきやまさん、何か言いたそうな顔してますけど?(笑)

ざきやまさん:やっぱDAOの実験続くっていうのは体感としてもあって、結構いろんなところで、まあ、ビットスクウェアでの「ビットスクウェアDAOをこれから作るぜ」みたいな。

東さん:ビットスクウェアDAOなんて作るんですか?

ざきやまさん:はい。

東さん:え、どういうことですか?

ざきやまさん:要するにビットスクウェアってP2Pの分散取引エクスチェンジで、それの経営権をXXするって話ですよね。やっぱりもう一回The DAOっていう前例が出来たので、その上で皆やっぱり DAO に挑戦するんですよね。もうちょっとシンプルにしようとか。

東さん:うーん、でも結局コアのモデルはどういう仕組みなんですか? 投票みたいなものに基づいてるんですか?

ざきやまさん:知らないです。(笑)

東さん:いや自分、でもその投票のモデルに基づいたやつがどこまでうまく行くかって懐疑的なところがあって、The DAOのときもそうだったんですけど、やっぱ皆投票とかしないですし、そもそも分んないことに関しては何もやらないで無責任に「他の人やって」ってなって気付いたら集権化してて「じゃあ今までと変わんないじゃん」てなるのかもしれないですし。なんか、だからどうなんだろうなって思いますけど。でも、実際社会に影響を与えるみたいなものになるには凄い時間がかかると思いますけど、何れにせよ。

ざきやまさん:まあ、無数に出てくればどんどん何か「これが遺伝的に一番良かったから、じゃあ次これ真似してやろう。」みたいにどんどん出てくると思う。

斉藤さん:凄い時間が掛かると言っても、まあ今世紀中だと思います。

東さん:おぉー、今世紀中?

斉藤さん:はい、今世紀中。

東さん:まあ100年は掛からないと?

斉藤さん:100年は掛からないでしょ。

ざきやまさん:じゃあ、ドラえもん生まれるまでにってことですよね?

東さん:そういう世界が生まれたら、じゃあどういう風になるか、今とどういう風に変わっていくと想像すれば良いですかね?

斉藤さん:いや、めちゃくちゃ変わるんで、今私が変なこと言って・・・。(苦笑)

東さん:いえ、どうぞどうぞ変な事言ってください是非。(笑)

斉藤さん:いや、めちゃくちゃ変わるとしか言いようがないと思います。今何言っても説得力を持つのは今の現実の延長上にあるような事しか説得力を持たないわけですよね。でも、それ以上の変化が起きると思います。それは過去にあったことなんで。活版印刷術みたいなものも写本の時代からね。いや、それ写本が便利になっただけじゃないかって皆が思っているような時代がそのときは100年ぐらい続いたんですけども、全然違う世界がそこから生まれてきて、今の大量生産みたいなものに基づく資本主義社会ってのは活版印刷術が一つの大きな基盤としてあるわけなんですよね。同じようなことがたぶん起こるというふうに思います。

東さん:いや、でもなんかそういう話するのは凄い楽しいですね。空想的なね。(笑) なるほど分かりました。でも、それはまったく別の技術だったりイーサリアムとかではないんじゃないかって話ですね。

斉藤さん:そうですね。

東さん:はい。で、Proof of Stakeについて質問がきているんですけど。

斉藤さん:はい。

東さん:ここにも書いてあるんですけど、まあイーサリアムはまだ今の時点では PoW ですけど、今後Casperで Proof of Stake に移行していこうと。まあ、それでも結局イーサリアムは・・・って話になると思うんですけど。PoSについてもいろんな攻撃ベクターがあったり完璧じゃないって話を以前されてたとおもうんですけど、他のPoW以外のコンセンサスメカニズムもありますけど、特にPoSとかって大きな課題というのはどこか説明して頂いても良いですか?

斉藤さん:PoSは動かないんですね。

東さん:PoSは動かない?

斉藤さん:PoSは動かないってことが、、Vitalikは自分でPoSは動かないって証明しているはずなんですけどね。

東さ:お、というと何だか面白そうですね。

斉藤さん:えっと、Casperにはスラッシャー入ってるんですか?

東さん:いや、僕Casper全然調べてないです。

斉藤さん:あ、そうですか。だから面白いなあと思うんですけど。PoSは動かないんですよ、原理的に

東さん:はい。

斉藤さん:でも、例えばオーブワンっていうのはやってるんですけど、オーブワンは動くようにしてあるんですよね。

東さん:オーブワンてPoSなんですよね?

斉藤さん:オーブワンはPoSです。あれは動く条件を満たすように作ったんです。

ざきやまさん:スーパーノードですよね?

斉藤さん:スーパーピアで。

ざきやまさん:あ、スーパーピア。

斉藤さん:はい、なのでPoSの問題を回避してるんですけど、PoSというのは何というんですかね・・・。螺旋(らせん)型ステイクっていうVitalik自身がネーミングしたような気がするんですけど、そういう問題を抱えていて、やり直されちゃうし、チェーンが分岐したときに1つになっていくっていう動機が無いんですよね。なので原理的には動かないっていう大きな問題を抱えています。あと、PoWとかPoSはコンセンサスではないので、コンセンサスメカニズムではないんです。

東さん:ファイナリティがない?

斉藤さん:いや、違います。いわゆるビットコインブロックチェーンのようなものにおけるコンセンサスっていうのは、ナカモトコンセンサスっていうのは、ビットコインで言うと、おおまかに言うと”長いものが勝つ”というのがコンセンサスの部分で、PoWみたいなやつは従来のコンセンサスの文脈で言うとリーダーイレクションみたいなそういうところなんですよ。だから細かく見ていくとコンセンサスじゃないんです。コンセンサス部分を司っている部分ではないんです、PoSとかPoWは。

東さん:なるほど。

斉藤さん:誰がプロポーズするかってところなんです。・・・しかやってないんで、コンセンサスじゃないんですね。「それは理屈っぽくやってるだけじゃないか」って思われるかもしれないんですけども、そうやって分解して考えて「じゃあ、課題はどういう風に」って従来の分散システムの研究とかも引っ張ってきて「では、ここはどういう課題があるんだ」ってことは、そういう風に分解していかないと分かんないところもあるんで、そういう風に認識していくことは重要かなと思うんですね。何れにしてもPoWとかPoSは、えーっと何て言ったら良いんですかね・・・。思ったほど動かないんで、PoWも。

東さん:動かないというのは?

斉藤さん:”思ったほど動かない”というのは、PoWというのは要するにパワーが集約されないという前提の下で動くものなんです。だから集約されたら動かないんです。

ざきやま:今、結局中国の仮想通貨の現状ってことですよね?

東さん:まあ、そういうことですよね。動かないっていうのは動いてるけど、まあ、意味の無いっていうか・・・。

斉藤さん:えーっとですね。実際的には破壊できるんです。

東さん:うん、まあ、そういうことですよね。例えば今だったら中国のマイナーが全員で、もうこれ攻撃してやるって言ったら壊せちゃうっていう・・・。

斉藤さん:ダメだし&とにかくハードウェアを新たにどのくらい投入するかみたいな話で・・・。

東さん:できちゃうんですね。なるほど。ちょっとさっきのPoSの螺旋(らせん)型ステイクの話出ましたけど、Orbでそれ解決しまた”スーパーピア”ですっけ?

斉藤さん:はい。

東さん:そこを具体的にどういう改善を加えたんですかね? ちょっとそこも解説して頂けないですか?

斉藤さん:スーパーピアはファイナリティを司るピアで、スーパーピアがブロックを挿入すると、その時点で前回スーパーピアが挿入したブロックとその新しくした挿入したブロックの間にあるチェーンが有効なチェーンになるんです。

東さん:ふむふむ。

斉藤さん:というふうに決まっているので、ステークをたくさん持ってるユーザーがいても覆せないんですよ、その部分が。

東さん:スーパーピアって誰が・・・?

斉藤さん:オーブワンはエンタープライズブロックチェーンなのでエンタープライズが運用するんで、エンタープライズが動かしますね。だからエンタープライズブロックチェーンを作るって前提のもとで設計したものなんですね。

東さん:なるほど。あ、そっかそっか。

ざきやまさん:質問がきてますよ。

東さん:あ、質問がきてる。あ、さっきの話ですよね。

東さん:“PoSの問題は分岐したときに修正する報酬が無いことが問題なのですが、もう少し解説を頂けないでしょうか?”

東さん:まあ、でも今の話ですよね。あ、でもインセンティブの話?

斉藤さん:インセンティブで解決するやつもあるんですよ。それはVitalikが提案しているスラッシャーってやつはインセンティブっていうか、実インセンティブでパニッシュメントがあるんです。

東さん:はいはいはい・・・。

斉藤さん:それは両がけ、つまり分岐したときに分岐しただけの分に同じだけステークを持ってるんだから全部かけられるわけなんですね。全部に対してマイニングできるわけです。そういう風に動く、マイナーに対して動くパニッシュメントがあるっていうのがスラッシャーの考え方。

東さん:なるほど、なるほど。面白いですね。で、それもでもうまく行かない?

斉藤さん:いや、それやれば良いと思うんですけど。

東さん:え、やれば良いと思う?

斉藤さん:えーと、ただ・・・。まあ、詳しく見ないとわかんないですね。やれば良いのかもしれない。

東さん:なるほど。でも、それをCasperとかそういうのを入れてやるって話じゃないんですかね? 全然Casper調べてないんで自分よく分からないんですけど。

ざきやまさん:あんまり見てないですね。

東さん:Vitalik自身がたしか言ってたのが、今までのPoSでは全然やっぱ問題があるっていうのはもちろん理解してて、ただそういういろんな改善だったり、パニッシュメントのインセンティブの仕組みの話も出ましたけど、そういうのをやっていけばたぶん上手くやれるぞと・・・。だからそれを今研究してますっていう段階なんですけど、いつ移行するのかっていうのはよく聞かれますけどね。本当に上手く行くのかとかも含めて。

斉藤さん:そうですね。まあ、イーサリアムの場合はETH(イーサ)っていうその内部的な通貨と言って良いのか、クリプトフュエル的なものなのでProof of StakeっていうものにVitalikは魅力を感じているのかもしれないですね。つまり、システムを維持するためのモノなんですよ。通貨っていう概念よりちょっとズレてるものなんですね。クリプトフュエルだから、あれは。

東さん:そうですね。燃料って言われてますよね。

ざきやまさん:ガソリンですよね?

斉藤さん:だから、そこは面白いところですよね。ただ、イーサリアムも同じようなガバナンスの問題を抱えていて、だからこそThe DAOのXXがあるんですよね。

東さん:そうですよね。あれも凄い問題が全部顕在化したみたいな感じで。あれが起きる前はでも結構「イーサリアム凄い!」じゃないですけど、このままビットコインを抜いて一気に行くってくらいの感じだったんですけどね。全部OK、オールOKみたいな感じで。で、The DAOが起きてやっぱり今まで顕在化してなかったものが一気にばーってきて、分散コンセンサスじゃないですけど「誰がじゃあハードフォークする?」って決めて・・・とかもそうですし、「アプリケーションの失敗は下のレイヤーでやらせんのか?」みたいな話になりました。あれは、ハードフォークした決断についてはどう見てましたか?

斉藤さん:いや、僕はクラシック派なんで。

東さん:あ、クラシック派!? おぉ、面白いですね。(笑) クラシック派!?

斉藤さん:あ、いや、イーサリアム使ってないですけど。(笑)

東さん:使ってないけど、どっちかっていうと!?

斉藤さん:いや、使わなきゃいけないんですけど。(笑) イーサリアムを使ってプログラミングの講座とかを開くもんで、やんなきゃいけないんですけど。

東さん:あぁー、、

斉藤さん:まあ、クラシック派です。

東さん:おぉー、面白い。でも正直どうですか? 僕も個人的なスタンスというか考え方としてはクラシック派なんですけど。でも、まあ結局Vitalikとかも含めてETHの方に入ってるんで、結局なんかだんだんだんだんしぼんでっちゃって、まあ一応残ってるけどあんま意味の無いプラットフォームみたいになるような気がするんですけど。

斉藤さん:はい。

東さん:それは技術の話じゃないですけどね。

斉藤さん:そうですね。

東さん:まあ、でも面白い。クラシック派だったとは。(笑) まあ、でもそうですよ、起きたときにハードフォークするって言った時点で。

斉藤さん:クラシック派じゃない人に会ったこと無いですよ。(笑)

東さん:いやいや、クラシック派じゃない人の方が多いですよ、でも。

斉藤さん:ほんとに?

東さん:あ、でもハードコアな人は皆クラシック派なんですよ。

ざきやまさん:あれ、東さんはクラシック派ですよね、当然?

東さん:僕は最初からクラシック派でした。ハードフォーク絶対しないべきだって最初から言ってましたね。

斉藤さん:こないだ早稲田の岩村教授と同じイベントに出たんですけど、そのときまだご存じなかったらしくて「ハードフォークしたんだよ。」って言ったら「あちゃー!」って言ってました。

東さん:あちゃーって!?(笑) あ、でも僕、岩村先生とThe DAOの直後にお会いして言ったんですよ。こういうのが起きて「凄いことが起きてるんですよ。」って言って、ハードフォークするか今議論しててみたいな。

斉藤さん:そうそう。「それがあったっていうのは知ってらっしゃいましたっけ?」って言うと・・・。

東さん:あちゃー!って。(笑) それ、面白いですね。

ざきやまさん:日銀で「クラシック派です。」って。(笑)

東さん:いや、でも面白いわこれ。でも、やっぱり今まで結構割と長いことビットコインとかに関わったりしてる人はもう「あちゃー!」でしたね皆。でも、一般層というかトレーダーとかはもう、要はいろいろお金を動かしてる人は絶対、”そんなんどうでも良い”じゃないですけどETH派の人が多いですね。まあ、Vitalikについていきますじゃないですけど・・・。

斉藤さん:そうですね。

東さん:いや、面白いわ。じゃあ、最後に、、いや、最後じゃないんですけど、実は。プライベートブロックチェーン、金融機関がブロックチェーン応用してどうのって話があったりして。で、なんかもう既に答えられたものもあるんですけど、ブロックチェーンじゃ上手く行かないところがあって結局ブロックチェーンじゃないもの(Cordaとかもそうですけど)に移行してくみたいな流れがありますけど・・・。

斉藤さん:はい。

東さん:今、例えば実証実験やってるとか、いろんなニュースが出てますけど、まあハイプの部分も大きいじゃないですか正直。「とりあえず実証実験やってみます。」みたいな。

斉藤さん:そうですね。

東さん:最終的にでも今やってる実証実験だったりとかって、やっぱ今後金融機関は・・・。でも、答えもう出てますねこれ? だからブロックチェーン、ビットコインみたいなのが出てきて、それが金融機関向けのある意味の・・・何ですかね? 何というんですかね・・・?

ざきやまさん:ウェイクアップコール?

東さん:ウェイクアップコール?

斉藤さん:ウェイクアップコール・・・。

東さん:日本語で何て言うんだろう。まあ、要はこう「やばい、これ何かやんないとやばいぞ。」っていう状況になったのが意義があることなんじゃないのって話があったので。

斉藤さん:はい。

東さん:今実証実験とかやって、たぶん失敗みたいなことも多いと思いますけど、最終的にはじゃあ今やってることっていうのは”金融機関の変革”じゃないですけど、そういう点では意義があるって考えなんですかね? という自分は印象を受けたんですけど。

斉藤さん:ええ、意味はあると思います。意味あることをやってらっしゃるところもあるし。

東さん:やってないところはどこがやってないんですかね?(笑)

斉藤さん:どこがやってない? やってないところのことは言いにくいじゃないですか。(笑)

東さん:やってるところはじゃあどこ?(笑)

斉藤さん:やってるところはやってますよね、はい。そこも言いにくいじゃないですか。

ざきやまさん:意味がないことをやってるところもある?

斉藤さん:意味がないことをやってるところはありますよ。

東さん:それを具体的に聞きたいですね。(笑)

斉藤さん:うーんと、いや、あんまり具体的に言わないにしても、要するに従来のやり方を変えるためにやってないところはありますよね。従来のやり方がこの新しい仕組みを使ってもできるということを確認したいみたいな、そういうやつありますよね。

ざきやまさん:あぁー。

斉藤さん:「それは意味あんのかな?」ってことですよね。

東さん:そこまで言っちゃったら具体的に言っても良いんじゃないですかね。(笑) 冗談です。なるほど。じゃあ、意味はあるけど、まあ結局それも学習の一部というかっていう感じなのかなぁ。

斉藤さん:まあ、かもしれないですけどね。

東さん:たしかにそんな最初から・・・。

斉藤さん:放っといても変わっちゃうからね。

東さん:なるほど。

斉藤さん:まあ、放っといて変わるってやっぱり言ってあげないと大変ですよ。あの、私は大学とかにも籍があるんですけども、学生ってやっぱり就職とかが、何でそうなのかと思うんですけど学生って就職が大きな問題じゃないですか。

東さん:まあ、そうですね。

斉藤さん:別にどうでも良いと思うんですけど。

東さん:僕もそう思います!

ざきやまさん(笑)

斉藤さん:「何しに大学来てるんだよ。」って思いますよね。「研究しに来てるんじゃないの?」「就職活動しに来てんのか?」とか思いますよ。

東さん:まあ、大部分の学生はそうでしょうね。

斉藤さん:で、銀行に就職するみたいな学生がいるとするじゃないですか。今までだったら「銀行に就職するんだ、固いところ選んだな。」っていう感じになるわけじゃないですか。今はどういうことかと言うと「いやぁ、勇気あるなぁ。頑張ってね!」っていう感じなわけですよ、銀行に就職するってことは。そんだけ変わってきてるんで、ここ1~2年で。

東さん:うん、たしかに変わらないとやばいっていうのは確かに本当にあるでしょうね。じゃあ、銀行って今までほとんど変わってきてないってよく言われるじゃないですか。過去20年とか。

斉藤さん:最初にちょっと変わったんですよね。オンライン化が早かったんで。最初にちょっと変わったんですけども・・・。

ざきやまさん:その後ずっとプレッシャーが無かったっていう。

斉藤さん:あんまりね。そうですよね。普通の他の業界でインターネットのインパクトが出てきてるのと同じ種類のインパクトが銀行業界にも出てきて、それは例えば他の業界ではどんなインパクトがあるかっていうと、例えばUberとかAirbnbみたいのが出てくると「その業を行うためのリソースを持ってないのに何でお前らが一番勝つんだ?」みたいなことが起きるじゃないですか。

東さん:はいはい。

斉藤さん:同じのが金融で起きるんで。つまり、「お客さんのお金預かってないのになんで送金ができるんだ?」みたいな、そういうのが出てきてもう勝てない。

東さん:最終的にじゃあ、でも銀行はどういう変化を遂げてかなくちゃいけないですか?

斉藤さん:銀行をやめると思いますよ。えーっと、アップルコンピュータって、、突然アップルの話をして申し訳ない。m(_ _)m アップルコンピュータってアップルじゃないですか、今。コンピュータ取れましたよね、社名から。

東さん:あぁ、はいはい。そうですね。

斉藤さん:それは普通に見るとコンピュータだけを売るんじゃないからっていうことなんですけど、もうちょっと突っ込んで見ると “全部がコンピュータだからとりわけコンピュータって言う必要もない。”—>”アップル”って。

東さん:あぁ、はいはい。

斉藤さん:で、銀行がやってるようなことも、えーと、何て言うんでしょうね・・・。銀行がやってるようなことは、あまねく全ての業でやるんで銀行ってもう言わなくて良いんじゃないかって思ってる銀行もあるんですよ。社名から銀行が取れる銀行が出てくるんですよ、今後。

東さん:東京三菱UFJですか? そのままだな。(笑)

斉藤さん:あぁ、それはなかなか良いですね。東京三菱UFJ、なかなか良いですね。

東さん:静岡銀行・・・。

斉藤さん:困るのは静岡銀行とか。

東さん:静岡!静岡になっちゃいますね。どうするんすかね、名前変更は?(笑)

ざきやまさん:横浜!

東さん:たくさんありますよね、横浜銀行とか。千葉銀行とかどうするんですか?(笑) 私たちはあまねく千葉にいるんで千葉で良いんですみたいな。じゃあ、銀行やめるって話に聞こえましたけど・・・。

ざきやまさん:やめるっていうか普遍化するっていうんじゃ。

斉藤さん:今はだからいろんな制度的な縛りもあって銀行業しかできないようなところが、別のところが入ってくるし他の業種も銀行化していくわけですよ。もうそれは始まってますもん。

東さん:そうですよね。でも、それが起きたら正直別に銀行は何の優位性も無い気が。いや、何にもとは言わないですけど。

斉藤さん:だから無いんです。

東さん:競争が起きたら完全に淘汰されちゃう気がするんですよ。

斉藤さん:多くの場合。

東さん:だから、そういうのもあり得るってことですよね?

斉藤さん:そうですね。そこでMUFGですよ、注目してるのは。

東さん:MUFGに注目してる?

斉藤さん:だから他の銀行はもっと恐れおののいた方が良いと思いますよ。

東さん:MUFGは恐れおののいてるんですね。MUFGコイン作って何がやりたいんだと思ってたら結構本気で・・・。

斉藤さん:MUFGコインを作って何がやりたいかっつーか、MUFGコインを作られたが最後、他の銀行は大変なことになりますよ。

ざきやまさん:うーん。

東さん:そうですね。大変なことになる・・・?

斉藤さん:大変なことになる。まあ、日銀がね、デジタルJPYをやるっていうことは、まあ考えなくても良いと思うんですけど。

東さん:うーん。

斉藤さん:やんないでしょ。だって他の銀行潰れちゃうんだから。

東さん:ああ、そっか。

斉藤さん:日本銀行はやんないですよ。でも、MUFGはやりますよ。

東さん:MUFGが、じゃあ例えばJPYコイン的なモノを作ったとして・・・。

ざきやまさん:いや、べつにそれは通用すれば良いんです。

斉藤さん:うん。

ざきやまさん:皆が使いたいものが通貨ですから。

東さん:まあ仮にやったとしたらユーザー数とかはね、ユーザーはいくらでもいるし皆それを使い始めたら、今までの支払いが便利になりましたっていう・・・。

斉藤さん:ってことは、そうなったらどうなりますか?

ざきやまさん:MUFGしか使わないってことですか?

斉藤さん:MUFGしか使わないですよ。他の銀行いらないですよ。日本銀行を含めて。

ざきやまさん:そうならないように日銀は日銀コイン作らなきゃいけないんじゃないですか?

斉藤さん:だから日銀コイン作りましょうって話をね、しに行ったわけですよ。(笑)

東さん:MUFGが通貨の供給とか決めるわけではないじゃないですか。

斉藤さん:いや、決めて良いじゃないですか。いや、通貨っていうのはもう、ほんとに通用すれば通貨ですから、鉛筆の芯だって良いわけですよ。パンの耳でも通用してしまえば通貨ですから。他の人が受け取るものが通貨なんです。

東さん:うんうん。まあ、通貨・・・そうですねって話なんですけど。MUFGが本気でじゃあ円をデジタル化してそれを流通させますってやったら、まあ少なくともビットコインを流通させるよりは一瞬で皆使い始めるっていうのは確かにそうなんで。結局、まあどうなんですかね? そうなったらどうなるか自分は想像つかないとこもありますけど。なるほどね。まあ、自分今もUFJユーザーじゃないんで、三井住友銀行に頑張ってももらいたいです。

斉藤さん:エールを送った方が良いんじゃないですか?

東さん:いや、まあ両方どうでも良いです。

ざきやまさん:みずほなんですよね。

東さん:あ、みずほ!

斉藤さん:みずほにもエールを送った方が良いんじゃないですか。

ざきやまさん:みずほ一生懸命ブロックチェーンの実証実験をやってますよ。

東さん:あぁ、そうそうやってますよね、みずほ。

ざきやまさん:一番やってないよ、みどり。

東さん:みどり?あぁ。

斉藤さん:でも、みどりちょっと応援したいな個人的に。個人的にちょっと応援したい。みどり頑張って!

東さん:実家に住んでるところ一番近いのがみどりしかない・・・。(笑) ローカル民としては、ちょっと、そこをちょっと期待したい。

東さん:はい。ということです。

以上、ビットコイナー反省会Ep8の『ビットコイン以外のブロックチェーンについてどう考えているか』より。

 

その他の参考動画

#05/ブロックチェーンの基本と今後の展開/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員 斉藤 賢爾/この国の行く末2

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