XRPが証券だとするFUDについて


お知らせ
2019年11月10日(日)開催の『XRP Meetup Japan』の参加申込が9月15日から始まりました。
申込締切:9月22日
定員:300名(応募者多数の場合抽選)
参 加 費:4000円
参加条件:①XRPMEETUPJAPANアカウント(@xrpmeetupJA)フォロー ②お1人様1アカウント


はじめに

「XRPは証券だ」というFUDがあまりにも大規模に拡散されている現状を見て、何か私にも出来ることがないかと考えてこの記事を書くことに決めました。まず、仮想通貨(暗号資産)と呼ばれるものを法律上の証券として扱うかどうかというのは各国が決めることです。ですから、それらを証券として扱う国もあれば、そうではない国もあります。そして結論から言うと、日本ではXRPは証券ではないというのが仮想通貨の規制・監督を行う金融庁の見解です。これは資金決済法という法律に基づくもので、それらの取り扱いについては金融庁が厳しく規制を行っています。

FUDとは:
消費者の恐れ(Fear)、不安(Uncertainty)、疑念(Doubt)を煽って競合製品を購入させないようにするマーケティング戦略。自社製品よりも高性能かつ安価な競合製品が登場した場合に、「その製品はまだ出たばかりで信頼性が疑わしいので当社の製品を使った方が良い」というような噂を流し、消費者の恐れ、不安、疑念を煽って競合製品を購入させないようにすること。

 

証券問題の発端

では、そもそも仮想通貨と証券の問題はどこから始まったものだったのでしょうか。これはアメリカのSEC(証券取引委員会)が『ICO(イニシャルコインオファリング)』と呼ばれる投資スキームを実施したドイツ企業 Slock.it が立ち上げたバーチャル組織『The DAO』が発行したトークンが証券に該当すると発表したのが一連の騒動の始まりです。

SECの報告書によると、The DAOのトークンは最高裁判例に基づく有名なハウェイテスト(Howey Test)に照らして、証券取引所法で規定される証券の中の投資契約に該当すると判断されました。ハウェイテストとは、1946年のアメリカ証券取引委員会対W. J. Howey社事件における最高裁の「1933年証券法における投資契約の基準は、①発起人または第三者の経営的努力から得られる②利益の合理的な期待を前提とした③共同事業への④金銭の投資の存在である。」という判断に基づき、特定の取引が証券法によって定められる証券の投資契約に該当するかどうかを判断するテストです。

以下にSECが「DAOトークンは証券である」と主張する報告書の一部を抜粋して和訳します。

和訳:
証券法の第2条(a)(1)および取引所法の第3条(a)(10)において、証券は『投資契約』を含みます。15 U.S.C. §§ 77b-77cを参照 投資契約とは、起業家または第三者の経営的努力に由来する利益の合理的な期待を伴う共同事業への金銭の投資です。SEC v. Edwards, 540 U.S. 389, 393 (2004); SEC v. W.J. Howey Co., 328 U.S. 293, 301 (1946);を参照、United Housing Found., Inc. v. Forman, 421 U.S. 837, 852-53 (1975)も参照 (投資契約の『基準』は、起業家または第三者の経営的努力から得られる利益の合理的な期待を前提とした共同事業への投資の存在である。)

出典:SEC

これにより他のICOについても投資契約(つまり証券)に該当する可能性が高くなったことから仮想通貨界隈が騒がしくなったというわけです。リップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスは SEC の対応を好感し、この一連の騒動に関してハーバード大学で次のように語っています。

ガーリングハウス:
ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の元局長であるベン・ロースキーをRippleの取締役に迎え入れたとき、コアなクリプトコミュニティから「Rippleは終わった」と散々言われたが、その考えは間違っていると思う。今、我々が掲げている目標を実現するには規制当局との連携は必要不可欠だ。

最近、ニューヨーク・タイムズの記事で「EthereumやRippleは証券に該当するか」「証券をどう定義するか」について取り上げられた。実際、多くのICOに関しては証券と見なされることになると思う。それはユースケースがないからだ。Rippleは規制当局と連携することで幸いにして反政府、反体制の取り組みの一種と見なされていない。

ハウェイテストという1930年代のアメリカ最高裁の判決をベースに特定の取引が投資契約に該当するかを判断するためのテストがあるが、その診断に基づくとXRPは明確に証券に該当しないと私は思っている。

出典:Ripple CEO Brad Garlinghouse – Harvard Club SF Interview

そして、同氏は CB Insights 主催のイベントで、XRPが証券に該当しない3つの理由を次のように説明しました。

ガーリングハウス:

  1. もし明日リップル社が閉鎖したとしても、XRP Ledgerは動き続けます。それはリップル社と独立して存在するオープンソースの分散型テクノロジーです。
  2. XRPを購入している人々は、自分がリップル社の株式を購入していると思っていません。リップル社と呼ばれる会社があり、我々は株式会社で、我々には出資者がいます。しかし、XRPを購入してもあなたにリップル社の所有権は与えられませんし、リップル社からの配当や利益へのアクセス権も与えられません。
  3. XRPは問題を解決しています。証券に実用性はありません。

出典:Ripple CEO: 3 reasons XRP token is not a security

また、当時同社のチーフ・マーケット・ストラテジストだったコリー・ジョンソンは、CNBCのインタビューに対してXRPは100%証券ではないと説明しました。

コリー・ジョンソン:
間違いなく証券ではありません。過去の判例に基づいて、証券の基準に該当しません。

出典:Ripple says its cryptocurrency XRP is not a security

 

米証券取引委員会トップ「ICOは証券として規制する。」

米証券取引委員会(SEC)委員長のジェイ・クレイトンは、CNBCのインタビューに対してICOトークンを証券として規制すると述べました。

ジェイ・クレイトン:
暗号通貨:これらは国の通貨を置き換えるものであり、ビットコインでドル、ユーロ、円を置き換えるものです。このようなタイプの通貨は証券ではありません。

トークン、デジタル資産:私があなたにお金を渡し、あなたは立ち去り、ベンチャー企業を設立し、あなたに私のお金を与える見返りとして「あなたはリターンを得ることができますよ。」と言うものは証券です。そして我々はそれを取り締まります。我々はその証券の提供を規制し、その証券の取引を規制します。

出典:SEC chief says agency won’t change securities laws to cater to cryptocurrencies

つまり、トークンセールを実施したICOトークンに関して投資契約を結んでいることを問題視しています。さらにプリンストン大学で行われたイベントの中で、同氏はトークンと証券の関係について次のようにも述べています。

ジェイ・クレイトン:
私が服を洗うためのランドリートークンを持っていたとしても、それは証券ではありません。しかし、私が10ランドリー・トークン一式を持っていて、そのコインランドリーが開発中で、それらが私が将来何かに使えるものとして私に提供され、そして私が来年登場するクラスのためにそれらを売ることが出来るから私がそれを買っているのなら、それは証券です。

私たちが規制の世界にいて分かることは、ランドリー・トークンの利用用途は時間とともに発展するということです。その用途は、証券に向かって発展することも出来れば、逆に向かって発展することも出来ます。

なぜなら、今日それが証券だからと言って、明日もそれが証券であるとは限らないからです。その逆も同様です。

出典:SEC Chief Touts Benefits of Crypto Regulation

ここでも投資契約に該当する特定の契約をランドリーコインという架空のトークンを例に説明しています。

それにしても最後の「その逆も同様です。」というのが意味深です。つまり、「今日は証券だと判断されていないものも、明日は証券だと判断される可能性がある。」ということでもあり、これには十分な注意が必要です。

 

リップル社CEO「XRPが証券でないことは明らか。」

「XRPは証券だ」という情報が拡散される中、2018年5月にリップル社はライアン・コフィーという人物から「違法な証券を販売した。」として訴訟を起こされました。

これについてリップル社CEOのブラッド・ガーリングハウスは、同年6月4日からヨーロッパで開催された Money 20/20 で CNBC のインタビューに対して、XRPは証券に該当しないと改めて同社の見解を述べました。ブラッド・ガーリングハウスは訴訟に関して「呆れている」としたうえで、次のように答えました。

ガーリングハウス:
XRPを2週間だったと思うけど、、、保有した人物がいて訴訟を起こしています。

XRPが証券であるかどうかは1件の訴訟によって決まるわけではありません。XRPが証券でないことは明らかで、リップル社とは独立して存在していると私は考えています。もしリップル社が明日無くなったとしても、XRPのエコシステムは存続し続けます。それは(リップル社とは)独立したオープンソースの技術です。

所有権の観点からすると、XRPを所有してもリップル社の株式の所有権は与えられません。また、今話したように、XRPには多くの実用性があります。だから私にとって、XRPは皆さんが知っている証券のようなものとは大きく異なります。そして我々は最終的にそういう結論を見出すだろうと考えています。

出典:Bitcoin is not the ‘panacea’ people thought it would be, Ripple CEO says

この事件をブルームバーグは次のように伝えています。

訴状によると、コフィー氏は1月初旬に650XRPのトークンを約2.6ドルの単価で約1,690ドル分購入し、数週間後に売却して約551ドルの損失(初期投資の約32%)を出したとのことだ。

出典:ブルームバーグ

そして、3ヶ月後の同年8月に原告はあっさりと訴訟を取り下げました。

 

XRPは規制当局の許可のもと販売・管理されている

そもそもリップル社はXRPの販売と管理を目的に米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)からビットライセンスを取得しています。

昨年、ニューヨーク市は仮想通貨に対するライセンス制度を開始しましたが、リップル社は、ブロックチェーン技術により独自に開発した取引記録台帳”Ripple Consensus Ledger”上のデジタル資産(仮想通貨)である「XRP」 の機関投資家及び金融機関向けの販売・管理に関して、ニューヨーク州金融サービス局(New York State Department of Financial Services: NYDFS)より、本日「BitLicense」を受領いたしました。

出典:SBI Ripple Asia

世界の金融の中心として知られるウォールストリートを置くアメリカのニューヨーク州は、アメリカ国内の金融における規制のモデルにもなっています。NYDFSの仮想通貨に対する規制は厳格で、2015年8月にビットライセンスが施行されて以来その資格を取得できた企業はほとんど存在せず、リップル社がビットライセンスを取得した2016年6月時点で同ライセンスを取得していた企業はリップル社を含めて2社だけでした。

その後、ビットライセンスを策定した米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)初代局長のベンジャミン・ロースキーは、2017年11月にリップル社の取締役に就任しました。リップル社はコンプライアンス部門の強化に重点を置いており、オバマ政権でホワイトハウスの経済顧問を務めたジーン・スパーリングを2015年1月から取締役に置くとともに、イギリスの決済銀行間で大口ポンド立て資金移動契約を扱うCHAPS(The Clearing House Automated Payment System)の取締役で元SWIFT取締役のマーカス・トリーチャーも同社の重役を務めています。

 

金融庁「XRPは証券ではありません。」

それでは日本でのXRPの法的な扱いはどうでしょうか? そこで証券取引等監視委員会に直接電話して確認したところ、「XRPは証券ではありません。」という回答を頂きました。日本では証券に該当するものとそれ以外のものを法律で明確に切り分けており、法的な意味での『仮想通貨』は資金決済法で仮想通貨と定められたものです。XRPはその資金決済法で定められた仮想通貨であるため、証券に該当しないというのが金融庁の公式な回答です。(電話に出た担当者が金融庁の担当部門に確認した上での回答です。)

それに対してトークンセールを実施して販売されているICOトークンと呼ばれるものの中には、金融商品取引法の有価証券に該当するものがあるとのことでした。ですから、これらのトークンに投資する際には十分な注意が必要です。今回、私は証券取引等監視委員会に電話で確認しましたが、仮想通貨を取引する際には金融庁から仮想通貨交換業の認可を受けている取引所を利用し、心配であれば自分が投資しようとしているものが違法な有価証券に該当しないかを取引所や金融庁などに確認した方が良いでしょう。

私が金融庁から受けた回答を簡潔にまとめると次のようになります。

  1. XRPは証券ではなく資金決済法で定められた仮想通貨である
  2. 証券は金融商品取引法(金商法)によって規制されるものを指す
  3. 資金決済法で定められた仮想通貨が金商法で規制される証券に該当することはない
  4. トークンセールを実施したICOトークンの中には証券に該当するものがある

尚、金融庁に電話で問い合わせを行ったのは私だけではなく、他にも金融庁から同様の回答を受けた方々がいるのを確認しています。

日本は法治国家です。XRPを含む特定の資産が法律上の仮想通貨かどうかは資金決済法という法律に基づき決定されます。その規制を行う機関は金融庁であり、金融庁は専用の窓口を設けて日本の居住者への正しい情報の発信に努めています。これを妨害する活動は紛れもなく違法行為です。少し冷静に考えてみてください。例えば法律で株式と認められているものを「〇〇は株式ではない」という嘘の情報を発信して、関係企業や個人に損害を与える行為をしたらどうなるでしょうか。

 

SECコミッショナー「投資契約ではなく販売されているトークンは証券ではない。」

SECコミッショナーのヘスター・ピアースは、2019年2月にミズーリ大学のロースクールで次のように述べました。

ヘスター・ピアース:
トークンが投資契約として売られていないなら、そもそも証券ではありません。投資契約としてではなく、機能しているネットワークの中で使用するために売られたトークンは証券の定義の範囲外です。

出典:米国証券取引委員会(SEC)

つまり、ICOのような手法で投資契約を結んで配布されたものではなく、機能しているネットワークの中で使用され販売されているトークンは証券に該当しないと説明しました。

 

日本政府がICOトークンを金商法で規制する法改正案を閣議決定

2019年3月、日本政府はICOトークンを金融商品取引法(旧証券取引法)の規制対象であることを明確化する法改正案を閣議決定しました。これについて金融庁は、同法案の本国会での法案成立を目指すことと、2020年6月までに施行する見通しであることを記者に対して説明しました。

 

イギリスの規制当局がXRPは証券に該当しないと明示

2019年8月、イギリスのFCA(金融行動監視機構)は暗号資産に関するガイダンスの最終版を公表し、XRPが証券や電子マネーには該当せずFCAの規制対象外であることが明らかになりました。これについてはリップル社から担当者による解説の動画がアップされています。

 

まとめ

簡単にまとめると次のようになります。

  1. 日本やイギリス、米国ニューヨーク州などではXRPは証券ではない
  2. 日本ではICOトークンを金商法の規制対象とする
  3. アメリカのSECが問題視しているのは違法な投資契約である

以上、この記事を書いている現時点で確認できている情報をまとめてみました。

(最終更新日:2019年8月28日)

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