XRPブリッジング

なぜブリッジ送金が必要か?

現在の最も広く利用されている国際送金はSWIFTを利用するやり方です。これは、コルレス銀行を通して米ドル・ユーロ等の主要通貨に一旦両替するものであり、コスト(数千円~)と送金時間(数日間)がかかるという問題があります。

これよりも低コストで両替可能な方法として、外国為替(FX)市場を送金に利用する方法が考えられます。例えば、JPYをAUDに替えたい場合、JPY / AUDペアを扱うFX取引所にJPYを入金しAUDを買う、というものです。これはSWIFTよりも低コストの為替送金が技術的に可能ですが問題点があります。それは、もし世界に100種類の通貨があったとすると、単純に全ての通貨ペアの組合せを考えると4,950通りにもなり、その全てにマーケット(市場)が必要になることです。この場合、市場に出回る資金が多くのペアに分散してしまうことで、特にマイナー通貨同士のペアでは流動性(取引量)が極端に不足しまいます。

Diagram7

これを解決する方法としてブリッジ送金があります。ブリッジ送金とは2通貨間の為替送金を特定の中間通貨を媒介にして行う送金のことです。

法定通貨A ⇒ 中間通貨 ⇒ 法定通貨B

これのメリットは、たとえ通貨の種類が多くても必要な通貨ペアは法定通貨と中間通貨とのペアだけであり、ペア数を大幅に減らすことができるので、結果として各ペアの流動性を高めることができることです。もしこのように特定の通貨を中間通貨として利用しブリッジ送金を行うことができれば、仮に100種類の通貨があったとしても、必要な通貨ペアは 法定通貨 / 中間通貨ペアである100ペアだけとなり、これらのペアをもとにして全ての法定通貨ペアを合成することができます。全世界のFX市場規模の総額が一定だとすると、必要な通貨ペアの数は少ない方が 法定通貨 / XRPペアの各市場の流動性は大きくなるため、より低コストの送金が可能になります。また、その中間通貨としてXRPのようなデジタル通貨を利用すれば、ブリッジ送金を数秒で完了させることも可能になります。

Interledger Protocolを使ったXRPブリッジ送金

リップル社はXRPをブリッジ送金の中間通貨として利用してもらうことを推進しています。かつて進めていたブリッジング方法は、XRP Ledger内に各法定通貨のIOU (現Issuance)を発行し、XRPで各IOUを接続する、というものでした。

法定通貨A (IOU) ⇒ XRP ⇒ 法定通貨B (IOU)

しかしこのブリッジング方法にはいくつかの問題がありリップル社は方針を転換しました。その結果がInterledger Protocol (ILP)の誕生となります。ILPはあらゆる台帳を相互接続するものであり、取引が中途半端な形で終了することなく完全な形で完了するような仕組みが実装されています。現在、リップル社が推し進めているのは、為替A⇒送金⇒為替Bの3段階のトランザクションを別個のコネクタ上でそれぞれ実行し、それらをILPで連動させるというものです。詳細に説明すると、2箇所の外部取引所(オフレジャー)で法定通貨⇔XRP間の為替を行い、XRP Ledger(オンレジャー)でXRP送金を行うというものです。

xRapid payments flow

具体例を挙げて説明します。ヨーロッパの送り手(Sender)が保有しているEURを、インドにいる受け手(Recipient)へINR建てで送金することを考えます。この場合、以下の3つのコネクタがILPで接続される形となります。

  1. 取引所A:EUR / XRPマーケット(為替)
  2. XRP Ledger:XRP送金(送金)
  3. 取引所B:XRP / INRマーケット(為替)

取引所A, Bはそれぞれ独自の為替市場(オフレジャー)を持ち、その中でXRP (IOU)を発行し当該通貨との為替市場を形成しているものとします。なおXRP (IOU)を発行する場合、その裏付けとして現物XRPを保有することが法的に求められます。したがって各取引所はXRP Ledger内の各自のウォレットにIOU発行量相当の現物XRPを保有することになります。以上の条件から、ブリッジ送金が実際にどのように起こるかを説明します。

  1. 取引所AのEUR / XRP市場にて、送り手のEURを売却してXRPを購入します。この時、購入したXRPは勿論IOUです。
  2. 購入されたのと同数の現物XRPがXRP Ledger内にて取引所Aのウォレットから取引所Bのウォレットへと移動します。
  3. 取引所Bは受け取った現物XRPと同数のXRP を自身の取引所にてIOU発行します。このXRPを用いて取引所内のXRP / INR市場にて、XRPを売却してINRを購入します。

以上の3つのトランザクションは全てILPによって連動して実行されることになります。したがって、この一連の取引が不完全な形で終わることで資産の持ち逃げが起こる等のトラブルが起こらないようになっています。

xRapid

上述したILPを使ったブリッジ送金のメリットは、XRPを取り扱う取引所がILPに対応さえしていれば、世界中のどの取引所のどの法定通貨でも相互に接続してブリッジ送金できることです。リップル社はこのブリッジ送金を行うためのソフトウェア xRapid を開発しています。送金業者が xRapid を使えば、各取引所の為替市場をシームレスに接続して、あたかも法定通貨同士の市場があるかのように送金することが可能になると考えられます。

図4. 予想をビケルマンさん風の絵にしたもの


本記事はてにったーさんから寄稿して頂きました。