Bitcoinの分裂騒動
Bitcoinに分裂騒動(?)が起きているそうで、いろいろな人から質問を頂きます。
私には何のことかさっぱり理解できないので、「非中央集権じゃなかったのですか?」としかお答えできません。
ちょっと調べてみると、8月1日に起こるかもしれないと言われている UASF(User-Activated Soft Fork)とは、マイナー主導ではなくユーザー主導でソフトフォークをアクティベートしようという試みらしいです。
ハッシュパワーに基づく PoW で、そんなことができるのでしょうか?(もともと Bitcoin はユーザー主導=非中央集権という話だったのでは?)
しかし、現状では Bitcoin が業界内の基軸通貨として利用されていることから、私も BTC を保有しており他人事ではありません。
そこで、有識者の皆さんが書かれた記事をまとめることにしました。
ニュース:
ビットコイン分裂懸念 取引所が一時停止へ(NHK)
国内13の取引所がビットコイン取引を停止へ–8月1日の“分裂”に備え(CNET)
ビットコイン 分裂騒動の行方(NHK)
8月1日問題とは何なのか
- 約10分で正しく理解する「8/1に何が起こるのか」(ヨーロピアンさん)
8/1問題を理解するのに一番分かりやすいと言われている記事です。 - 【図説】8月1日にUASFが実行されると、ビットコインに何が起こるのか(山崎大輔さん)
上の記事で引用されている、BTCN編集長 山崎大輔さんのより専門的な解説です。 - 今ビットコインに起こってること(ビケルマンさん)
ぶっちゃけ何でこんな騒ぎになっているのかをビケルマンさんが漫画風に分かり易く解説。 - 「ビットコイン分裂」の真相と深層(山崎大輔さん)
8/1問題に関するBTCN編集長 山崎大輔さんの考察。(長文) - 8/1ビットコイン分裂危機のシナリオ予想 ~8月にビットコインは分裂しません~(東晃慈さん)
IndieSquare共同創業者の東晃慈さんの予想。 - 8/1以降、分裂危機にあるビットコインで起こる現象の予想(田中硬貨研究所)
田中硬貨研究所の田中さんの予想。 - ビットコインのハードフォークに対する当社の見解
bitFlyer社の公式見解。 - 【技術ブログ】2017/8/1にビットコインに何が起こるのか?BIP-148の意図していることについて
Coincheckの光田さんによる解説。記事が古いので次の記事も併せて読む必要があります。 - 【7/18追加】2017/8/1にビットコインに何が起こるのか?その2 UASF,SegWit2x,UAHF
7月18日に追記されたCoincheckの光田さんによる解説。
共謀の可能性
先日、リップラー座談会で物騒な話を聞きました。
これらの騒動は、すべて Bitcoin の価格を操作するためのやらせという話です。
対立を装っているだけで、じつは関係者は裏で繋がっているという説です。
もしそれが本当なら分裂しないでしょう。
なぜなら自作自演で騒動を起こし、価格が下がったところで仕込むのが目的だからです。
(それで騙し取られた方はたまったものではありませんね・・・。)
これについては本当のところは分かりません。
通信履歴が残らない形で当事者に直接会って話を聞くなりするしかないと思います。
しかし、Bitcoinのマイニング工場というのはとんでもない僻地にあるため、そんなことをするのは余程の物好きか関係者だけでしょう。
理解不能
そもそも、現状のBitcoinネットワークがユーザー主導で合意形成が行われていないことが前提で議論されていることから、ビットコインバブルの先導者たちは既にその時点で Bitcoin が非中央集権的なシステムではないことを認めてしまっています。かと言って、これまでの持論を撤回する様子もなく、(まるで自分は当事者ではないとばかりに)なぜか淡々と今起こっていることの説明を始めています。さらに、「送金はXRPで行ってからBitcoinに両替しましょう。」などという強者まで現れています。もはやバブルを煽るためのネタという以外に説明がつきません。
結論
結託していたら分裂しようがないのでは、と思うのですがユーザー主導で合意形成が行われる健全なシステムになって欲しいというのが私の意見です。
つまり、「分裂しませんでした。めでたし、めでたし。」とは思いません。
非中央集権化の目的は、不公平をなくすことだったはずです。
数人の利害関係が一致する人達に支配されたネットワークは平等とは掛け離れており、完全に目的を見失っています。
逆にそれを受け入れている人達からは闇しか感じられません。
このままでは、「やっぱりビットコインてそういうモノだったんだ。」で終わってしまうのではないでしょうか。
追記:Bitcoin Cashの狙い
中国で突如不気味な動きがあったので追記します。詳しくはヨーロピアンさんの記事をお読みください。
中国勢(JihanのBitmain社=Antpool+BTC.com、ViaBTC、OKCoinなど)が Bitcoin Cash なるものに移行すると言い出した模様です。
ここに Roger Ver の Bitcoin.com が加わると全体のハッシュパワーの5割が Bitcoin Cash に移ることになるそうです。
ヨーロピアンさんの記事では、これによってレガシーチェーンに何が起こるか(の可能性)を簡潔に説明しています。
- ハッシュパワーの5割が流出する
- 採掘難易度が半減し、買うより掘った方が断然お得になる
- 誰も買わない(当然Cash派も売る)ので価格が下がる
- 安いからマイナーはBTCを掘っても利益が出なくなる
- マイナーは他のコインを掘った方が利益が出るので更にハッシュパワーが流出する
- 採掘難易度が更に下がり益々誰も買わなくなる&掘っても儲からなくなる
- さらにこの過程でブロックの生成速度が急激に落ちるため、いつまでも承認されないシットコインになる
- 利用者が減って売り込まれ、マイナーの利益率がさらに悪化する
- マイナーがさらに減りレガシーチェーンが崩壊
- Bitcoin Cashが事実上のBitcoinになる
このような筋書き(仮説)でしょうか。その回避策があることもヨーロピアンさんは指摘しています。
そしてもう一つ気になるのは締めくくりに書かれているRippleについての記述です。
また、日本では最近Rippleが人気を博してきており、熱狂的な人気があるトークンの一つとなっています。リップルはリップル社による完全な中央集権のトークンですし、ブロックチェーンですらありませんが、そのようなことは気にも留められていません。よって、それらを揶揄するのはおよそ意味がないことなのでしょう。
彼らのコミュニティを観察していると分かりますが、リップル愛好家の間では「東京三菱UFJ銀行に採用された!」等の「大銀行への採用」が好感ニュースとして捉えられているのが特徴的です。
一部のリップル愛好家の間ではリップルを基軸通貨にしてほしいとの声が日々上がりますし、ビットコイナーがビットコインを愛するのと同様に、強く愛され続けているのが分かります。ここから汲み取れることは、非中央集権であることそのものへの支持が決して絶対的なものではないということです。
私は以前から根本的なところで現在のビットコイン支持者と意見が合いません。ビットコイン・ブロックチェーンは非中央集権化を目指して作られたが失敗してしまったというのが私の理解です。それを見透かしたかのようにテレビはビットコインを煽り始めました。だからテレビと一緒になって思想家を自称する人たちがビットコインを煽っている姿が滑稽に見えてなりません。(ご存知の通り、私はテレビが大嫌いです。だからテレビに出てくる先生方も嫌いです。)ブロックチェーンのデータ構造を否定しているわけではありません。
それともう一点。大銀行を潰したければ、そう願う世界中の人達が明日から銀行を使わなければ良いだけです。庶民の税金で私腹を肥やす人々に支配された国家を潰したければ、一丸となって納税を拒めば良いのです。そこにビットコインは関係ありません。ボイコット(非暴力不服従)して誰も使わなくなった仕組みは自然に消えます。そのうえで、本当にそれが必要であればブロックチェーン技術なりに基づいた新しい仕組みを作れば良いのです。
では、仮に非中央集権が実現したとして平等な通貨が世界中の人々に均等に配られたとしましょう。その後はどうするのですか? それを取り合うのでしょうか? トレードであなたにBTCを取られた私はどうやってそれを取り戻したら良いのですか? 自称思想家のみなさんは何故そんな酷いことをしているのですか? 集めてまたみんなに配るのですか? 人間は生まれながらにして平等を求めていません。だから無理に平等を作ろうとすれば必然的に独裁体制になります。これは私が中学生のときに出した結論です。
上の質問に生放送で答えられますか? ちなみに私の日課は寄付とボランティアです。皆さんがこれまで平等のためにどのような取り組みをしてきたのかも含めてお伺いしたいです。私の経験的に社会派と言う人には頭の中で何かを考えているだけで実際には何もしていない人が多いです。
リップルが人気を博している理由。それは・・・。悲しいですが”思想家”の皆さんの矛盾した行動がそれを裏付けてしまっています。