シンガポール中銀がリップルで国際送金実験

日米欧9社連合が仮想通貨技術で国際送金実験

日本経済新聞の11月16日の夕刊一面に『仮想通貨技術で国際送金 日米欧の金融機関』というニュースが載りました。同じニュースを日経電子版でも読むことができます。

日米欧9社連合、仮想通貨技術で国際送金実験 シンガポールで実施へ

シンガポールの中央銀行にあたる Monetary Authority of Singapore(シンガポール金融管理局)によれば、このプロジェクトの参加メンバーは次の通りです。(シンガポール中央銀行の発表はこちらです。)

この発表でシンガポール中央銀行と R3 の提携と、ブロックチェーンインフラを利用したファンドの発行と送金を行うためのパイロットシステムの構築が行われることが明らかになりました。

リップルです

参加メンバーのうちバンクオブアメリカ・メリルリンチDBS銀行は、以前からシンガポール情報通信開発庁(IDA)が主導するプロジェクトでRipple(リップル)の実証実験を行っていることから、シンガポール中央銀行が主導する今回のプロジェクトにもRipple(リップル)が使われるのではないかという噂がツイッター上で流れていました。それに対してリップル社の大株主であるSBIホールディングスの北尾社長が次のように答えています。

つまりシンガポール中央銀行が主導する国際送金プロジェクトでもRipple(リップル)が利用されることが判明しました。

日米欧9社連合とは

日本経済新聞が伝えた日米欧9社連合とはどのような連合なのでしょうか。記事には「9社が組む連合体と、米ベンチャー企業のR3、シンガポール取引所が実験に加わる。」と書いてあることから、この9社がバンクオブアメリカ・メリルリンチ三菱東京UFJ銀行クレディ・スイスDBS銀行HSBC銀行JPモルガン・チェースオーバーシー・チャイニーズ銀行ユナイテッド・オーバーシーズ銀行BCS Information Systems であることがわかります。このうちDBS銀行オーバーシー・チャイニーズ銀行ユナイテッド・オーバーシーズ銀行はシンガポールの地場3大銀行で、CLS株主でもあります。

ここからは私の個人的な推察なのですが、BCS Information Systems がシンガポール中央銀行が管理するインターバンクシステムの MEPS+ の開発元であることから、本プロジェクトの参加銀行8行は MEPS+ の参加メンバーから構成されたのではないかと思います。実際、この8行はシンガポール中央銀行が公表している MEPS+の参加メンバーと一致します。

忘れてはいけないこと

これだけ大きなニュースが新聞の一面に載ったことで、あちらこちらで様々な憶測や噂が飛び交っています。予想していたとはいえ、正直私もこのタイミングでSBIの北尾社長からああいった形で公表されたのには驚かされました。そして当然のごとく「銀行が、、銀行が、、」となるのも理解できます。しかし、もともとRipple(リップル)が目指しているのは BoV(Bank of Value)ではなく IoV(Internet of Value)であることを忘れてはいけません。銀行送金はその入り口に過ぎず、リップル社は誰もがメールを送信する感覚で気軽に海外送金ができるようになる未来を描いているはずです。そして取り扱う資産は通貨だけに留まらず、様々なものの価値がネットワークを通じてやりとりされることが本当の目標なのだと思います。

コインチェック