インターレジャーの概要

インターレジャーとは

インターレジャーは、異なる台帳(レジャー)間で支払いを送信するためのオープンなプロトコルスイート(プロトコル群)です。

図1.インターレジャーのプロトコルスタック 出典:Interledger Workshop

例えば三菱東京UFJ銀行に口座を持つユーザーと同じ三菱東京UFJ銀行に口座を持つユーザー間で残高を振り替えたい場合、三菱東京UFJ銀行が管理する同じ台帳内の数字を送金者側から受取人側に書き換えるだけなので技術的な障壁はありません。しかし、国も通貨も違う複数の金融機関の台帳上の預金残高を振り替えることは困難です。これを実現するのがインターレジャーです。

インターレジャーのオープンアーキテクチャと最小限のプロトコルは、あらゆる価値移転システムの相互運用を可能にします。インターレジャーは、いずれの会社、ブロックチェーン、通貨に縛られることはありません。

 

コネクター

コネクターは、複数の異なるレジャー間で資産を移動(振替)する役割を担います。インターネット上のルーターと同様に、インターレジャーのコネクターは独立した支払いネットワークを横断して、お金のパケットを中継(ルーティング)します。RippleNetでは、コルレス銀行や流動性プロバイダーがコネクターの役割を担います。

図2.コネクター

 

インターレジャー・プロトコル(ILP)

インターレジャーでは、送金リクエストについてコネクターと通信するためにインターレジャー・プロトコル(ILP)を使用します。ILPは、インターレジャー層で定義されたプロトコルで、レジャー、アカウント、金額を参照するための標準的な方法を提供します。ILPは異なるコネクターが相互運用可能であり、相互に連携して取引を中継できることを保証します。

図3.レジャーとコネクターの通信 出典:Interledger Architecture

 

ILPレジャーと暗号エスクロー

エスクローとは、互いに信用ができない2者間で取引が行われる際に、取引の橋渡しを行う仲介人です。

例えば Yahoo!オークションでは、出品者と落札者との代金のやりとりを安全に行なうためのエスクローサービスが提供されています。これにより、商品を送ったのに入金されない、入金したのに商品が送られてこないといったトラブルを防いでいます。

インターレジャーでは、ILPレジャーに実装された暗号エスクローという機能を利用して口座間の残高の振替を仲介します。

図4.ILPレジャー

 

送金の流れ

インターレジャーでの支払いは、送金元からILPレジャーの暗号エスクローを介したコネクターへの入金と、コネクターから暗号エスクローを介した受取人への出金の2つのステップで成り立ちます。

  1. 送金元=>暗号エスクロー=>コネクター
  2. コネクター=>暗号エスクロー=>受取人

1のステップで送金元から送られた資産は暗号エスクローに保管され、2のステップでコネクターが暗号エスクローに資産を移動しない限り、全体の資金移動が起こらない仕組みになっています。次の図はボブからアリスへの送金の流れを表しています。

図5.ILPを利用した送金の流れ

 

マルチホップの送金

上記のステップを組み合わせて、複数のコネクターとレジャーを経由して目的の相手に資産を送り届けるのがインターレジャーの送金の仕組みです。

図6.マルチホップの送金

 

アドレスとルーティング

送金の宛先はウェブのURLに似たILPのアドレスによって識別されます。ILPのアドレスの形式は次のようなものです。

g.eu.banks.bank-c.alice

これにより、アリスへの送金先がヨーロッパのC銀行だと識別できます。送金のトランザクションはコネクターが保持するルーティングテーブルの情報に基づいて次のコネクターに中継(ルーティング)されます。

図7.アドレスとルーティングテーブルに基づいたルーティング

 

レジャーに含まれる資産の種類は1つ

ILPの原則として1つのレジャーに含まれる資産の種類は1つだけです。そのため、Bank Bが2つの種類の資産を取り扱う場合は次のようになります。

図8.原則としてレジャーに含まれる資産の種類は1つだけ

技術的な障壁は何もありませんが、取り扱う通貨ペアが増えればコネクターの負担は増加します。

図9.取り扱う通貨ペアが増えればコネクターの負担は増加する

 

より詳しい解説

ILPワークショップに参加されたどらさんが Medium で ILP の詳しい説明をしています。

 

もっと優しい説明

ビケルマンさんが漫画で Ripple/ILP について説明しています。

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